日本消化器内視鏡学会雑誌
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63 巻 , 6 号
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総説
  • 清水 勇一
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1207-1217
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    近年の内視鏡診断技術の進歩により,咽頭領域においても食道癌の内視鏡診断技術を応用することにより,多くの表在癌が発見されるようになった.患者背景は食道癌と類似しており,効率的に咽頭表在癌を発見するためには,高リスク群の絞り込みが重要である.これらの咽頭表在癌症例は,消化器内視鏡医と頭頸科医との協力により,低侵襲に内視鏡治療が可能であるが,喉頭浮腫など,この領域独特の合併症に留意する必要がある.現時点で内視鏡治療の明確な適応基準は定められていないが,術後リンパ節転移症例の蓄積により,転移リスクは明らかになりつつある.咽頭領域は,頸部リンパ節転移が明らかになってから郭清手術を行っても,しばしば根治可能である.

  • 三池 忠, 河上 洋, 山本 章二朗
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1218-1231
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    成人T細胞白血病/リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma;ATLL)はhuman T lymphotropic virus type 1(HTLV-1)に感染したTリンパ球が腫瘍化した末梢性T細胞腫瘍である.ATLLに合併する消化管病変の臨床症状は多彩であるが,予後不良な全身疾患であり,内視鏡検査による消化管病変の検索は容易ではない.既報の特徴をまとめると,ATLLの消化器病変の特徴的な内視鏡所見は多発隆起や潰瘍,皺壁腫大などが挙げられた.また,同時性の消化管重複病変として,他の消化管臓器においても同様の肉眼形態を呈する例が散見された.ATLLの消化管病変は全身臓器の一分症として多彩であり,消化器内視鏡医はATLL診断の一助とするべく,最新の分類の他,内視鏡所見を理解しておきたい.

    本稿ではATLLにおける消化器病変について,内視鏡的特徴や臨床的特徴について概説した.

原著
  • 中島 勇貴, 根本 大樹, 勝木 伸一, 林 芳和, 愛澤 正人, 歌野 健一, 竹澤 敬人, 相良 裕一, 朱 欣, 澁川 悟朗, 山本 ...
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1232-1240
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    【目的】最近,Class Activation Mapping(CAM)という手法により人工知能(AI)の関心領域(ROI)を可視化できるようになった.本研究ではAIの大腸T1b癌診断におけるROIの特徴を明らかとすることを目的とした.

    【方法】大腸pT1b癌の通常内視鏡画像114病変226枚を使用した.CAMにより,AIのROIは赤色領域として示され,大腸内視鏡医のROIと比較した.評価項目は,内視鏡医とのROI一致性,AIのROIの性状とした.ROI一致性の評価は,excellent:75%以上が一致,poor:25%未満,good:その中間とした.

    【結果】全画像でCAM画像が作成可能だった.ROI一致性は,excellent 39%,good 34%,poor 27%であった.poor例を除いたAIのROIは,多くが発赤部位であり(91%),明らかに血液が付着した領域(21%)やヒダ集中(34%)は少なく,隆起(57%)や陥凹(39%)が多かった.

    【結論】ROIが一致する場合には内視鏡医との類似性がみられた.アノテーションによりROIの不一致を克服することが,AIの学習効率の改善につながる可能性がある.

症例
  • 石橋 史明, 馬場 哲, 小林 小の実, 川上 智寛, 田中 龍, 杉原 一明, 渡辺 英伸
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1241-1247
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    症例は34歳,女性.心窩部痛と胃もたれ症状に対して上部消化管内視鏡検査を施行され,胃体部を中心に広範囲の結節・扁平状隆起と萎縮粘膜を認めたが確定診断に至らず,ピロリ菌除菌療法やPPI投与等で経過観察されていた.5年後症状増悪時の内視鏡検査で同様の所見を認め,扁平状隆起からの生検でcollagenous gastritisの診断に至った.2年半PPI等で治療を行ったが症状改善を認めず,また鉄欠乏性貧血の進行を認めたため,ステロイドパルス療法を施行した.同療法後,臨床症状は速やかに改善し,ステロイド治療終了後5年7カ月後には組織学的にもcollagen bandの消失を確認した.Collagenous gastritisは本邦での頻度は少ないが,その特徴的な内視鏡像を知っておくべきと考えられた.

  • 菊田 大一郎, 中河原 浩史, 山雄 健次, 大澤 朗太, 武井 章矩, 髙橋 利実, 小川 眞広, 後藤田 卓志, 森山 光彦, 唐 小燕
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1248-1254
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    【症例】77歳,男性.急性膵炎後の被包化膵壊死で経過観察中であった.6カ月前の腹部造影CTで病変は認めていなかったが,上部消化管内視鏡検診で胃噴門部に約2cm大の胃粘膜下腫瘍を疑う隆起を認めた.腫瘤は画像検査で鑑別診断がつかなかったこと,また増大傾向にあったため,EUS-FNAを行い炎症性筋線維芽細胞腫瘍の診断となった.腹腔鏡下腫瘍摘出術および胃部分切除で腫瘍は完全切除でき,病理組織学的には後腹膜原発炎症性筋線維芽細胞腫瘍と最終診断した.切除後18カ月再発はない.

    【考察】上部消化管内視鏡検診で胃粘膜下腫瘍を疑う隆起を指摘され,炎症性筋線維芽細胞腫瘍の術前診断にEUS-FNAが有用であった症例を経験した.確定診断に低侵襲なEUS-FNAが有用であった.

  • 西谷 雅樹, 宮澤 正樹, 松田 昌悟, 渕﨑 宇一郎, 宮森 弘年, 上田 善道
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1255-1261
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    症例は44歳,女性.発熱,腹痛,水溶性下痢を主訴に受診し上行結腸炎と診断した.治療反応不良のため行った下部消化管内視鏡検査では回腸終末部から全結腸に多発潰瘍を認め,上部消化管内視鏡検査では非特異的な所見のみだったが,生検でいずれの病変部からも非乾酪性類上皮細胞肉芽腫を認めCrohn病(以下CD)が疑われた.経過で肝機能障害,高アミラーゼ血症,好酸球数増加を認め,肝生検およびEUS-FNAを行ったところCDの消化管外病変として肉芽腫性肝炎,膵炎,好酸球増多症を合併したと診断した.インフリキシマブ導入により消化管・消化管外病変は速やかに改善した.急激な経過で発症し消化管外病変の発症初期を捉え得たCDは稀であり,本症例はCD疑い病変ではあるが報告した.

  • 河井 裕介, 和唐 正樹, 石川 茂直, 榊原 一郎, 泉川 孝一, 山本 久美子, 髙橋 索真, 田中 盛富, 稲葉 知己, 安藤 翠
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1262-1268
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    症例は63歳女性.下部消化管内視鏡検査で盲腸に25mm大の0ʼ-Ⅱa病変を認め,生検で高~中分化腺癌と診断され,治療目的に紹介された.NBI拡大観察で2カ所の発赤隆起部に口径不同や血管の走行異常を認め,発赤が強い部分でより顕著であった.クリスタルバイオレット染色拡大観察で2カ所の発赤隆起部はⅤI型軽度不整pitを,周囲の表面隆起部はⅡ型pitを認めた.以上からSessile serrated lesion(SSL)に合併した粘膜内癌と診断し,ESDを施行した.病理診断は,SSLを背景に4×3mmの上皮内癌と3×2mmのSM癌を認めた.SM浸潤部は低分化成分が占めていたため,追加外科手術を施行した.癌及び腫瘍成分の遺残や,リンパ節転移は認めなかった.同一病変内の2カ所に癌化を認め,うち1カ所はSM浸潤を認めた,貴重な症例であった.

注目の画像
手技の解説
  • 小黒 邦彦, 三浦 義正, 矢野 智則
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1271-1280
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    Helicobacter pylori除菌率が上昇し,胃酸分泌機能が改善したことにより,十二指腸粘膜の環境が変化している.それに加え,内視鏡機器や技術の開発などにより,十二指腸病変の検出は年々増えている.十二指腸の病変は,下行部に最も多くみられるが,ルーチンでの上部消化管内視鏡検査(EGD)では詳細な観察が困難な深部十二指腸である水平部・上行部でも様々な病変が存在する.上部消化管用スコープでも深部十二指腸へのアプローチは可能であるが,同部位はバルーン内視鏡(BAE)やカプセル内視鏡(CE)の普及で,より確実なアプローチや観察が可能となった.スクリーニングのEGDでも可能な限り観察すべきであるが,全例で詳細な観察ができるとは限らないので,それぞれの検査目的を明確にし,適切なモダリティを選択する必要性がある.

  • 本間 清明, 小林 真
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1281-1293
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    電子付録

    さらなる内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD:Endoscopic Submucosal Dissection)の操作安定化を目指し,Stag Beetleナイフ(SBナイフ)(住友ベークライト社製)は世界初の内視鏡治療用ハサミ型ナイフとして,2013年に実用化された.内視鏡を大きく動かすことなく先端ブレードを開閉させて対象部分を把持し,これを視認しながら通電することで安全性を確保した切離操作が行えた.

    スタンダードタイプは胃病変の粘膜下層剝離操作,ショートタイプは食道病変の粘膜下層剝離操作,JrタイプとJr2タイプは大腸ESD,GXタイプは胃ESDや腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS:Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)を,それぞれ安定化させるよう念頭に置いて設計された.

    安全性を保つために細かな操作を要求される大腸ESDや食道ESD,安定した鋭利な切離が必要な潰瘍瘢痕を伴う病変のESDなどにおいて,特に有用性が高かった.また,本ナイフは切離の際に大きな内視鏡先端の動きを必要としないため,初心者にも扱いやすく,国内外におけるESDの普及にも寄与できると考えた.

資料
  • 岩谷 勇吾, 井上 晴洋, Enrique Rodríguez de Santiago, Mary Raina Angeli Abad, 藤 ...
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1294-1302
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    【目的】内視鏡的内圧測定統合システム (endoscopic pressure study integrated system:EPSIS)は,胃内圧を測定することで胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)の診断を行う,まったく新しい内視鏡機器である.この新たに開発された診療機器は,内視鏡的に下部食道括約筋(lower esophageal sphincter:LES)の機能を評価できる可能性を有している.本研究では,EPSISの測定結果と,びらん性食道炎やバレット食道に代表されるGERD関連疾患との関係性につき検討を行った.

    【方法】本研究は2016年11月から2018年7月にEPSISを行ったすべての患者を対象とした,後ろ向き・単施設研究である.EPSISでは,上部消化管内視鏡検査の施行中に,圧測定を行う専用機器に接続したカテーテルを内視鏡鉗子口から挿入し,最大胃内圧(IGP-Max)および胃内圧波形(FlatないしUphill)の測定を行う.びらん性食道炎とバレット食道の評価はロサンゼルス分類とプラハ分類を用いて行った.

    【結果】104人の患者が登録され,29人(28%)がびらん性食道炎を,42人(40%)がバレット食道を有していた.びらん性食道炎患者では食道炎の無い患者に比べ,最大胃内圧が低く(16.0 vs 18.8mmHg,P=0.01),Flatパターンがより高頻度に認められた(82.8% vs 37.3%,P<0.001).同様に,バレット食道患者ではバレット食道を認めない患者に比べ,最大胃内圧は低く(15.7 vs 19.6mmHg,P<0.001),Flatパターンが高頻度に認められた(69% vs 37.1%,P<0.001).これらの傾向は,多変量解析でも認められた.

    【結論】新しい診療機器であるEPSISの測定結果は,びらん性食道炎やバレット食道の存在と深い関連を有していた.これにより,EPSISがGERD関連疾患のLES機能評価を内視鏡的に行いうる可能性が示唆された.

内視鏡室の紹介
最新文献紹介
  • 斎藤 豊, 阿部 清一郎
    2021 年 63 巻 6 号 p. 1310
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/21
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    マイクロRNA(miRNA)は,17~25塩基ほどで構成される小さな一本鎖non-coding RNAである.miRNAは微量ながら血液中や尿中などさまざまな体液中に安定的に存在し,そのプロファイルを分析することにより,悪性腫瘍などの疾患診断や治療効果予測が可能であるため,次世代の腫瘍マーカーとして実用化が期待されている.本論文では,内視鏡的あるいは外科的に切除された早期胃癌708例と709例の非癌コントロールの血清miRNAのプロファイルを用いて,早期胃癌の診断システムが構築され,その診断能が評価された.miRNAプロファイルは,2,565種類のmiRNAを統合的に解析可能な高感度DNAチップ(3D-Gene®)を用いて解析され,4種類のmiRNA(miR-4257,miR-6785-5p,miR-187-5p,and miR-5739)による早期胃癌診断モデル(EGC index)が構築された.EGC indexの診断能は,早期胃癌709例と非癌708例からなるvalidation groupにて評価され,AUC 0.998,感度99.6%,特異度95.3%と非常に高い診断精度が示された.また,サブ解析において,EGC indexは早期胃癌のステージや組織型にかかわらず高い感度が示された.

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