日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
北九州市立医療センター
責任者:秋穂裕唯  〒802-8561 福岡県北九州市小倉北区馬借二丁目1番1号
秋穂 裕唯
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2021 年 63 巻 6 号 p. 1307-1309

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概要

沿革・特徴

当院は140年あまりの歴史を持つ市立病院である.明治6年に小倉医学校兼病院として開設され,明治33年市立小倉病院,昭和38年に5市合併にて北九州市立小倉病院と改称された.平成3年に新棟が完成し北九州市立医療センターと名称変更し,令和元年より独立法人化した.提供する医療は,がん医療,産科医療,生活習慣病に対する医療の三分野を掲げている.地域がん診療連携拠点病院,第二種感染症指定医療機関,労災指定病院,災害拠点病院,臨床研修指定病院,総合周産期母子医療センターに指定されている.

組織

内視鏡室は独立し消化器内科が管理している.看護師は消化器内科所属,臨床工学士は臨床工学課所属となっている.内視鏡を行っている消化器内科,呼吸器内科,外科,呼吸器外科,耳鼻咽喉科,放射線科と看護部,臨床工学課より成る内視鏡部門委員会を組織している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

2013年に消化器内科外来と隣接する位置に内視鏡室を拡張移転した.検査室4室,洗浄室,診察室,患者隔離室,処置室,患者更衣室2室,検査用トイレ3室,スタッフ室,大腸前処置コーナー,鎮静後のリカバリー設備などから構成され総面積は296.5m2である.レントゲン透視が必要な検査は,放射線部検査室で行っている.

2016年より内視鏡情報管理システムをNEXUSに変更し,2018年より大部分の内視鏡機器類はVPP(Value per procedure)を導入し,最新の機器で検査治療を行っている.2019年よりJapan Endoscopy Database(JED)Projectを導入した.2020年より医療安全の観点からタイムアウト制を導入した.

スタッフ

(2020年9月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医7名,その他スタッフ5名,研修医2名

内視鏡技師:Ⅰ種1名,臨床工学士2名

看護師:常勤7名,非常勤3名

事務職:2名

その他:洗浄員2名

設備・備品

(2020年9月現在)

 

 

実績

(2019年1月~12月まで)

2001年から開始した内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は,当科で最も成熟した治療法となった.2019年12月までに胃のESDは2,107例,食道のESDは548例,大腸のESDは1,070例を経験した.2014年より胆膵内科専門医が赴任し,EUSやERCPなどの胆膵内視鏡検査・治療を本格的に開始した.2018年からバルーン内視鏡によるERCPとEUS下胆管ドレナージを導入し,あらゆる胆膵内視鏡に対応できる環境を目指している.

 

 

指導体制,指導方針

初期臨床研修医は消化器入院患者の副主治医として担当させ,診察,検査,投薬などの指導を行っている.内視鏡検査研修を希望する場合は専門医の行う検査の見学,介助を行い,十分な知識を習得し,内視鏡シミュレーターでスコープ操作実習をした後に指導医師の許可が得られれば,指導医師の監督下に検査を行っている.

後期臨床研修医は消化器入院患者の担当医となり,上下部消化管内視鏡検査,超音波内視鏡検査,消化管X線検査,消化器癌化学療法,治療内視鏡(粘膜下層剝離術,粘膜切除術,ポリペクトミー,超音波内視鏡下穿刺吸引生検,ステント留置術,総胆管結石除去術,食道静脈瘤硬化療法,胃瘻造設術など)の介助と上達度に応じて専門医の下で手技の指導を受けている.

週に1回消化器内科カンファレンス,2週間に1回消化管キャンサーボードを実施している.消化器癌患者の治療方針を腫瘍内科,化学療法室スタッフ,消化器内科,消化器外科,放射線科,病理部,麻酔科が合同で検討している.2カ月に1回,消化器内科,消化器外科,病理部が合同で消化管疾患患者の放射線,内視鏡画像,病理との対比を行い,診断精度の向上を目指している.また臨床を中心としたわかりやすい講義を院内のスタッフ達に行っている.

国内外での学会,研究会発表や論文執筆,近隣の開業医との勉強会(消化管カンファレンス)や市民を対象にした市民公開講座,専門ドクターセミナーなどを積極的に行っている.また2014年より院内外の若手医師教育を目的とし,ブタの切除胃を用いたESDハンズオントレーニングを行っている.若手を主体としたセミナーとしたことで,手技の向上だけでなく指導力の向上にもつながっている.

現状の問題点と今後

内視鏡室だけの問題ではないが,第一の課題は経験を積んだコメディカルの確保である.高度な検査,治療が増加し,COVID-19の感染対策,医療安全の観点から医師だけでなくコメディカルも幅広い医学知識の習得と日々の研鑽に努めなければならない.看護師,臨床工学士には積極的に学会への参加,院内外の研修会・勉強会に参加し最新の技術,知識を取得するようにしている.経営的には困難だが,働き方改革の観点から医師・コメディカルともにスタッフの増員が望まれる.

鎮静を希望される患者や精査内視鏡の件数が増加しているため,鎮静下での内視鏡検査枠を増設する必要がある.今後リカバリースペースの拡充を進めなければならない.

コロナ禍の中,費用対効果を熟考しながら,限られた人員の中で安全かつ高度な内視鏡診療に取り組んでいきたい.

 
© 2021 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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