2021 年 63 巻 8 号 p. 1557-1559
当院は1978年4月に民間病院としては日本で初めての救急病院として開設された.北海道最大の繁華街であるススキノに近い札幌市中心部に位置し,札幌を南北に縦断する国道230号線(石山通り)沿いに建てられている.2019年11月には新棟が完成し,国道に面した旧棟を解体して駐車場とし,2020年7月にグランドオープンした.2020年9月からは内視鏡センターが一つの組織として独立し,今後の飛躍を目指している.
組織消化器内視鏡検査を消化器内科医3名で,気管支鏡検査を呼吸器内科医1名が担当しており,内視鏡光源を共同利用している.2020年8月までの内視鏡検査は外来看護師が兼務する形で行われてきたが,2020年9月に内視鏡センターが独立した組織として発足した.それに伴い内視鏡技師(臨床工学技士)が1名専属として配置され,さらに2021年1月から看護師2名が専属として配置されるようになった.今後,業績を伸ばしてさらに専属スタッフを増員していきたいと考えている.
検査室レイアウト

内視鏡室の総面積は139.62m2で検査室はメインの検査室と透視内視鏡室の2部屋がある.両部屋とも病棟ベッドのサイズでもまっすぐ入れるようデザインされており,ADL不良な患者でも移乗を最小限にして検査ができる.併せて検査室内の天吊りモニタを動かすことによって様々なレイアウトが可能となっている.また,スタッフの動線を意識して,検査室を取り囲むように作業室,前処置リカバリー室,待合室を配置した.
リカバリー室にはソファ2つ・移動型電動ベッドが1台あるが,電動ベッドは検査室と同じものを使用しており,深い鎮静をかけた際にベッドごと入れ替えを行うことで円滑な検査進行ができるよう工夫している.検査室の照明はブルーライトやシアターモードに切り替えることが可能であり,状況に応じて調光している.
スコープは従来富士フイルム社製のみであったが,センター開設に伴いオリンパス社製も導入した.それぞれの特性を活かして目的に応じた使い分けをしており,今後さらにニーズに併せて刷新していく予定である.2019年10月から内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を導入して2020年4月に大腸ESD施設基準を満たし,現在では上下部消化管ともに積極的にESDを行っている.また,2020年9月からは近隣に開業した札幌IBDクリニックと連携し,同クリニック医師の協力も得てIBD患者に対する小腸内視鏡検査なども施行している.小腸カプセル内視鏡検査についても,読影支援技師の加入とIBD患者の参入に伴い,件数が増加しつつある.
この他,内視鏡検査を受けやすくするための試みとして,ホームページからのWeb予約を導入している.
(2021年5月現在)
医 師:消化器内視鏡学会 指導医1名,消化器内視鏡学会 専門医1名,他スタッフ1名
内視鏡技師:I種3名
臨床工学技士:1名
看護師:専属2名,外来兼務2名
洗浄スタッフ:1名(外来と兼任)
(2021年5月現在)

(2020年1月~12月まで)

2021年1月現在,医師3名(指導医1名,専門医1名,非専門医1名)の診療体制であり研修医は在籍していない.非専門医の内視鏡処置の際には指導医がサポートに入り,診療の質を担保しながら教育している.また,high volume centerで勤務経験がある内視鏡技師,看護師が仲間に加わったため,今後メディカルスタッフの教育も含めて体制を整えていく予定である.
2020年9月に内視鏡センターが独立したばかりであり,組織としての基礎ができていない現状である.以前から内視鏡検査は行われていたが,スタッフは外来との兼務であったため系統立てたマニュアルはなく,慣習や経験に基づいた診療が行われていた.しかし,センター開設に伴い内視鏡技師1名が専属化され,2021年1月からは看護師2名も専属化されたため,これから系統立てた内視鏡診療を創り上げていくつもりである.内視鏡件数は増加傾向にあるが未だ満足できるものではなく,内視鏡診療の質を向上させながら地域の信頼を得ていく必要がある.
また,組織として発展させていくためには,若手の教育・育成が必須と考えている.そのためには日本消化器内視鏡学会指導施設の取得が急務である.2020年10月に赴任した医師が専門医取得を目指しており(2020年は新型コロナウィルス拡大に伴う専門医試験中止により専門医取得が叶わなかった),それに伴って指導施設申請を目指している.
現在,胆膵専門医が不在であり,高度な診断・処置が必要な胆膵症例は他院へ依頼している.胆膵専門医の入職を望みたいところではあるが,当院が札幌市中心部に位置していて近隣に胆膵専門医を有する病院があることを考えると,迅速かつ的確な患者搬送を前提とした病診連携を構築していく方が現実的かもしれない.また,近隣に開業した札幌IBDクリニックとの連携が始まり,小腸内視鏡検査やカプセル内視鏡検査が増加してきた.IBD診療に関する体制の充実化も図っていきたいと考えている.
当院は中規模病院であり,できることは限られている.しかし,その分,内視鏡診療の質を重視して高めていくつもりである.課題は山積みだが,着実に実績を積みかさねていき,良い内視鏡センターを創っていきたいと思っている.