日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
国家公務員共済組合連合会名城病院
責任者:水谷太郎(消化器内科・内視鏡センター長)  〒460-0001 愛知県名古屋市中区三の丸1-3-1
水谷 太郎 後藤 秀実
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2022 年 64 巻 10 号 p. 2337-2339

詳細

概要

沿革・特徴

名城病院は,昭和26年5月に名古屋共済診療所を前身として設立され,昭和37年11月に国家公務員共済組合連合会名城病院として診療が開始された.

病院は名古屋市の中心部で閑静な官庁街に位置し,近くには名古屋城と緑多い公園が存在し,療養環境としては最適である.病床数は326床,診療科目18科を有し,「安全で良質な医療の提供」を目指している.病室は4床室においても1床あたり8m2を確保して個室的感覚を図り,またベッドを扇形に配置しているため各ベッドがすべて窓に面し,南側の病室は名古屋市中心街を,北側の病室は名古屋城と緑多き公園,さらには岐阜の山々などを見ることができ,その景観は雄大である.

病院の特徴としては消化器内科・内視鏡センターのみならず,循環器科・胸部心臓血管外科が連携した循環器センター,整形外科の脊椎脊髄センターなどがあり,県外からも多数の患者さんが来院される.さらに,健診部門が総合健診センターへと拡大し,より多くの受診者を受け入れる体制を整えている.

組織

内視鏡センターはそれまでの内視鏡部を拡充して平成30年7月に開設された.診療部門の一つとして位置づけられ,内視鏡検査のほか心・血管系を除く超音波検査も当センター内の超音波検査室で行っている.消化器内視鏡検査・治療は,内視鏡センター長をはじめ消化器内科医師が行い,また呼吸器内科医師による気管支鏡も当センターで行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室は,平成30年7月に床面積を80m2から206m2へと大幅に拡張され,検査前処置室,トイレ,リカバリールーム,個室前処置室の充実も図られ,検査・治療を快適な環境で受けていただくことが可能となった.また,内視鏡検査室から洗浄室へ内視鏡を運ぶ導線を,各部屋の患者さんの導線と交わらないように配置し,感染対策にも配慮した.

リカバリーの充実で,リスクが高くない希望者に鎮静下での検査を行い,下部内視鏡ではほぼ全例CO2送気を使用し,安全で楽な検査を心がけている.

スタッフ

(2022年3月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医5名,その他スタッフ5名,研修医など1名

内視鏡技師:Ⅰ種2名

看護師:常勤7名,非常勤1名

事務職:2名

その他:3名(内視鏡洗浄員)

設備・備品

(2022年3月現在)

 

 

実績

(2021年1月~2021年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は研修指定病院として毎年5名程度の初期研修医がローテート研修を行っており,初期研修における内視鏡診療は,主に見学で適応・手技・偶発症などを理解することからはじまる.特に基本となる上部消化管検査についての理解に重点を置き,毎週行われるカンファレンスでも画像読影を中心に診断能力の向上を図っている.

後期研修では,日本消化器内視鏡学会の指導に基づいて作成した,“国家公務員共済組合連合会名城病院消化器内視鏡領域研修カリキュラム”を基本として,専門医・指導医の監督下に実技を重ね,手技の修得を目指している.当院は日本消化器内視鏡学会のみならず,日本消化器病学会,日本消化管学会,日本カプセル内視鏡学会など,内視鏡診療に関係する領域で多くの指導施設認定を受けており,内視鏡診療は常に専門医・指導医が直接指導する体制をとっている.また,名古屋大学及び藤田医科大学消化器内科との連携も強く,特に胆膵領域においては教官医師が非常勤勤務しているので,直接指導を受けることも可能である.

また,週1回外科との合同カンファレンスを行い,内視鏡治療以外に外科手術の適応となる症例についても広く学び,さらに病院として定期的に開催している病理部とのCPCにも症例を提示し検討を行っている.さらに,これらの経験した症例を基に学会発表や論文執筆も行うべく指導体制も整備している.これらの一連の研修を行っていくことで学会専門医の取得は可能である.

現状の問題点と今後

新内視鏡センターの開設でフロア面積も約2.5倍に拡充され,長年懸案事項となっていたトイレを含めた前処置室やリカバリースペースの不足はかなり充足された.最近は内視鏡検査に鎮静剤の使用を希望される患者が増加しているため,この点からもハードの充実は歓迎すべきことである.また,内視鏡検査室が完全個室化できたことは,患者のプライバシー保護の観点からも希望がかなえられた.また時を同じくして発生した新型コロナウイルスのパンデミックにおいても,感染対策の観点から非常に幸いであったと安堵している.加えて検査間の室内の換気やスタッフや被検者の感染予防策には常に注意を払っており,検査前後の手指消毒や環境整備,ガウン・マスク・ゴーグル・キャップ装着などの感染対策を院内の感染制御部とも連携をとりつつ行っている.その結果,幸い現時点において内視鏡診療に伴う感染者は1人も出ていない.しかし,コロナ禍において検査件数はやはり伸び悩んでおり,コロナ感染の終息の兆しが見えないことから,今後当院の内視鏡診療において感染対策を含めた安全性を担保した内視鏡診療をさらに推し進めていくことが当面の課題と考えている.

 

内視鏡検査室

 
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