2021 年 63 巻 10 号 p. 2280-2282
当院は昭和22年3月,厚生省(現厚生労働省)が主体となり組合立慈光病院を買収.その経営を(財)山梨社会保険協会が受託し,同年5月より社会保険山梨病院として診療を開始した.昭和33年9月1日(社)全国社会保険協会連合会(全社連),平成26年4月1日,独立行政法人地域医療機能推進機構山梨病院(JCHO ジェイコー)が経営を継承し現在に至る.
2013年5月に新病院が建設され,病床数168床(急性期病棟126床,地域包括ケア病棟42床の計168床),健診管理センターを併設し地域医療の要となるよう日々努めている.この規模の病院ながら2020年4月からは消化器内科9名(常勤医7名,非常勤3名),消化器外科常勤医1名(+非常勤3名)と恵まれており「消化器病センター」として内科,外科問わず夜間,休日もオンコール体制をおき24時間消化器救急疾患に対応している.
組織当院の内視鏡検査室は他の検査部門から独立し主に消化器内科が管理している.業務は消化器内科医が中心となり消化器外科,呼吸器内科の医師が診療にあたっている.
看護師,他のスタッフは内視鏡室専属となっている.
検査室レイアウト
当院では地下1階に健康管理センターがあり健康診断のすべての検査はこのフロアでできるようになっている.内視鏡室,放射線部もあり内視鏡室は健診用,外来用で別の入り口を設け動線が交差しないようになっている.検査室は全部で5ブースあり平日午前中に外来上部内視鏡,健診内視鏡合わせて80件前後,午後は予約の大腸内視鏡検査(40件前後/週),週2件ESD(内視鏡的粘膜下層剝離術),予定ERCP(内視鏡的逆行性膵胆管造影法)に加え緊急処置を行っている.処置用の2ブースはCO2送気,ウォータージェットが常備しており緊急用としていつでも使用できるようになっている.
2020年7月~10月にかけて内視鏡システム,スコープを一新し詳細な観察が可能となっている.近日Endcyte,Endbrain等AIシステムも導入される予定であり更なる診断の向上も期待される.
(2021年1月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医1名,専門医6名,その他スタッフ3名
内視鏡技師:2名
看護師:常勤10名
事務職:2名
洗浄:3名
JCHO 山梨病院 内視鏡室スタッフ
(2021年1月現在)
(2020年1月~12月まで)
前述のように消化器内科常勤医は現在7名おり内6名を3ユニットに分け上級医+若手医師で入院診療,処置を行っている.また夜間,休日のオンコールもこのユニットごとになっているため緊急処置時も常に指導しながら消化器内科医2名以上での対応が可能になっている.若手医師は下部内視鏡は200件/年以上を目標としている.上部,下部とも生検,EMR(内視鏡的粘膜切除術),止血処置が問題なく施行できることが確認できたらESD,ERCPを行う.ESDは胃前庭部病変から開始し徐々に体部病変,胃角部と広げていく.ERCPは合併症も懸念されるため挿入困難と判断した場合にはすぐに上級医と交代する.
上級医指導のもと,可能な限り検査を経験する機会を設けている.
また,毎週消化器病センターとして内科,外科合同で1週間の予定処置,外科転科症例,また問題症例に関して担当医師は症例の病歴,診断,内視鏡所見などプレゼンテーションを行い,質疑応答を行い方針の検討をする.
現在内視鏡医は外勤医含めて充実しているが内視鏡検査ブースが5室しかなく平日午前中の膨大な検査数(健診,外来上部内視鏡+緊急処置)を時間内にこなすのが困難である.また今後は鎮静下の処置の増加が予想されそれに伴うリカバリースペースも不足している.現在検査ブースの増築が可能かどうか検討しており,リカバリーに関しては外来ベッドを借り対応している.
午後は主に下部消化管内視鏡検査に加え,月曜日,火曜日はESD,それ以外の緊急処置も適宜行っているため検査終了が時間外にかかってしまうことが多々あり看護師などパラメディカルスタッフの負担増もある.
これに対しては可能な範囲で検査を並列で行うことや,夜間,休日の緊急内視鏡に関しても医師が内視鏡洗浄等可能な限り自主的に行うことで負担軽減に努めているが今後更なる改善が必要と考える.