2020 年 62 巻 4 号 p. 508-511
当院は1987年(昭和61年)6月200床の病院とし船橋市をはじめとする千葉県東葛南部エリアの地域医療の一翼を担う病院として開院した.以来1989年(昭和63年)3月304床に増床し,2014年(平成26年)7月全面新築移転を機に許可病床数は391床となった.移転に伴い内視鏡センターを開設した.なお2015年12月より消化器内視鏡指導施設に認定され現在まで継続している.
組織内視鏡室は,独立した部門ではなく外来の一部門となっており,消化器内視鏡検査及び治療と呼吸器内視鏡検査が実施されている.
検査室レイアウト
内視鏡室は1Fに位置し内視鏡検査室4室とX線透視室2室を有し,総床面積557.6m2である.全検査室にCO2送気装置を配備し患者の身体的負担軽減に努めている.また各々完全個室となっており患者のプライバシー確保に十分配慮されている.鎮静剤を使用する方も増加しており検査後のリカバリールームには8台のリクライニングベットを確保している.またカンファレンスルームには全検査室での検査状況と内視鏡画像がリアルタイムにモニターできるようにしており各検査室の状況が把握できるようになっている.また当院は年間約3,500台の救急搬送の受け入れをしている.そのため緊急内視鏡検査処置(消化管出血や胆道感染症etc)が必要な症例も多く,24時間,365日対応できるように3名のオンコール体制で対応している.
(2019年10月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医6名,消化器内視鏡学会 専門医3名,その他スタッフ2名
内視鏡技師:Ⅰ種2名,その他技師5名
看 護 師:常勤5名,非常勤1名
事 務 職:1名
そ の 他:1名
(2019年10月現在)
(2018年1月~2018年12月まで)
当院では初期研修医は毎年4名受け入れている.初期研修では消化器内科としての病棟業務が中心となる.本格的に内視鏡研修を行うのは後期研修医以降の消化器内科専攻医になってからである.初めは指導医の検査を見学し撮影法を理解し一定の基準を満たした時点で上級医の指導のもとマンツーマンで上部内視鏡検査から施行している.上部内視鏡検査が一定レベルに達したら下部内視鏡検査も施行し,その後は拡大観察を用いた精密検査や治療(EMR,ESD)へと段階を経ていく.検査・処置が個々で完遂できるレベルまで育成することを目標としている.その間,消化管出血などの緊急内視鏡検査も上級医とともに処置に積極的に参加するようにしている.また毎週内視鏡カンファレンスと消化器内科・外科カンファレンスを行っている.内視鏡カンファレンスでは問題症例や教育症例を中心に症例提示し若手スタッフが読影することで内視鏡所見の取り方や用語の使い方・診断について習得させることを目標にしている.消化器内科・外科カンファレンスでは主に癌症例についての治療方針を総合的に判断し決定している.同時に術後カンファレンスも行い内視鏡所見と病理所見を個々の症例ごとに検討し,診断能や知見を向上させるように努力している.
2014年8月より新築移転に伴い当院ではʻ内科’からʻ消化器内科’へと標榜を変更した.消化器内科外来では,地域からの信頼も徐々に定着してきており紹介患者数が年々増加(Figure 1)し,それに伴いルーチン検査である内視鏡検査数(GIF,CF,ERCP)も増加傾向である(Figure 2).通常の検査でも1〜2カ月待ちとなることもあり需要に対して十分な供給ができていないのが現状である.増加する検査数をカバーするための医師・看護師・臨床工学技士の人員確保と個々のスキルアップができる体制づくりが現在の問題点として挙げられる.今後については2019年10月よりカプセル内視鏡検査も導入し益々充実した診療体制となる.各業務の見直し,教育体制の強化や各科の連携,院内各部署との協力の強化し,個々の負担を増やさずに質の高い検査を提供できるよう全力を注ぎたいと考えている.
消化器内科への紹介受診数.
内視鏡件数の推移(GIF/CF/ERCP).