2019 年 61 巻 9 号 p. 1716-1718
昭和53年に旧国立函館病院と旧函館療養所が統合し,国立函館病院が発足した.さらに平成15年7月に北海道第一病院と統合した.平成16年4月に独立行政法人に移行し現在に至る.
当院は函館市中央部の東方に位置し,周辺は閑静な住宅地で診療施設として恵まれた環境にある.交通はJR函館駅から約4kmで市電深堀町下車徒歩4分,函館バスは国立病院前下車徒歩1分,函館空港から約3kmで乗用車で15分と至便である.診療圏は函館市や渡島,檜山管内を含む北海道南部(道南)一円に及んでいる.
消化器科は平成28年1月に新設され,現在の内視鏡室が誕生した.消化器内視鏡検査,治療やピロリ菌,炎症性腸疾患などの分野において学会をリードするスタッフが揃い,この分野を中心に道南のセンター病院として幅広く患者を受け入れている.
組織外来部門の一部である.内視鏡センターとして独立しているわけではないが,コメディカルスタッフは内視鏡室専任であり,業務に精通している.
検査室レイアウト

総面積121.4平方メートル(独立した内視鏡室としては53.1平方メートル)で,内視鏡ブースは3つである.内視鏡室A,BにはOLYMPUSの内視鏡システムを,また内視鏡室Cには富士フイルムの内視鏡システムを設置している.リカバリールームはなく,外来患者で鎮静下に内視鏡検査を行った後には内科外来の救急処置室で経過観察を行う.
胆膵内視鏡や透視を要する検査は放射線科の透視室を使用している.ERCPを施行する際の放射線防護対策はプロテクターのみであったが,平成26年12月にオーバーチューブ型X線透視台用防護カーテンを導入し,被曝の低減に努めている.
(2019年3月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医3名,研修医など1名
内視鏡技師:Ⅰ種4名
看護師:常勤5名
事務職:2名
看護助手:2名
(2019年3月現在)

(2018年1月~2018年12月まで)

当科は北海道大学消化器内科の医局関連施設である.平成31年3月現在,指導スタッフ3名(加藤元嗣,間部克裕,久保公利),後期研修医1名(松田宗一郎:卒後5年目)の4名体制である.ESDは間部医師を中心に咽頭から大腸まで行っている.他の医師は研究会の参加,専門施設の見学などを経て,胃のESDから開始し30例以上を経験してから大腸ESDを開始している.胆膵内視鏡は北海道大学消化器内科(胆膵Gr)で研鑽を積んだ久保医師を中心に施行し,研修医は久保医師の指導下で施行している.また放射線科IVR専門医が不在であることから,肝生検,経皮経肝的胆嚢ドレナージ術(PTGBD),経皮経肝的胆管ドレナージ術(PTBD),経皮的肝膿瘍ドレナージ術などの処置はすべて当科で施行している.
当科の入院患者数は約40人程度であり,上級医(間部,久保)と研修医によるグループ診療を行っている.毎朝必ず回診を行い病棟患者の指示を出した後に,各自外来業務もしくは内視鏡検査を行っている.カンファレンスは月曜(朝)に抄読会と内視鏡カンファレンスを,(夕)に外科カンファレンスを,水曜(朝)に超音波技師との入院患者カンファレンスを,金曜(昼)に病棟看護師との入院患者カンファレンスを行っている.研修医はカンファレンスの症例提示を行うことにより,入院患者すべての病態を把握し,かつ簡潔に提示することが求められる.また月に5回の2次救急当直や当番を上級医と分担することにより,緊急内視鏡検査の経験を積んでいる.
特に力を入れていることは胃炎診断を含めた消化管領域の診療である.上部内視鏡検査全例に「胃炎の京都分類」に従って胃炎の評価を行うことにより,1年間研修すれば適切な診断能が身につくようになっている.また近年増加しつつある機能性ディスペプシアの診断に飲水超音波検査と内視鏡検査を行い,機能性ディスペプシアとH.pylori関連ディスペプシアを鑑別し病態を評価後に治療を行っている.
前項の内視鏡実績はわずか4人の医師で達成したものである.スタッフは各自内視鏡以外の業務(講演,学会発表,論文作成など)を並行して行い,高いモチベーションの下に活動している.少数精鋭ではあるが,研修医にとってはそのような医師と共に多数の症例を経験し,当番を地道に継続していくことにより,医師としての責任感や能力が自然と身につく環境であると自負している.
近年,北海道がん診療連携指定病院の指定をうけ,NHO函館消化器病センターとNHO函館がん予防センターを設立した.がんの早期発見と予防に力を入れており,「出前講演会」を各地で開催し情報発信と啓蒙に取り組んでいる.道南の人口減は進みつつあり,患者数も減少すると予測されることから,これらの事業については今後も継続し続けなければならないと考えている.
消化管・胆膵内視鏡治療については現在のスタッフで充分に対応可能であるが,RFAやTACEなどの肝細胞癌の治療については専門スタッフがいないことから,同門の関連施設である市立函館病院,函館中央病院に治療を依頼しており今後の課題である.
この3年間での活動により,地域での信頼も得られ順調に内視鏡件数も増加している.内視鏡検査を安全にかつ円滑に進めていくための試みとしてすべての内視鏡検査時にタイムアウト制を導入した.またコメディカルスタッフについてはリーダー制を導入し,リーダーが検査の流れや人員配置をコントロールするようになった.タイムアウト時の確認内容の再考,インターコミュニケーションシステム(インカム)の導入,リカバリー室の設置などが今後の課題として残されている.
本年5月に電子カルテシステムを導入することが決まり,同時に消化器内視鏡学会JED projectに参加することが決定している.データを集積し分析することにより医療の質が高まり,医学の発展に貢献できると考えて,内視鏡室も含めた病院全体で動いている.