日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸表在型隆起性病変に対するUnderwater EMRと従来法EMRの比較:システマティックレビューおよびメタ解析
炭山 和毅
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2021 年 63 巻 5 号 p. 1167

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【背景および目的】大腸表在型隆起性病変に対するUnderwater EMR(UEMR)は,粘膜下局所注入を伴う従来のEMR(CEMR)の有望な代替治療法として登場した.本システマティックレビューおよびメタ解析の目的は,大腸表在型隆起性病変に対する治療効果と安全性についてUEMRとCEMRを比較することである.

【方法】解析対象文献は,2020年5月までに出版された研究報告を対象としMEDLINE/PubMed,The Cochrane Library,CINAHL,Google Scholarおよび Scopusを用い検索が行われ,UEMRとCEMRが直接比較されている研究のみが解析された.評価項目は,病変一括切除率,再発率,術後出血率,穿孔,切除時間であった.

【結果】最終的に1,237病変(UEMR:614病変,CEMR:623病変)を含む7研究が解析された.その結果,一括切除率については,UEMR群がCEMR群を有意に上回っていたが(odds ratio[OR],1.84;95% confidence interval[CI],1.42-2.39;P<.001;I2=38%),サブグループ解析では,20mm以上の病変では有意な改善が認められたものの(OR,1.51;95% CI,1.06-2.14;P=.02;I2=44%),20mm未満の病変を対象とすると有意な差は認められなかった(OR,1.07;95% CI,.65-1.76;P=.80;I2=27%).再発率についても20mm以上の病変における低い再発率の影響によりUEMR群ではCEMRに比して有意に抑制された(OR,.30;95% CI,.16-.57;P=.0002;I2=0%).一方,術後出血率(OR,1.11;95% CI,.57-2.17;P=.76;I2=0%)や穿孔率(OR,.72;95% CI,.19-2.83;P=.64;I2=0%).については両群に有意差は認められなかった.

【結論】本システマティックレビューおよびメタ解析の結果,UEMRはCEMRの安全かつ有効な代替となり得ることが示された.適正なトレーニングが必要であるが,UEMRは大腸表在型隆起性病変に対する第一治療戦略として強く検討が推奨される.

《解説》

Binmoellerが2012年に報告して以来,幾つもの研究が,UEMRの安全性と有用性を示してきた.今回の大きさ10mm以上の病変を対象としたシステマティクレビューおよびメタ解析においても,UEMRの有効性が高い一括切除と低い再発率によって明らかに示された.一方,治療時間や,穿孔や出血などの偶発症発生率についてはUEMR群で低いものの,研究間においてかなりのばらつきが認められた.UEMRの一括切除率における有意性は,20mm以上の病変においてより著明になることから,局注を行わないUEMRでは,粘膜表面を伸展させないことでより広い粘膜をスネア内に捉えることができるものと推察される.本研究の結論はthe Cochrane risk of bias toolおよびthe Newcastle-Ottawa Scaleによって,ばらつきの少ない質の高い研究と判断された研究に基づき導かれた信頼度の高いものである.技能の習熟が不可欠であることは他の治療手技と同様ではあるが,今後は,10mm以上の非癌病変と確信できる病変に対しては,小病変に対するcold polypectomyと同様,UEMRが標準的治療となり得るのではないかと考えられる.

文 献
 
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