日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
独立行政法人国立病院機構まつもと医療センター 内視鏡室
責任者:宮林秀晴  〒399-8701 長野県松本市村井町南2丁目20番30号
宮林 秀晴
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2021 年 63 巻 6 号 p. 1303-1306

詳細

概要

沿革・特徴

まつもと医療センターは長野県中部にある松本市の南部にある病院で,松本市南部・塩尻市全体・木曽郡の一部を主に医療圏としている病床458床の中規模病院である.

当院は,平成20(2008)年4月に経営母体を同じくしていた松本病院と中信松本病院が組織統合してできた病院である.それまで,両病院は国が運営する公的な病院として,それぞれの時代のニーズに応じた役割を果たしてきた.

松本病院は,陸軍駐屯地のあった明治41年の松本衛戍(えいじゅ)病院としての創設に遡る.昭和11年に松本陸軍病院となり,戦後に厚生省に移管され,昭和42年に松本の南部村井町に移転した.

中信松本病院は,平成8年に松本城山病院と東松本病院の二つの国立療養所が東松本病院として統合して発足した.国立療養所城山病院は昭和15年の長野県立結核療養所,東松本病院は昭和19年の日本医療団御母家奨健寮がその母体となっていた.

その後国立病院機構の発足により,平成16年に両病院はそれぞれ国立病院機構松本病院,国立病院機構中信松本病院に移管された.

両病院は5km程度の距離であり,組織統合して国立病院機構まつもと医療センターとなり,国立病院機構としては初めての一組織2病院という珍しい運営形態となった.その後新病棟が完成し,平成30年5月1日中信松本病院が松本病院の松本市村井に移転し,国立病院機構まつもと医療センターの一体化が完成し,今日に至っている.

東病棟は主に急性期を担い,西病棟は血液疾患や重症心身障害病棟を有する慢性期病棟となっている.

組織

当内視鏡室は,診療部門の一組織として独立しており,内視鏡技師・看護師は現在は外来部門と手術部に属している.消化器部門は消化器内科・内科・外科・小児科のドクターが消化器内視鏡検査および治療を,呼吸器内科・呼吸器外科ドクターが気管支鏡部門を担当している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は新病棟1階に配置している.受付・説明室・内視鏡室・洗浄スペース・待合・前処置室・2部屋あるリカバリー室・2室あるトイレ(廊下側にもトイレあり)・スタッフ控え室などから構成されている.

全3部屋ある内視鏡室はすべて個室化され,内視鏡検査後はプライバシーを守るためと,次の検査患者さんの準備のため主に2部屋ある説明室で説明している.その他内視鏡室の廊下をはさんだ向かい側に放射線部門があり,2部屋ある透視室を利用して呼吸器内科・消化器内科で棲み分けをして膵胆管系内視鏡・透視下内視鏡と気管支鏡検査を行っている.

また,各システムにデジタル式,あるいはアナログ式のブルーレコーダーによる動画記録装置があり,ESDなどの内視鏡的処置・止血処置・超音波内視鏡などは動画に記録して,後のカンファレンス・ESD・止血治療のふり返りや反省などに用いており,動画資料としてHDとBD・DVDに記録を残している.

細径内視鏡・経鼻内視鏡・鎮静剤に関しては症例の希望になるべく応じて行っている.当院では少量の生理的食塩水でルート確保し,フルニトラゼパム0.1mg/BWを基準に投与し,フルマゼニル覚醒を行い,検査後1時間後程度で付きそいの方と一緒に説明を聞いてもらっている.

スタッフ

(2020年10月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医4名(うち非常勤1名),その他スタッフ5名

内視鏡技師:Ⅰ種4名(すべて看護師を兼務)

看護師:常勤6名,非常勤2名

 

まつもと医療センター内視鏡室スタッフ

設備・備品

(2020年10月現在)

 

 

実績

(2019年4月~2020年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

消化器内視鏡指導医2名を中心に専門医4人(1人について1名の直属の指導)が,前期あるいは後期研修医および学生教育を内視鏡実技と理論について指導している.消化器内科としては積極的に信州大学からの研修や学生教育の受け入れを各1-2名ずつ指導している.研修医と医学生の毎週主なカンファレンスとしては,月曜日夕方に外科との術前カンファレンスがあり,外科手術の適応・ESDなど内視鏡手術の適応と具体的に紹介のドクター・時期などを決めると共に,キャンサーボードを兼ねた話し合いがなされる.木曜日朝は術後カンファレンスであり,術前画像検査と術後病理との対比を行い,緊急例の外科紹介症例なども話し合われる.

金曜日夕方の消化器内科カンファレンスでは病棟入院全症例の検討であり,今後の診断の進め方,治療方法についてのディスカッションが行われている.内視鏡手技に関しては豊富な,また多岐にわたる上部内視鏡検査モデル・大腸内視鏡モデルを用いた特訓を行い,その後内視鏡の引抜き時の観察,鎮静剤使用下の内視鏡検査,鎮静剤なしの挿入からの上部内視鏡検査,大腸内視鏡検査などをマンツーマンで指導に当たっている.

また,緊急例に関しては緊急CTを中心とした診断を行い,緊急内視鏡治療と外科的症例の鑑別を早急に行い,症例が危機に陥ることのないように的確な治療を行っている.各症例についてはガイドライン・EBMに基づきながら,かつ一例一例に応じた最善で最高レベルの治療を施すように日々努力している.また,緊急例に関しては緊急CTを中心とした診断を行い,緊急内視鏡治療と外科的症例の鑑別を早急に行い,症例が危機に陥ることのないように的確な治療を行っている.

現状の問題点と今後

慢性的な内視鏡担当看護師・技師不足は毎年の問題である.幸いにして当院では内視鏡室に配属になった後はすぐに配属交替や退職になることは少ないが,そろそろ内視鏡室を支えてくれたスタッフの方で定年退職後委託の期間を経て何人か退職になることが予想される方が出てきている.病院上層部と絶えず話し合ってはいるが,手術室から2-3人程度内視鏡手技を覚えてもらい,やがては内視鏡技師資格をとってもらう程度になるように指導してもらっている.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)に関しては当院では比較的早期の2002年から行っているが,症例数の伸び悩みがある.症例紹介を近隣の登録医からお願いすると共に当院では人間ドック数が少なく,Covid-19感染の影響もあって,今年は少ないが,生活習慣病検診・近隣企業からの検診を主体に症例数を増やして取りこぼしや見落としのない様にする予定である.当院は松本市の南部と塩尻市をカバーする医療圏であり,入院期間を短くするように総胆管結石に関してはEPLBDを,また循環器系高齢者・超高齢者の症例も多く,消化管出血の止血を中心とし内視鏡治療を優先に行うことが必要と考えている.

 
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