日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
杏林大学医学部付属病院 内視鏡室
責任者:久松理一(消化器内科診療科長兼内視鏡室長)  〒181-8611 東京都三鷹市新川6-20-2
大野 亜希子
著者情報
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2020 年 62 巻 2 号 p. 291-293

詳細

概要

沿革・特徴など

当院は昭和29年に開院した前身となる三鷹新川病院を経て,昭和45年に杏林大学医学部開設とともに開院した.平成6年には高度医療の提供・技術開発・研修を担う特定機能病院の承認を受け,東京西部三多摩地区の中核的医療センターの役割を果たしている.また高度救命救急センターの認定を受けており,平成9年には総合周産期母子医療センターが開設されるなど,大学病院として臨床医学の教育・研究の場であると共に,救急分野においても地域に根差した高度医療を実践している.許可病床数は1,153床,2018年度外来患者数2,177人,入院患者数809人(2018年度1日平均)と都内でも有数の病床数をもち地域医療に貢献している.

組織

現在の内視鏡室は診療支援部門の一つとして位置づけられており,平成11年の外来棟建設時に地下2階に開設された.内視鏡室での検査・治療は消化器内視鏡分野は消化器内科,上部消化器外科,下部消化管外科,肝胆膵外科,高齢医学科,総合医療学教室が,また気管支鏡分野は呼吸器内科,呼吸器外科が行っており多数の診療科が携わって運営している事が特徴である.内視鏡室室長が全体を統括しており現在は消化器内科診療科長が兼任している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は,外来棟地下2階フロア随一の検査室であり面積は740m2,うちX線透視室が38.66m2を占める.6つの内視鏡室と1部屋の内視鏡専用TV室をもち,下部消化管前処置スペース,リカバリールーム,洗浄室,トイレ,更衣室などがある.高齢患者の増加や交通事情などを鑑み,当初より下部消化管内視鏡検査の前処置は全例院内での飲用を基本としてきた.これにより前処置中のトラブルにも迅速に対応可能となり患者の不安も解消され,安全な検査が可能となっている.また鎮静剤使用希望者には適応とリスクを十分考慮した上で積極的に用いており,検査後はリカバリールームで経過観察を行い,看護師が退室基準を満たした事を確認後に帰宅するよう,スコアリングシステムが運用されている.また上下部消化管出血や胆管炎などの緊急内視鏡検査が多い事から,24時間365日安全に対応できるよう,複数名の医師の当直とオンコール体制を整えている.内視鏡室の画像処理システムに関してはNEXUSシステムを使用しており,今年度内視鏡指導施設としてJEDへの対応を予定している.

スタッフ

(2019年4月現在)

医師:常勤医師43名(指導医9名,専門医10名)

内視鏡技師:Ⅰ種2名

看護師:常勤11名

受付事務:1名

内視鏡洗浄スタッフ:4名

設備・備品

(2019年7月現在)

 

 

実績

(2018年4月~2019年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では,内視鏡の実際をみる機会を学生の頃から設けるようにしている.各診療科はBSL(ベットサイドラーニング)の時期に内視鏡室での見学や講義があり,一般検査からERCPまで見学してもらう時間が確保されている.消化器内科では実際に学生一人一人に内視鏡モデルを用いた体験実習を行っており,全員が内視鏡に触れ興味をもってもらえる機会を作っている.

初期臨床研修期間中は各診療科において,内視鏡検査に関する必要な知識習得が中心となる.担当患者が内視鏡検査・処置を受ける場合には積極的に検査を見学させ,検査の適応判断から準備,検査後管理までを広い観点から学ぶ.さらに希望者には内視鏡モデルを用いたトレーニングも行っている.

当院の消化器内科専攻医は病棟での診療業務の中心を担う立場となる.この時期に,より安全にそして効率的に内視鏡を学ぶために,消化器内科では1カ月間の内視鏡実習期間として「テクニカルターム」システムを採用している.これは消化器内科専攻医が当院で内視鏡検査を始める前に,内視鏡検査に関する基本手技を集中して習得する事を目的に,病棟業務から離れ,優先的にその時間と教育機会を確保できるように設けられたものである.また技術的な点だけでなく,内視鏡所見の読み方や捉え方,考え方までマンツーマンで指導を行う.テクニカルタームを終了する時期には,通常の内視鏡検査を一通りこなす事ができる事を目標としている.終了後専攻医は,指導医の監督のもと施行医として内視鏡検査を行う事が可能となり,その後の内視鏡研修においてさらなる技術習得とその向上に努めている.このように当院で実施している「テクニカルターム」システムは,今後,新たに消化器内視鏡を始める若い医師の内視鏡診療の礎となるだけでなく,安全面と教育面の両面で当院における内視鏡診療を支えている.

現状の問題点と今後

現在内視鏡件数は増加の一途を辿っているが,特に下部消化管内視鏡検査のニーズが高い.検査数に比して必要なトイレの数と前処置スペースが不足しがちであり,利用者が不自由に感じている事も多い.またERCPやダブルバルーン内視鏡検査,気管支鏡検査などの内視鏡専用TV室を利用する検査も増えており,複数科で枠を調整しながら対応しているが,さらなる拡張が望ましい.さらに個室という内視鏡検査室の性質上,全検査室の進捗状況や各検査室で生じているトラブルなどをリアルタイムに把握できるモニタールームの設置も必要である.

また人員面においては,看護師の人員確保も課題である.鎮静剤使用の割合が増えているためリカバリールームへの安定した人員配置などが必須であるが未だ十分とは言えない.個々の看護師の負担軽減や時間外労働削減のための人員増加は勿論の事,今後内視鏡専任の臨床工学技士の配置が検討されている.専門知識の共有以外にも,備品メンテナンスの徹底によるコストの削減など期待される面は大きく,これによって研究活動や内視鏡検査技師数の増加などにもつながる可能性がある.また複数の診療科およびメディカルスタッフが関る大きな部門のため,内視鏡ガイドラインに準じた統一したルール作りとその共有も非常に重要である.これらの問題点を解決すべく,内視鏡室は現在新たな診療部門としてセンター化が検討されており,検査室やTV室の拡充とともに人員調整などの準備が進められている.先進的な内視鏡センターとして生まれ変わる事で,これからの時代に求められる,さらに安全で患者満足度の高い内視鏡診療が可能となる事が期待されている.

 
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