2020 年 62 巻 6 号 p. 734-737
和歌山県立医科大学は1945年に和歌山県立医学専門学校として設置認可を受け,同年,和歌山県立医学専門学校附属医院(旧和歌山市民病院)として開院した.空襲による附属医院焼失を経て,1999年,現所在地に統合移転され現在に至る.医大病院は一般病床760床,精神科病床40床を合わせた800床からなり,27診療科と22中央診療部を擁している.県内では唯一の大学附属病院(特定機能病院)であり,質の高い医学研究を基にした高度先進医療を推進し,医学教育・研修を実施するとともに,高度先進医療を通じて県民の医療に責任をもつ県立病院としての機能を兼ね備えている.
組織中央内視鏡部は,病院内の中央部門として独立した組織となっており,現在,内視鏡部部長の北野雅之(消化器内科教授)を中心に運営している.消化器内科・消化器外科・呼吸器内科・呼吸器外科の医師,看護師,放射線技師,臨床光学技師など多職種が協力し,診療を行っている.
検査室レイアウト

2014年,病院敷地内に診療新棟が建設されるに伴い,中央内視鏡部も新棟に移転した.移転前は床面積330m2,内視鏡室5室であったが,現在は床面積884m2,通常内視鏡室6室(1室は陰圧換気による感染対応),治療内視鏡室2室(1室は陽圧換気によるClean Room,全身麻酔が可能),X線テレビ室1室(陰圧換気による感染対応)からなる9室となった.隣接する中央放射線部のテレビ室にも透視下内視鏡ができるよう内視鏡機器を設置し,合計10室で運営している.2階上にある中央手術部へは専用エレベーターでの移動を可能とし,オペ場での内視鏡治療時の導線を確保した.
レイアウトの特徴としては,1)患者とスタッフ・機材運搬の導線を分ける,2)受付から見わたせる広い待ち合いスペース,3)ストレッチャーで待機できる入院患者用ベッド待ち合いスペースの確保,4)患者用トイレと更衣室の確保,5)ナースステーションからリカバリールームを一望できるようにする,6)個別の空調システム,7)内視鏡全検査の画像・部屋の様子をリアルタイムでモニタリングできるモニターカンファレンスルームなどが挙げられる.また,各部屋の内視鏡機器に動画記録システムを導入.ワンタッチで動画をサーバーに録画できるようにしている.
(2020年1月現在)
医師:内視鏡学会指導医11名,内視鏡学会専門医26名,その他スタッフ30名,研修医など10名
内視鏡技師:Ⅰ種4名,Ⅱ種1名
看護師:常勤11名
事務職:1名
その他:臨床光学技師4名,放射線技師2名,洗浄員5名
(2020年1月現在)

(2019年1月~2019年12月)

近年,内視鏡の需要はますます高まってきており,内視鏡医の育成は重要課題の一つである.初期研修中は内視鏡に興味をもってもらえるよう様々な処置に介助としてついてもらいながら内視鏡の基本操作,撮影方法,診断学を学んでいただく.また,看護師・臨床光学技師・放射線技師など他職種の方とも連携し,介助や洗浄方法を含めた機器の取り扱いを身につけてもらう.
トレーニングモデルを用いて基本的操作を習得した後,上部消化管スクリーニング検査の引き抜きから開始し,個々の技量に合わせて生検.挿入などステップアップを図る.上部内視鏡の経験をある程度積んだ後,大腸内視鏡検査を,引き抜き,挿入の順に制限時間を設定しながら実施している.
後期研修に入ると,指導医が上下部内視鏡スクリーニング検査の習熟度を確認しながら,拡大IEE観察,ERCP,EUS(EUS-FNA),Interventional EUS,EMR,ESD,EIS,EVL,小腸内視鏡など,より専門性の高い内視鏡へと研修を進めていく.モニターカンファレンスルームでは,常時指導医責任者を含む待機内視鏡医が全検査をリアルタイムで観察しており,治療に難渋している場合にはサポートに入るシステムを構築している(Figure 1).週1回,消化管と胆膵の各領域で内視鏡カンファレンスを実施.後期研修医にもプレゼンテーションをしてもらい,撮影方法・読影力のスキルアップを図る.さらに,1週先までの治療予定症例の術者およびストラテジーの確認,治療終了症例の術後経過および病理結果を全員で共有している.

モニターカンファレンスルーム.
指導医責任者を含む待機内視鏡医が全検査をリアルタイムで観察.
2017年より年一回,消化器内視鏡学会の共催のもと「きのくにライブ」と称した和歌山消化器内視鏡ライブデモンストレーションセミナーを開催し,関西地方を中心として,日本全国から約200名の先生方にご参加いただいている.日本を代表する消化器内視鏡医に,消化器内視鏡の基本的技術・最先端技術を披露いただき,情報共有することで消化器内視鏡技術の教育・発展に寄与している.
内視鏡技術の進歩に伴い,治療内視鏡の領域拡大はめざましいものがある.われわれの施設も同様で,スクリーニング内視鏡以上に,拡大観察やカプセル・小腸内視鏡,超音波内視鏡に代表される精査内視鏡やESD,POEM,EUS-FNA,interventional EUSなど治療内視鏡の増加が著しく,2017年度以降は年間10,000件を超え年々増加している.また,和歌山県唯一の特定機能病院,県立病院でもあり関連病院とのネットワーク構築にも力を入れており,膵癌を早期に診断するための「きのくにプロジェクト」と称する地域連携システム構築,2019年には膵癌センターも設立し,より専門性の高い内視鏡医療に応えるための体制づくりに尽力しているが,医師だけでなく,看護師,放射線技師,臨床光学技師などコメディカルの人員確保,設備・医療機器の拡充が必要不可欠であるが,十分とは言えないのが現状である.働き方改革,医師臨床研修制度,在院日数など周りを取り巻く諸問題にも配慮しながら,高度化する内視鏡医療に対応できるよう取り組んでいきたいと考えている.