日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
社会医療法人製鉄記念八幡病院 内視鏡センター
責任者:中村滋郎(消化器内科部長兼内視鏡センター長)  〒805-8508 福岡県北九州市八幡東区春の町1-1-1
中村 滋郎
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2020 年 62 巻 6 号 p. 738-740

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概要

沿革・特徴など

製鉄記念八幡病院は1900(明治33)年に官営八幡製鐵所の附属病院として設立された.現在29診療科を有し,急性期病床に加え地域包括ケア病棟,回復期リハビリ病棟,緩和ケア病棟など計453床の許可病床を備えた,北九州医療圏の中核病院である.「住民の暮らしを支え,健康長寿をめざした地域づくりに貢献します」を使命とし,がん・心血管病・生活習慣病の診療に尽力している.2018年は外来延べ患者数130,010人,入院延べ患者数133,452人,救急車受け入れ3,360台であった.

組織

従来内視鏡室は内科外来の一部門であったが,2015年に中央診療部門に属する内視鏡センターとして改組された.消化器内科(消化管内視鏡一般),肝臓内科(静脈瘤治療),消化器外科(胆道系内視鏡),呼吸器内科(気管支鏡)に加え看護部,臨床工学部がそれぞれスタッフを派遣し運営している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

内視鏡センターは外来棟1階の内科外来に隣接しており,独立した検査室3室と受付,待合スペース,前処置室,説明室,洗浄スペース,更衣室,多目的トイレを有し,総面積76.7m2である.このほか放射線部,ICUにもそれぞれ内視鏡システムを配備しており,バルーン式小腸内視鏡,治療内視鏡,ERCP,気管支鏡,緊急内視鏡に対応している.リカバリースペースはセンターに隣接する中央処置室と共用している.内視鏡画像・レポートはJEDプロジェクト対応の画像ファイリングシステム(OLYMPUS社Solemio QUEV)に集積され,院内電子カルテ端末,ならびに当院が開発した地域医療連携システムSMILE2にて閲覧可能である.

スタッフ

(2019年12月現在)

医師:消化器内視鏡指導医1名,専門医4名,その他スタッフ8名,研修医2~5名

内視鏡技師:3名

看護師:常勤4名,非常勤5名(すべてセンター専従)

臨床工学技士:6名(うちセンター専従1名)

洗浄スタッフ:1名(センター専従)

設備・備品

(2019年12月現在)

 

 

実績

(2018年1月~2018年12月)

 

 

指導体制,指導方針

【初期研修医】

当院は臨床研修指定病院に指定されており,年間15名前後が初期研修を行っている.消化器内科を例に挙げると,2年間のうち6週~3カ月間ローテートし,上級医とともに消化管・膵疾患患者を受け持つ.週2回のカンファレンスに必ず参加して,担当患者を含め全入院患者の治療方針についてディスカッションを行う.内視鏡に関しては,1年次には検査・治療の見学を行い,手技や治療に関するレクチャーを受ける.さらに上級医の監督のもと,患者の了解を得て内視鏡操作を体験したり,各種治療の際に助手を務めることもある.2年次にローテートする初期研修医は消化器内科や外科志望の者が多いため,上部消化管内視鏡を一人で検査できるよう,手技・観察・診断について上級医からマンツーマンの指導を受ける.2~3カ月で50~100例の上部消化管内視鏡検査を経験している.

【後期研修医】

当センターでは,九州大学に入局した卒後3~5年目の専修医を受け入れ,各科にて指導・教育を行っている.消化器内科では外来・入院診療に加え日々の内視鏡検査を担当する.最初の2~4カ月で上部消化管内視鏡検査が滞りなく行えるレベルに到達すると,上級医の指導の下大腸内視鏡のトレーニングを開始する.十分経験を積んだと判断されれば単独施行に移行し,その後大腸ポリープ切除(EMR・ポリペクトミー)の手技を習得する.また上級医とともに内視鏡的止血術を行い,クリッピングや止血鉗子,アルゴンプラズマ凝固法など各種止血技術を学ぶ.さらに内視鏡技師指導のもとスコープの洗浄消毒を経験する.

2年目以降は多数の検査や治療を経験し,色素散布・拡大観察・超音波内視鏡の技術を習得する.各種モダリティから組織像の推測に至る考え方を学び,実際の病理組織標本と対比してフィードバックを行う.ESDはあらかじめ介助を十分経験した上で,止血術やEMRについても問題なく施行できると判断された時点で,上級医の介助・指導下に開始する.

現状の問題点と今後

北九州市八幡東区には内視鏡検査を行う開業医が決して多くなく,さらに近隣病院消化器内科の規模縮小も重なり当院に検査・治療依頼が集中しているのが現状である.一方で,1日2~4名の消化器内科医が内視鏡検査のほとんどを,病棟業務・急患対応などと平行して行っており,各人にかかる負担は大きい.さらに当センターは気管支鏡検査・経食道心エコー検査の介助や耳鼻咽喉科・歯科・泌尿器科・手術部からのスコープ洗浄も請け負っており,看護師や臨床工学技士の数も決して十分ではない.

また,センターの総面積が狭く,リカバリースペースを抱える余裕がないため,前処置から検査,リカバリーまでの流れに一貫して対応できないのも,動線・時間短縮やリスク管理の点で問題である.

前者については引き続き関係医局へ人員派遣を働きかける所存であるが,後期研修医などをさらに広範囲から募集することも検討していく.後者は現在の建物でこれ以上の拡張は望むべくもなく,将来のリプレースに期待する.

 
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