日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
諏訪赤十字病院
責任者:菅 智明  〒392-8510 長野県諏訪市湖岸通り5丁目11番50号
菅 智明
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2021 年 63 巻 4 号 p. 484-487

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概要

沿革・特徴など

本院は,1923年(大正12年)1月に日本赤十字社長野県支部病院諏訪分院として創立し,1954年(昭和29年)1月に諏訪赤十字病院と改称された.2012年にはDPC Ⅱ群の指定を受け,現在は455床の地域医療支援病院として地域医療の中核を担うとともに高度医療を提供している.

2000年(平成12年)に消化器内視鏡指導施設に認定され,2006年には長野県内で初めて地域がん診療連携拠点病院に指定された.2011年には消化器センターが設置され,2012年には新棟の建設に伴い,健診センター内に健診専用の内視鏡室も設置された.

組織

内視鏡室は,外来の一部門に位置づけられており,消化器内視鏡検査と呼吸器内視鏡検査を行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

当院の内視鏡室の特徴の一つは,通常検査・処置を行う本館の内視鏡室(床面積145m2)と,健診内視鏡を行う内視鏡室(床面積130m2)がそれぞれ独立して存在する事である.健診内視鏡室は新棟の健診センターにあり,主に上部消化管のスクリーニング検査を細径内視鏡を用いて行っている.専用の内視鏡室で健診内視鏡検査を行う事で,健診受診者と一般患者との交わりを無くし,お互いのプライバシー保護とストレス軽減に寄与している.また,緊急内視鏡検査が入った場合にも健診内視鏡が滞る事はない.勤務するスタッフは共通しており,全員で行き来して仕事を分担しているが,健診の内視鏡設備は健診専用で確保されているため,その点で病院負担は大きくなっている.

X線透視室は,本館内視鏡室に隣接する画像センターの透視室を他科と共有しているが,並列での透視検査も可能となっている.食道ESD等の安定した鎮静が必要な症例については,積極的に手術室で全身麻酔下に治療を行っている.

当院の救命救急センターでは年間約19,000人の患者を受け入れており,消化管・胆膵の緊急を要する疾患に対しては消化器内科医が24時間の緊急内視鏡対応をしている.消化管から胆膵まで手広く処置をこなす消化器内視鏡医と有能なスタッフが複数所属する事で,それが可能となっており,消化管出血に対する緊急内視鏡は24時間以内に100%実施されている.

スタッフ

(2020年4月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医6名,研修医など3名

内視鏡技師:Ⅰ種6名

看護師:常勤6名,非常勤4名

事務職:1名

その他:3名

設備・備品

(2020年4月現在)

 

 

実績

(2019年4月~2020年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では初期研修医を毎年10名受け入れており,消化器内科には常時1-2名がローテートしている.初期研修医でもトレーニングモデルで充分に練習して一定水準の技量が身に付けば,専門医の指導のもと鎮静下での上部消化管内視鏡検査を部分的に行っている.上下部スクリーニング内視鏡検査を充分に出来る実力をつけた後期研修医には,専門医の指導のもと積極的に治療内視鏡の術者も務めてもらっている.内視鏡の基本的操作法として,Loop-Forming Method(LFM)を指導する事で手技習得の効率化を図っている.

ESD等の治療症例については,1回/週のカンファレンスで治療前のディスカッションを行い,治療手順を含む打ち合わせをしている.また治療後の症例については病理検討とともに内視鏡所見の振り返りも行っている.

内視鏡室の看護師に対しては積極的に勉強会を設けて,内視鏡に関する理解を深める機会を提供し,内視鏡技師資格の取得を推奨している.新たに配属された看護師に対する教育は,指導マニュアルに基づいて指導看護師が行っており,短期間で検査・処置に対応できる技術が習得できるように配慮されている.

現状の問題点と今後

本館の内視鏡室は築20年が経過しており,狭い廊下が患者待合スペースと患者搬入通路を兼ねている事,患者の脱衣スペースが狭小である事など,問題点は多々ある.今年度は洗浄室の換気装置と水周りの改修を行う予定であり,工夫をしながら,より安全で使いやすい内視鏡室を目指している.将来的には隣接するスペースに透視室を併設した内視鏡室の増築も検討している.

全国から消化器内視鏡研修を希望する医師を受け入れ,今後も活気のある良い雰囲気の中で消化器診療と教育の質の向上を目指していきたい.

 
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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