日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
全国土木建築国民健康保険組合総合病院 厚生中央病院
責任者:根本夕夏子(消化器病センター内科 統括部長)  〒153-8581 東京都目黒区三田1-11-7
中村 文彦剛﨑 寛德
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2021 年 63 巻 3 号 p. 334-337

詳細

概要

沿革・特徴など

当院は,全国土木建築国民健康保険組合(昭和18年4月 発足)により設立された医療機関である.昭和34年5月,保険サービスの向上を図ることを目的として,組合被保険者のための診療機関および全国の直営診療所の診療センターとして創設された.その後30年が経過して,建物や設備の老朽化が進み,平成4年6月には病床数320床(地上8階,地下2階)の新病院を開設した.恵比寿ガーデンプレイスやウェスティンホテル東京等に隣接する一方で,目黒駅と恵比寿駅(ともにJR,東京メトロ)のほぼ中間に位置しており,特に最寄りの恵比寿駅からは動く歩道の利用により,病院へのアクセスも良好で,恵まれた立地条件となっている.現在,当院は目黒区の地域基幹病院として,組合被保険者や地域住民に質の高い医療・技術を提供していくことを理念としている.当院は,地域ニーズに応じて,257床の一般病棟および45床の地域包括ケア病棟があり,その他,院内の健康管理センターには2日ドック向けに18床が設けられており,急性期から亜急性期の診療ならびに健診業務と幅広く医療を提供している.また,当院別館では女性のみを対象とした人間ドック施設が設けられ,健診業務の充実を図っている.

組織

本館の内視鏡室は外来部門の一部として位置づけられている.主に消化器内科が管理・運営を行っている.

消化器内視鏡診療には消化器病センター内科および外科に所属する医師が行い,気管支鏡検査は総合内科に所属する呼吸器内科専門医が行っている.

検査室は,本館の内視鏡室やX線透視室の他に,本館・健康管理センターに2室,別館の女性専用の健康管理センター(別館・ANNEX)に2室を各々有している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

当院の健診センターにおける上部消化管内視鏡検査では,主に消化管病変の早期発見を,当院本館の内視鏡室では,消化器症状にて来院された外来患者の原因検索および悪性腫瘍をはじめとした消化管病変に対する内視鏡治療などの様々な内視鏡診療を提供している.また,受検者にかかる負担を少なくすることを心掛けており,特に内視鏡室では,検査を受けられる方のニーズに応じて鎮静剤や鎮痛剤を使用している.

最近,当院では,近隣のクリニックからの内視鏡診療に関する紹介の場合,病院の一般外来を介さずに医療連携を通して,直接,内視鏡検査を行うことができる「内視鏡検査枠」も取り入れている.

ハード面として,当院の内視鏡室は救急外来に隣接しており,消化管出血などの緊急内視鏡を要する患者を内視鏡室へ容易に移動できるようになっている.また,X線透視室も同様に内視鏡室と隣接しているため,緊急でX線透視を使用する内視鏡診療も行い易い環境となっている.このような中で,当院の内視鏡スタッフは,内視鏡的緊急処置の他,腫瘍性病変に対する通常観察,拡大観察および超音波内視鏡検査による診断および内視鏡治療,さらに内視鏡的緊急処置などを含め,総合的な診断と治療を常時行っている.また,当院の消化器病センターでは,消化器内科医および外科医が,お互いに連携をとって協力し合いながら内視鏡診療を行っていることも当センターの特色である.

スタッフ

(2020年4月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医5名,消化器内視鏡学会 専門医3名,研修医(初期・後期)5名

内視鏡技師:Ⅰ種2名

看護師:常勤7名

事務職:1名

その他:洗浄スタッフ1名

 

 

設備・備品

(2020年4月現在)

 

 

実績

(2019年1月~2019年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は日本消化器内視鏡学会(以下,本学会)認定の指導施設であり,また厚生労働省指定の臨床研修指定病院でもある.当院での指導体制は,本学会指導医5名および専門医3名が消化器病センターに在籍しており,消化器内視鏡診療に関わる研修医の教育・指導を行っている.現在,当院では原則として,初期および後期研修医が定期的に当院消化器病センターの研修中に消化器内視鏡を研修する.当院における内視鏡診療の指導方針について,本学会の内視鏡研修カリキュラムに準じて,消化器内視鏡に関する知識と技能を習得することを目的としている.

まず,消化器内視鏡の知識に関しては,各種の消化器内視鏡に関する検査および治療の概要,その際に使用する薬剤(鎮痙剤や鎮静剤など)について学んでもらい,これらの適応や禁忌事項に関しても理解してもらう.

一方,消化器内視鏡に関する技能(実技)に関しては,初期研修医を中心に,内視鏡トレーニングモデルを用いて,主に上部消化管内視鏡検査の手技や観察方法の指導やトレーニングを行っている.これらのトレーニングを積んだ研修医から,実際に内視鏡検査を行っている.具体的には,全身状態が良好な鎮静剤使用の受検者を対象に,本学会の指導医・専門医が指導しながら,内視鏡抜去および観察のみから,食道から胃・十二指腸への挿入・観察および抜去→口からの挿入も含めた上部消化管内視鏡検査の全過程へと,検査技術の習熟度に応じて随時ステップアップを図っている.後期研修医は,初期研修での内視鏡経験数により技術の差があるため,各々の技量に応じて,上部消化管内視鏡検査を行っていき,その後,下部消化管内視鏡検査も導入していく.下部消化管内視鏡検査の導入初期は,抜去・観察のみから始め,その後シグモイドスコピー,TCSへと段階的に指導を進め,それと並行して,大腸ポリープ切除(主にポリペクトミー,EMRなど)も条件の良い病変を中心に技術指導を行っている.また,豚を用いた食道・胃モデルとトレーニング用に別途備えたスコープを用いて,ESDのトレーニングも積極的に指導しているが,これは初期・後期を問わず,内視鏡診療に興味を持った研修医に行っている.

経鼻内視鏡補助下イレウス管挿入術や経皮内視鏡的胃瘻造設術といった内視鏡を用いた手技に関しても,処置に伴う合併症のリスクや各研修医の技術習熟度を慎重に評価し,安全性を確認した上で手技の実践に関して積極的に取り組んでいる.このような内視鏡診療に関わる研修医の指導には,消化器内科カンファレンス,消化器病センター 内科・外科合同カンファレンスおよび救急診療も介しながら日常診療の中で随時,フィードバックを行っている.

当センターにおける医師そしてコメディカルのスタッフが全員,常に一緒に同じ目標を持って,意識の向上を図り,切磋琢磨,協力をし合いながら,日々の内視鏡の診療にあたっている.

現状の問題点と今後

近年,内視鏡診療の目覚ましい進歩に伴って,当院では上部消化管内視鏡検査はもちろんのこと,大腸内視鏡検査数の増加に伴い,鎮静剤使用件数の需要も増してきている.そのような中で,当院の内視鏡室ではリカバリールームや前処置室のスペースに制限があるといった点が浮き彫りになっている.これらの拡充またはスペース利用の効率化をどのようにして図っていくかが今後の課題と考えられるが,現状では鎮静剤の使用や院内での前処置を希望される方には,入院ベッドを活用頂く工夫も行っている.また,各検査室へ出入りする部分はカーテンでの隔離に留まっているため,扉を設けるなどの対応が,内視鏡を受けられた方の個人情報保護の点,延いては感染予防の点でも必要である.一方,内視鏡診療件数の更なる増加のためにもより多くのマンパワーが必要となる.当院に在籍する本学会の指導医や専門医が,後期研修医への内視鏡指導・育成を積極的に行い,一人でも多くの人材が内視鏡診療に臨み,より活性化した内視鏡診療を地域の患者に提供していく必要があると思われる.

 
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