日本消化器内視鏡学会雑誌
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資料
本邦における小腸狭窄が疑われた患者に対するタグ非搭載パテンシーカプセル検査の全国多施設前向き調査
中村 正直渡辺 憲治大宮 直木平井 郁仁大森 鉄平徳原 大介中路 幸之助能田 貞治江﨑 幹宏鮫島 由規則後藤 秀実寺野 彰田尻 久雄松井 敏幸J-POP スタディグループ
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電子付録

2021 年 63 巻 10 号 p. 2242-2252

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要旨

【目的】ピルカムパテンシーカプセル(PillCamTM patency capsule:PPC)は,消化管の開通性を評価するために使用される検査である.本研究の目的は小腸カプセル内視鏡(small bowel capsule endoscopy:SBCE)滞留を防ぐためのPPCの適正使用を検討することであった.

【方法】この前向き多施設共同研究では,小腸狭窄が疑われる,または既知の小腸狭窄を有するSBCEの適応となる患者を継続的に登録した.PPCの原形排出または大腸における存在は,消化管開通性ありとみなされた.本研究の主要評価項目と副次評価項目は消化管開通性が確認された後のSBCE滞留率と,開通性,SBCE滞留に影響する因子の検討であった.

【結果】研究に登録された1,096人の患者のうち,開通性は976名(89.1%)で確認された.PPC原形排出は579名の患者で認めた.残りの517名のうち,401名は画像診断法を使用して開通性が確認された(77.5%).SBCEの滞留は,SBCEを受けた963名の患者のうち5名(0.51%)で認め,既知のクローン病(Crohnʼs disease:CD)患者1.0%,CD疑い例0%,腫瘍0%,および原因不明の消化管出血1.6%であった.これらはPPCの局在を画像診断で誤って解釈されていた.消化管開通性なしは,既知のCD,画像上狭窄,腹部膨満,血清アルブミンレベル<4.0g/dL,および以前の小腸閉塞(調整オッズ比:4.21,2.60,2.47,2.12,および2.00)に関連した(95%信頼区間:それぞれ2.62-6.78,1.62-4.17,1.43-4.27,1.32-3.40,および1.15-3.47).

【結論】PPCは,ほとんどの患者でSBCEの滞留を防ぐために有用であったが,PPC未排出症例では,その正確な位置特定が不可欠であった(StudyはUniversity Hospital Medical Information Network,#UMIN000010513に登録されていた).

Ⅰ 緒  言

小腸カプセル内視鏡検査(small bowel capsule endoscopy:SBCE)は,苦痛や放射線にさらされることなく小腸全体を探索するための有用なツールとして開発された 1が,消化管狭窄の近位にカプセルが滞留するリスクを有する 2.そのような状況であってもクローン病(Crohnʼs disease:CD),小腸腫瘍などの小腸狭窄が疑われる患者,または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の長期使用後の患者には単回で非侵襲的に全小腸を観察できるためSBCEが使用されている.カプセル滞留のリスクを最小限に抑えるために,開通性評価カプセルを使用して消化管を評価してきた.アジャイルパテンシーカプセル(Agile patency capsule:APC)は,SBCEとサイズと形状が類似しており,放射線被曝を必要とせずに体内の位置を検出するための放射線不透過性の無線周波数識別(Radio Frequency Identification:RFID)タグを備えた,オリジナルの溶解可能なダミーカプセルである 3.タイマープラグ両端は嚥下後30時間まで原形のままで,30〜40時間後に溶解し始めるように設計されている.APCと,コンピューター断層撮影(CT),CTエンテログラフィー,磁気共鳴エンテログラフィー,および重大な狭窄を検出するための小腸造影を含む放射線検査の感度と特異性は同等と報告されている 4.APCは消化管狭窄の検出に役立つが,RFIDタグはそれ自体が狭窄にはまり込む可能性があった 3.PillCamTMパテンシーカプセル(PPC)は,より安全な消化管評価のためのタグなしAPCとして2012年7月に日本で最初に導入された.その安全性と有用性はいくつかの後ろ向き研究で報告されているが 5)~7,臨床転帰と有害事象は大規模な前向き研究では明らかにされていない.

本研究では,小腸狭窄の疑いを評価するためにPPCを使用する患者において,日本での前向き多施設共同研究に登録した多数の参加者からPPCとSBCEに関する臨床データを調査し,適切なPPCの使用法を決定することを目的とした.

Ⅱ 方  法

研究デザイン

この研究は,前向き,多施設観察研究である.選択基準はSBCEの前にPPCによる評価が予定された小腸狭窄が疑われるまたは既知の小腸狭窄を有する患者であった.小腸狭窄は,カルテ記録と患者へのインタビューに基づいて,各医師によってレビューされた.狭窄症状はあるが,事前の画像検査では狭窄が不明な患者も登録した.除外基準は,添付文書にしたがって,進行中の小腸閉塞,バリウムに対するアレルギー,および嚥下障害のある患者とした.主要評価項目は,PPCによって消化管開通性が確認された患者のSBCE滞留率,副次的評価項目は消化管開通性とSBCEの滞留に有意に関係する因子を調べることであった.この研究は,各参加施設の施設内倫理委員会によって審査および承認された.すべての患者から書面によるインフォームドコンセントを得ることとした.この研究は,大学病院医療情報ネットワーク(UMIN000010513)に登録され,日本カプセル内視鏡学会の開通性カプセルの適切な使用に関する調査(J-POP研究)として登録された.すべての著者は研究データにアクセスし,最終原稿をレビューして承認した.

PPCおよびSBCE

PPC(メドトロニック社製,ミネソタ州ミネアポリス)の嚥下時間は,主治医の判断で決定した.患者は排出時にPPCを回収するように求められた.医師はPPCの排出時間と形態について患者にインタビューした(すなわち,カプセルが原形か,体部とプラグの両方が変化なく硬い,体部が原形であるか,体部は原形で硬いがプラグが崩れてきたか,崩壊した体部,体部は元の寸法を失って軟らかくなった,殻のみ,PPCの崩壊したカプセルの内容),または回収したPPCの状態を直接評価した.消化管開通性ありは原形のPPC,すなわち変形のないカプセルまたは変形のない体部を有しての排出として定義され,単純X線およびCTを含む画像診断法を使用してPPCが写っていないか大腸内に原形PPCが局在化していれば,この際にも開通性ありとした.設定はPPCとSBCEの実際の臨床診療の観察研究であった.ゆえに本調査ではPPCによる開通性評価の時間は設定されていなかった.開始後33時間以内にPPCが体外排出されなかった場合,主治医の判断により開通性評価が延長された.開通性が確認された後,患者は最も早期の都合が良いときにSBCE(PillCamTM SB3,メドトロニック社製,ミネソタ州ミネアポリス)を受けた.全小腸内視鏡検査は,充電時間内での盲腸へのSBCE到達として定義された.SBCEの調査結果は,参加各施設の医師によって評価された.原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding:OGIB)は,通常内視鏡検査(大腸内視鏡検査または胃内視鏡検査)の結果が陰性であった後も持続または再発した原因不明の出血として定義された.SBCEの滞留は,内視鏡的または外科的介入がなされない限り,消化管に最低2週間残っているSBCEとして定義された.データは前向きに集積され,各施設で作成された症例報告書は大阪市立大学医学部附属病院のデータセンターに送信された.

統計分析

統計ソフトウェアパッケージSAS9.3(SAS Institute Inc.. Cary, NC, USA)を使用してデータを分析した.単変量および多変量ロジスティック回帰分析を使用して,PPCによる消化管非開通に関連する因子を特定し,結果を95%信頼区間(CI)の調整オッズ比(OR)として表した.PPC開始時間と消化管開通性の関係は,スピアマンの相関係数を使用して分析された.PPC開始から消化管開通性確認までの時間と全小腸内視鏡検査率との関係をマンホイットニーU検定を使用して分析した.有意差は0.05未満のP値で有意であるとみなされた.

Ⅲ 結  果

この研究は日本の38の施設で実施され,小腸狭窄が疑われるまたは既存の小腸狭窄のためにPPCを開始した合計1,096名の患者が2013年1月から2014年5月の間に登録された.PPCとSBCEの検査データをTable 1に示す.絶食を含む前処置,下剤,蠕動運動促進薬,PPC開始時間,消化管開通性を確認する方法,全開通性確認率,および基礎疾患と狭窄症状によって層別化された開通性確認率をTable 2に示した.研究フロー図をFigure 1に示した.全1,096件のPPC中,579件のPPCの形状と硬度を手作業で確認でき,4件のPPCが一部の領域で溶解した.575名の患者における原形PPCまたは原形の体部を有するPPCの累積排出率は,摂取後24,30,および33時間以内にそれぞれ303(52.6%),454(78.9%),および528(91.8%)であった(Figure 2).1例では,PPC開始から最長の時点である96時間でPPC原形の排出が確認された.残りの517名の患者のうち,開通性は401名が画像診断法を使用して確認された(77.5%).PPC開始時間と開始から開通性評価までの時間の関係をFigure 3に示した.PPCは朝と夕食後に最も多く開始されたが,開通率と有意な相関は認めなかった(r=-0.013,P=0.697).その後のSBCE施行率,開通性確認とSBCEの間隔,洗浄剤と運動促進薬を含む前処置,およびSBCEでの全小腸観察率をTable 2に示した.PPC開始から消化管開通性確認までの時間は,全小腸観察グループ(n=874)で25.8±9.2時間であり,全小腸観察できなかったグループ(n=84,28.8±9.0時間,P=0.016)よりも有意に短かった(Figure 4).

Table 1 

臨床背景と血液検査所見(n=1,096).

Table 2 

パテンシーカプセル,小腸カプセル内視鏡と偶発症.

Figure 1 

調査のフロー図.

PPC,PillCamTMパテンシーカプセル.SBCE,小腸カプセル内視鏡検査.

Figure 2 

575名の患者における原形パテンシーカプセルまたは原形体部の累積排出率.

Figure 3 

PPC開始時刻とPPC開始から開通性評価までの時間との関係.

△,の開通性未確認;PPC,PillCamTMパテンシーカプセル.

Figure 4 

PPCの内服から開存性の確認までの期間はSBCEの全小腸観察の成功,不成功と関係した.

有害事象

各医師はSBCEの結果を患者に説明し,2週間後にSBCEの安全な体外排出を確認した.消化管開通性確認後のSBCE滞留率,小腸閉塞,およびPPC開始後の腹痛をTable 2に示した.SBCEは施行963名の患者のうち5名(0.5%)で小腸に滞留した(Figure 1).これら5名の患者の特徴をTable 3に示した.既知のCD1.0%(3/290),CD疑い例0%(0/98),腫瘍0%(0/136),および原因不明の消化管出血のある患者は1.6%(2/124)であった.SBCE滞留は,これらすべての患者におけるPPCの局在誤認によるものであった.滞留したすべてのカプセルは,その後の画像検査とバルーン内視鏡を使用して検査され,小腸内のカプセルの位置が明らかになった.CTを受けた患者#3では,医師はPPCの位置を大腸内と誤って解釈した.その後のダブルバルーン内視鏡検査により,SBCEが回腸結腸吻合の狭窄の近位に留まっていることが明らかになった.これは内視鏡的バルーン拡張後に内視鏡的に回収された.消化管開通性およびSBCE滞留に関連する重要な因子について,単変量および多変量解析を使用して評価された(Table 4).単変量解析では,10項目の重要な因子がリストされた.これら10因子の多変量解析により,消化管開通性の確認は既知のCD(調整OR,4.217;95%CI:2.622-6.780;P<0.001),画像診断法で検出された狭窄(調整OR,2.601;95%CI):1.624-4.166;P<0.001),腹部膨満感(調整OR,2.467;95%CI:1.426-4.268;P=0.001),血清アルブミンレベルが4.0g/dL未満(調整OR,2.119;95%CI:1.321-3.400;P=0.002)(Figure S1(電子付録)),および以前の小腸閉塞(調整OR,2.001;95%CI:1.153-3.474;P=0.014)と有意に関連していた(Table 4).SBCE滞留に関連する因子の単変量および多変量解析の結果を示す(Table 5).単変量解析により,3つの重要な因子が特定された.これら3項目の多変量解析により,SBCE滞留は腹部腫瘤(調整OR,26.447;95%CI:1.997-350.157;P=0.013),血中ヘモグロビンレベルが10.0g/dL未満(調整OR,1.532;95%CI:1.017-2.307;P=0.041),および33時間以上のPPC検査時間(調整OR,1.068;95%CI:1.002-1.137;P=0.044)と有意に関連していた.

Table 3 

消化管開通性確認後のカプセル内視鏡滞留例.

Table 4 

消化管非開通性に関わる因子.

Table 5 

小腸カプセル内視鏡滞留に関わる因子.

Ⅳ 考  察

この前向き研究はPPCを評価する最大のリアルワールドデータであった.その主要評価項目である,PPCによる消化管開通性確認後のSBCE滞留率は,0.5%(5/963)であった.具体的には,既知のCD,CD疑い例における開通性確認後のSBCE滞留率は各々1.0%(3/290)および0%(0/98)であり,一方開通率は79.2%(290/366)および96.1%(98/102)であった.小腸狭窄のように,SBCEが困難な状況に適用される場合,SBCEの前のPPCの使用は重要である.日本では,PPCを使用しない場合のSBCE滞留率が既知のCD,CD疑い例でそれぞれ7.4%(7/94)と6.3%(5/80)と高かったため,PPCはSBCE滞留を排除するために積極的に使用されてきた 5),6.全国多施設調査によると(Table S1(電子付録):既報によるカプセル内視鏡滞留率) 8)~10,Rezapourらは近年,体系的レビューとメタアナリシスで,既知のCD,CD疑い例における開通性評価を事前にしていない症例で集積されたSBCE滞留率を報告し,各々8.2%と3.6%であった.CTエンテログラフィーを使用した研究における主に炎症性腸疾患患者の滞留率は2.7%であり,半減する 9.Pashaらの報告ではSBCE滞留率は既知のCD,CD疑い例でそれぞれ4.63%(95%CI,3.42%-6.25%)と2.35%(95%CI,1.31%-4.19%)であり,既知のCDにおいてパテンシーカプセル後では減少し(2.88%;95%CI,1.74%-4.74%),およびMR/CTエンテログラフィー後でも減少した(2.32%;95%CI,0.87%-6.03%) 11.彼らは,既知のCDにおけるSBCE前の消化管開通性評価の重要性を示唆した.CD疑い例に限定した場合,パテンシーカプセル検査なしで発表されたSBCE率は0.00%から6.30%まで幅があると報告されている 8),12)~16.European Society of Gastrointestinal Endoscopyは,既知のCD患者にSBCEが適応となる場合,パテンシーカプセル検査を推奨している.ただし,クローン病が疑われる患者では,SBCEの前に定期的な小腸イメージングやパテンシーカプセルの使用は推奨していない 17.CDの疑いは,実際のCD,ベーチェット病,単純性潰瘍などのさまざまな疾患として最終的に診断され得る.腸結核,SLCO2A1 18に関連する慢性腸症,潰瘍性大腸炎,過敏性腸症候群 8も同様である.さらに,NSAID起因膜様狭窄および放射線性小腸炎による狭窄が診断される可能性がある 9

SBCEの滞留は,狭窄を伴った基礎疾患を持つ患者を含めるか除外するかという医師の決定に確実に依存した.消化管開通性確認後のSBCE滞留率が1.0%以下であったことを考慮すると,この研究の単純X線画像から決定された位置の誤認4例と,後の小腸内視鏡または外科的回収の労力と患者の侵襲性から,既知のCD患者とCD疑い例の両方でPPC検査を定期的に実施する必要があると結論付けた.

SBCEの滞留に関連する重要な要因は,腹部腫瘤,10g/dL未満の血中ヘモグロビンレベル,および33時間以上のPPC検査時間であった(Table 5).このような特徴を示す患者では,消化管の開通性の確認を慎重に評価する必要があると考えた.開始後30〜33時間のPPCを使用した開通性評価は,開始時刻に関係なく適切であることがわかった.また,PPCが特定の時間枠内に体外排出されなかった場合は,単純なX線だけでなく,CTスキャンも正しい位置を特定するために推奨される.

Römmeleらは,開始後33時間でAPCが被験者の47.4%(18/38)にまだ体内に存在し,45時間までに原形APCが2名の被験者で排出され,X線またはCT14名で結腸に検出されたと報告した.最終的にカプセルの滞留は認めなかった 19.評価時間をさらに延長すると,患者はより長い時間を待って,繰り返し病院を訪れる必要があるが,一部の患者は画像評価を回避しながらその後のSBCEを受けることができた 5.しかし,この研究では33時間後以降に開通性が確認された患者はわずか9%であった.製造メーカーの指示によると,ほとんどの患者においてAPCは小腸で30〜100時間で溶解するとされる.したがって,消化管開通性の確認は,PPC開始後30〜33時間に実行する必要がある.患者は糞便内に排出されたPPCに気付かない可能性があるため,その際には単純X線を撮影する必要がある.しかし,この研究では,PPCの13.4%のみが最終的に単純X線で確認されたことが示された.大腸内のPPCの位置が疑わしい場合は,さらに画像診断法を追加選択する必要がある.単純CTは最も信頼性の高い方法であり,この研究では1,096名の患者のうち150名(13.6%)で使用された.Watanabeらは,重大な狭窄のない長さ5cmを超える重度の癒着と日常生活動作の低下が,PPC検査の偽陽性結果の原因であると示唆した 5.さらに,排出時間に応じて,小腸通過時間やSBCEによる不完全な小腸観察を推定することができる(Figure 4).対照的に,開通性の確認後にSBCEを受けた患者では,PPC開始後33時間以内に腹部単純X線でPPCがない場合はSBCE滞留がなかった(n=75,Table 2).したがって,SBCEはPPC開始後33時間以内に腹部単純X線でPPCが体内にないことを確認した後,安全に実施することができると考える.

この研究には,さまざまなPPC評価プロトコルの使用や,参加施設の医師の裁量によるPPC評価時間の延長など,いくつかの制限があった.しかし,私たちの研究の主な目的は,1,000件を超える大規模なリアルワールドデータの評価に基づいて適切なPPCの使用法を評価することであった.PPCがSBCEの滞留を防ぐのに非常に効果的であるのに対し,潜在的な滞留リスクがあることを確認した.CD患者の詳細な有害事象と有用性に焦点を当てたPPC摂取後の追跡調査は,この研究のサブ分析として提示された.OGIBは,初期または一次内視鏡検査(大腸内視鏡検査または胃内視鏡検査)の結果が陰性であった後も持続または再発した原因不明の出血として定義された.すべての患者は2013年1月から2014年5月の間に登録された.その後Gersonらは 20,2015年のACG臨床ガイドラインでOGIBを,標準的な上部および下部内視鏡検査,SBCEおよび/または小腸内視鏡検査による小腸評価,およびX線検査の実施後に出血源が見つからなかった患者と定義した.この研究のOGIB症例の半数以上は,小腸出血のカテゴリーに分類された.

Ⅴ 結  論

この研究によって,適切なPPC評価法は小腸狭窄が疑われる患者のより安全なSBCE検査に貢献することを示した.PPCが体外排出されない限り,PPCの位置を正確に診断することが特に重要である.より安全で費用効果の高い開通性評価方法が今後必要である.

謝 辞

本研究は,2013年7月に開催された日本カプセル内視鏡学会の年次総会でアナウンスされ,参加施設が募集された.この研究の一部は,ワシントンDCで開催されたDDW2017で発表された.著者は,この大規模なデータセットに対して実行された統計分析をサポートしてくれたSTELLA Co. Ltdに深謝する.大阪市立大学臨床研究センターのスタッフはデータベースをサポートしていただいた.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:著者N.O. 講演料 CovidienJapan.著者F.H.は,Abbvie GK,EA Pharma Co.,Ltd.,Janssen PharmaceuticalK.K,持田製薬株式会社,田辺三菱製薬株式会社から講演料.他の著者は開示するCOIはない.この研究の資金は,日本カプセル内視鏡学会から提供された.

補足資料

Figure S1a:3.95g/dLの血清アルブミンレベルで消化管開通性に影響を与える因子のROC曲線.感度と特異度はそれぞれ57.7%と58.0%.

b:PPCによる開通性評価時間による消化管開通性に影響を与える因子のROC曲線.30時間(感度75.4%;特異度38.1%)および33時間(感度56.6%;特異度82.3%).

Table S1既報によるカプセル内視鏡滞留率と概要.

Appendix S1J-POPスタディグループ.

文 献
 
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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