日本消化器内視鏡学会雑誌
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短時間で深部挿入を可能とする先導子バルーン型イレウスチューブのインフレデフレ法の有用性
矢野 貴史 永井 敬之村上 和成
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電子付録

2020 年 62 巻 2 号 p. 185

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イレウスチューブ挿入は患者にかなりの苦痛を与える事の多い手技であり,挿入困難や不成功に終わる事もある.当院では2009年より経鼻内視鏡下ガイドワイヤー法にてイレウスチューブを挿入している.経鼻内視鏡法は内視鏡を十二指腸の深部に可能な限り挿入し内視鏡下にガイドワイヤーを十二指腸あるいは空腸起始部に留置し内視鏡を抜去する.その後,先端開口型のイレウスチューブをガイドワイヤーに被せて挿入していく方法である.しかし,従来のイレウスチューブの問題点として,先導子が腸管の肥厚したKerckring皺壁や屈曲・狭窄部で進まなくなったり,反転してしまう事が度々経験される.先導子の周囲にバルーンを新たに装着した先導子バルーン型イレウスチューブ(クリエートメディック社)が,これらの問題を解決すると考えられている.当院では2014年より先導子バルーン型イレウスチューブを使用し,従来のイレウスチューブと比較して,手技の時間短縮と深部挿入に有効であった事を報告した 1.Yamaguchiらもその有効性を報告している 2.われわれは,イレウスチューブが進まなくなった屈曲部だけでなく,十二指腸または空腸起始部から連続的に先導子バルーンをインフレーションとデフレーションを繰り返す操作(インフレデフレ法)をする事で,常に先端の進む方向を変化させ,挿入時間がさらに短縮され深部挿入が可能となった事を見出して報告した(Figure 1 3.今回,先導子バルーン型イレウスチューブのインフレデフレ法の手元操作,ガイドワイヤー操作を含めた動画を提示して(動画1)その有用性について報告する.

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本論文内容に関連する著者の利益相反:なし

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Figure 1 インフレデフレ法と従来法との比較 3

動画 1 短時間先導子バルーン型イレウス管の挿入方法(インフレデフレ法).

インフレデフレ法は先導子バルーン型イレウスチューブの先導子バルーンを十二指腸または空腸起始部から連続的にインフレーションとデフレーションを素早く繰り返しながら深部に挿入する手技である.この手技は2名で行う.術者が先導子バルーンのインフレーションとデフレーション操作を行う.イレウスチューブが進みにくくなった場合は,ガイドワイヤーを引いて位置調整をする操作も重要となる.助手は胃内でイレウスチューブがたわまないように注意しながら挿入する.この方法で挿入すれば当院では初学者であっても短時間で挿入が可能となっている.

文 献
 
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