2021 年 63 巻 5 号 p. 1163
沼津市立病院は,明治2年8月に沼津兵学校の附属医療機関が沼津病院と改称され医師11名により診療が行われた.昭和3年に沼津市立伝染病院となり,昭和20年に9診療科200床の総合病院とし開設された.その後,昭和63年に現在の東椎路に移転し,平成元年に500床の新病院として診療を開始した.平成25年からは24診療科となった.
地域における役割としては,平成8年には災害拠点病院に,平成10年には地域周産期母子医療センターに,平成16年には救命救急センターに,平成20年には地域医療支援病院に,平成27年には地域がん診療連携推進病院の承認を受け,静岡県東部の基幹病院として第3次救急医療まで含めた救急医療の中核的役割を担っている.また,今後の当院の役割は,急性期医療だけでなく,平成29年に地域包括ケア病棟を開設し,住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるような地域包括ケアシステムの一翼を担うことである.
日本消化器内視鏡学会指導施設,日本消化器病学会専門医制度認定施設,日本肝臓学会肝臓専門医制度認定施設,日本内科学会認定医制度教育病院,初期臨床研修制度基幹型研修指定病院,内科・外科専門医研修基幹施設であり,研修・指導体制も整備されている.
組織医師は消化器内科医師を中心に診療を行い,看護師は放射線・内視鏡室に所属し,内視鏡技師の資格を持った職員が中心となり診療のサポートを行っている.その他,事務・看護助手が受付や機器洗浄等を行っている.
検査室レイアウト

設計上の内視鏡室の特徴は,北側・南側のどちらからも入退室が可能なことである.内視鏡室の北側には,放射線部門があり,放射線関連検査後,そのまま内視鏡室に入室ができること.また,南側には超音波検査室や外来部門があり,外来診療からスムーズに超音波検査室・内視鏡検査室へ移動できることが特徴である.
総面積は98.62m2.3部屋の検査ブースを最大限に活用し,予約検査はもちろん,消化管出血等に対する緊急内視鏡検査・処置・手術にも積極的に取り組んでいる.
(2020年7月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医1名,その他スタッフ13名
内視鏡技師:Ⅰ種6名
看護師:常勤13名,非常勤2名
事務職:1名
その他:看護補助2名
(2020年9月現在)

(2019年4月~2020年3月)

消化器内視鏡領域においては,多岐にわたる疾患群を経験するための研修は必須である.
当院は,静岡県駿東田方医療圏の中心的な急性期病院であるとともに,地域の病診・病病連携の中核病院である.一方で,地域に根ざす第一線の病院でもあり,コモンディジーズの経験はもちろん,超高齢社会を反映し複数の病態を持った患者の診療経験もでき,高次病院や地域病院との病病連携や診療所(在宅訪問診療施設などを含む)との病診連携も経験可能である.また,臨床研究や症例報告などの学術活動にも力を入れている.
【初期研修医】
当院は初期臨床研修制度基幹型研修指定病院であり,2020年現在は21名の初期研修医が在籍している.消化器内科は常時1-2名の初期研修医が1-2カ月の期間で研修を行い,上級医とともに患者を担当する.担当患者を中心とした内視鏡検査及び処置に介助者として積極的に参加するよう指導している.週1回のカンファレンスでは担当患者のプレゼンテーションを行うことで,経験症例の知識を深め,プレゼンテーション能力向上を図っている.消化器内科希望者についてはトレーニングモデルを用いた内視鏡実習を行っている.
【後期研修医】
当院は内科・外科専門医研修基幹施設である.
後期研修医においては,外来診療と入院診療を行う.
トレーニングモデルを用いて内視鏡基本操作を習得後,上級医指導のもと,上部消化管内視鏡検査を行う.その後,個々の能力に応じて下部消化管内視鏡検査,ERCP,上下部治療内視鏡へとステップアップしていく.また緊急疾患に24時間365日対応できるよう2名の消化器オンコール体制に組み込まれ,上級医とともに緊急内視鏡に対応し,実践力を養うとともに技術向上を図っている.
当院は日本消化器内視鏡学会指導施設であり,専門医取得に向けた研修を行っている.
内視鏡診療を受ける患者様への心身の苦痛を最小限にし,内視鏡診療が安全に遂行されることを目標に日々業務にあたっている.当院の問題点として,以下の4点があげられる.
1.当院は,静岡県駿東田方医療圏の中心的な急性期病院であり,消化管出血・胆管炎をはじめとした緊急内視鏡が多く,夜間や休日に施行されることも少なくない.常時2名のオンコール体制を維持すべく,恒常的な消化器内科常勤医の確保が課題である.
2.内視鏡室に臨床工学技士が配置されていないため,ME機器の保守・点検などの管理が不十分である.将来的には臨床工学技士の介入を考えている段階である.
3.介助にあたる看護師,洗浄を担当するスタッフへの新人教育体制が確立していない.看護師の内視鏡技師が少しずつ増えてきており,内視鏡技師を中心に勉強会を実施し,マニュアル作成を入念に行いながら試行錯誤して教育にあたっている.内視鏡診療を受ける患者様に一定水準の介助・看護が等しく提供できるよう,努力が必要である.
4.内視鏡検査ブース,リカバリー室,腸管洗浄液を内服する場所・トイレが,患者のプライバシーや安楽を確実に保持できるような環境でない.内視鏡検査ブース・リカバリー室はカーテンでの仕切りであり,話し声が聞こえてしまう状況にある.また腸管洗浄液を内服する場所は大部屋であり,ADLが低下している方への配慮が難しい.トイレの数にも限界があり,男女の比率に偏りがあるときにはトイレが兼用となってしまう.できる限りの創意工夫をしながら良い環境が提供できるよう整えていきたい.
当院では「健康まつり」と称して,市民病院として市民への健康に対する意識がけを高めようという取り組みを年に1回行っている.内視鏡室ではトレーニングモデルを使用し,内視鏡に実際触れることやゲームなどを通して内視鏡検査による健診の必要性を提示している.これは内視鏡室に従事する消化器内科医師と看護師で事前準備も含め,楽しみながら行っている行事である.日常からスタッフ間のコミュニケーションを大切にしており,良いチームワークでの内視鏡診療をこれからも継続していきたい.