日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝門部悪性胆道狭窄に対する新たな内視鏡的3区域ドレナージ法
斎藤 豊丸木 雄太肱岡 範
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2020 年 62 巻 7 号 p. 834

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抄録

【背景と目的】Bismuth ⅢaもしくはⅣ型の肝門部悪性胆道狭窄(malignant biliary strictures:MBS)を有する患者に対するドレナージには,3本以上のステントが必要になる場合がある.金属ステント(self-expandable metallic stent:SEMS)を用いたmultistentingは,これまでPartial stent-in-stent(PSIS)による留置が唯一の方法であった.近年,6Fr以下の細径ステントデリバリーが製品化され,2本のSEMSを同時に留置するside-by-side stenting(SBS)法が開発された.3本以上のmultistentingに対しても,このSBS法にPSIS法を組み合わせた方法であるHybrid法による留置が可能となった.本研究では,新たな内視鏡的3区域ドレナージ法であるHybrid法の有効性と安全性を評価している.

【方法】本研究では,Bismuth ⅢaもしくはⅣ型のMBSを有する17人の患者に対してHybrid法を用いたmultistentingを施行した.

【結果】手技的成功割合は82%(14/17)であり,処置時間中央値は54分であった.手技を通してバルーンによる拡張を必要とした患者は2人であった.2人の患者(12%)に早期偶発症として胆嚢炎を発症し,1人の患者(6%)に晩期偶発症として肝膿瘍を認めた.Hybrid法を用いたmultistentingのステント開存期間中央値は189日であった(95%信頼区間:124~254日).

【結論】ステントデリバリーの細径化により可能となった内視鏡的3区域ドレナージであるHybrid法を用いたmultistentingは,肝門部MBSに対する効果的な内視鏡的ドレナージ法である.

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© 2020 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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