2019 年 61 巻 8 号 p. 1604-1607
南大阪病院は1951年5月に大阪市住之江区に開設され,1957年7月に私立病院として大阪府下初の総合病院の認可を受けた.その後,南大阪看護専門学校,南大阪臨床検査技師専門学校,南大阪健診センター(厚生省認定第1号)を開設し,1998年10月から大阪市立大学の協力型臨床研修病院となった.2010年1月に社会医療法人の認可を受け,2010年4月に大阪府がん診療拠点病院へ指定された.2013年10月には建物の老朽化に伴い,病床数を400床(一般病床302床,HCU8床,回復期リハビリ病棟42床,地域包括ケア病棟48床)とした新病院の新設・移転が完了した.現在,消化器内科を含む12診療科が稼働し,社会医療法人景岳会が基本理念として掲げる「地域からよろこばれ信頼される病院」を目指し,地域中核病院として質の高い医療を提供できるよう日々努めている.
さらに,多くの学会において施設認定を受けており,当科に関連するものでは,日本内科学会教育関連病院,日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設,日本消化器病学会認定施設,日本消化管学会胃腸科指導施設であり,消化器内視鏡の研修体制も充実している.
組織内視鏡室は診療部の一部として位置づけられている.診療は,消化器内科医師を中心に,消化器外科医師,胸部外科医師が担当している.内視鏡室専属の看護師と臨床工学技士が多数配属されており,うち数名は内視鏡技師の資格を持つ.内視鏡の洗浄・メンテナンスは外注の作業員が実施している.また,当院に併設されている健診センターの内視鏡健診は消化器内科医師が担っている.
検査室レイアウト

当院は4階建ての外来棟と12階建ての入院棟が3階の渡り廊下でつながっている.内視鏡センターは外来棟3階の消化器内科外来の隣に位置し,病棟ともつながっている.総床面積155m2で,内視鏡検査室3室,X線透視室1室,洗浄室,リカバリースペース(4ベッド),前処置室(待合室),所見室が在り,所見室では各検査室のモニターカメラを通じて安全管理も行っている.各検査室は個室であるがバックヤードでは往来可能な設計となっており,プライバシー保護とスムーズな動線確保の両立に役立っている.また,CO2送気装置が全検査室に配備され,大腸内視鏡検査時やESD,EMR,ERCPなどの処置時に使用可能である.その他,出張用の内視鏡光源も1台あり,必要時には内視鏡室内のみならず手術室やICUなどでの内視鏡にも対応している.
基本業務としては,午前に上部消化管内視鏡検査,午後に下部消化管内視鏡検査を行っている.偶発症も起こりえるESD,ERCPなどの内視鏡処置はなるべく朝一番に開始し,午前中に終了するようにしている.また,下部消化管内視鏡検査は上下部同時に施行することが全体の7割程度と多いのも特徴である.下部消化管内視鏡検査(cold polypectomy可能と判断したポリープは見つけたら外来で切除)を行い,体位変換後に上部消化管内視鏡検査を行っている.下部から上部への内視鏡などの入れ替えは,コメディカルと医師の協力のもと素早く行うことを心掛け,上下部検査は30分の枠設定で行っている.
また,当院は2次救急病院であり,昼夜を問わず緊急内視鏡処置への対応を求められる機会も多い.内視鏡室に専属のコメディカルスタッフが配属されていることや,内視鏡検査技師資格を取得している看護師や臨床工学技士の存在がスムーズな緊急対応の一助となっている.
内視鏡件数は年々増加傾向にあり,近年はおよそ年間10,000件弱となった.決して広くはない内視鏡室において,可能な限り患者の負担を減らした検査を迅速かつ安全に行うために,日々試行錯誤を重ねている.希望患者にはほぼ全例において鎮静下内視鏡を施行し,上・下部連続内視鏡検査にも積極的に取り組んでいる.安全管理においては,前処置室やリカバリースペースをカメラモニターするほか,鎮静剤使用後は生体モニターを装着して対応している.内視鏡システムは画像ファイリングシステムでネットワークされ,患者情報や画像情報を一元管理し,2013年から導入された電子カルテとのリンクにより迅速な結果報告も可能となった.
われわれは働き方改革が掲げられる以前から,残業なく検査が終了することを心掛けてきた.重なる残業はスタッフを疲弊させ,士気を下げるからである.スタッフは交代制で昼休憩をとり,センターは休憩なしで稼働している.医師は検査時に,常にタイマーを押すようにしている.レコーディングダイエットの原理と同様に,自分のスキルを把握し,無駄がなくなると考えている.下部消化管内視鏡検査時には挿入時間のみならず,使用スコープ,体位変換や圧迫が必要であったか,挿入方法などを内視鏡所見に明記するようにしている.検査の前日には看護師リーダーがすべての患者情報を予習している.通常,当院ではHQ290を汎用スコープとしているが,以前の情報をもとに,また,婦人科ope歴がある場合,体格の小さな場合,超高齢者にはH290やPCF290Z,PCF290TIなどの細径スコープを使用し,スムーズな検査ができるよう工夫している.そのような看護師の情報収集が検査の時間短縮に大いに貢献していると考えられ,常日頃から感謝してもしきれない.
(2019年1月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医1名,その他スタッフ3名
内視鏡技師:Ⅰ種4名,臨床工学技士5名
看 護 師:常勤7名,非常勤1名
事 務 職:常時2名
そ の 他:洗浄員常時2名
(2019年1月現在)

(2018年1月~2018年12月まで)

毎年約5名の初期研修医を消化器内科の研修として受け入れている.初期研修は消化器内科としての研修が主体であり,上級医とペアを組んで救急や入院患者の診療にあたる.期間は2カ月と短いが,知識と内視鏡モデルを用いた試験合格後に段階を踏んで内視鏡研修も行っている.まずは内視鏡画像に慣れるため,指導医の上部消化管内視鏡検査につき,30例の症例の所見を各々のノートに記し,その後内視鏡モデルを使い,一通りの観察ができることを確認した後,実際の患者さんでstep1引き抜き,step2見上げ操作を加え,step3十二指腸の観察,最終的には経口挿入を目標としている.もちろん,いずれも鎮静下で,時間をはかり,患者さんへ負担が少ないように細心の注意を払っている.
現在,常勤医は7名で,大阪市立大学医学部附属病院消化器内科の医局に属している.消化器内科専攻医は,内視鏡モデルでの訓練後に,ルーチンの上部消化管内視鏡検査から始まり,下部消化管内視鏡検査の挿入も開始する.それぞれ時間設定を行い,必要時には上級医と交代し訓練していく.基本的な上部消化管内視鏡検査を習得後,側視鏡の挿入から始めERCPも開始し,個々の技量習得に応じて,常に上級医の指導の下,止血,イレウス管挿入・ステント留置,EMR・ESD,EIS・EVLなども行っていく.
週に1回,医師,看護師,臨床工学技士と共にカンファレンスを行っており,1週間の内視鏡検査の予習・復習を行うことで,知識の共有や内視鏡診断能の向上をはかっている.医師の持ちまわりで勉強会も行っており,最新の知識も習得し,内視鏡センター全体でのレベルアップを目指している.研究会・学会の参加・発表も積極的に行っており,他病院との勉強会も開催している.加えて,月に2回,外科との合同カンファレンスで,外科治療適応となった患者の検討を行い,月に1回,病理科も交えたcancer boardで合同検討を行っている.
上述の通り,年間10,000件に上る内視鏡件数に対するソフト面での努力は様々行っているが,ハード面においては不十分と言わざるを得ないのが現状である.
内視鏡や洗浄器の機器の不足に加え,当院では積極的に鎮静下内視鏡を取り入れていることから,必然的に多数のリカバリースペースが必要となるが,内視鏡室のみではスペースが不足し,隣に位置する点滴処置室も使用している状況である.今後さらなる内視鏡件数増加が見込まれるため,内視鏡室の拡充や設備・備品の見直しが課題となっている.
指導体制においては,新内科専門医制度開始により,消化器内科専攻医の内視鏡研修の遅れや消化器内科を専門としない研修医のローテートの増加が予測されており,新制度に合わせた柔軟な対応が必要と考えられる.市中病院では,大学病院のように研修医指導体制が患者には理解を得にくいため,そのような状況にも十分に配慮し,内視鏡検査・治療の質を保つ努力が一層必要になると考える.
また,JED projectへの参加申し込みや院内での倫理申請をすでに開始している.JED導入に伴い課題となる内視鏡所見入力については,メーカーと協力してシステムのカスタマイズに取り組み簡便化を目指しているがまだまだ改良の余地があるのが現状である.
大阪市でも2017年10月より胃がん内視鏡検診が開始され,当院でも患者を受け入れることとなった.胃がん内視鏡検診においては鎮静剤が使用できず経鼻内視鏡検査の需要が増加するため,対応が求められている.
課題は尽きないが,限られた設備や時間の中でも可能な限り患者の苦痛軽減に努め最善と言える医療を提供し続けられるよう,『地域の患者さまに,安心で安全な内視鏡検査・治療を提供すること』をモットーにスタッフ一丸となって研鑽を積んでいく所存である.