日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
飯山赤十字病院
責任者:渡邉貴之(消化器科部長)  〒389-2295 長野県飯山市大字飯山226-1
渡邉 貴之
著者情報
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2022 年 64 巻 12 号 p. 2547-2549

詳細

概要

沿革・特徴

当院は長野県最北端である岳北地域の医療を確保すべく,当時の飯山町を含む9つの町村による病院組合が,旧水内社製糸工場跡を病院の敷地・施設として無償で日本赤十字社長野県支部に提供し,昭和28年12月10日に開設された.開設当時は内科・外科・産婦人科の3診療科で病床数は一般病床が52床,伝染病床が25床であった.現在は消化器科を含む21診療科,病床は急性期病棟・地域包括ケア病棟・回復期リハビリテーション病棟・療養型病棟の計288床で運用している.飯山市を中心とした岳北地域の急性期から慢性期の医療,在宅診療や訪問看護に至る地域密着型の診療を提供するように心がけている.

組織

当院では2016年に消化器疾患の診療を安全かつ効率的に行うことを目的として消化器センターを開設し,内視鏡検査及び治療を提供している.常勤医が少ないため日々の内視鏡業務においては複数名の非常勤医師に協力して頂きながら行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

内視鏡室では主に2つの検査スペースを使い,午前中に上部消化管内視鏡検査,午後に下部消化管内視鏡検査を行っている.説明室を検査スペースとは別の場所に設けて検査後の説明を行っている.内視鏡室内にX線透視装置がないため,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)などのX線透視が必要な検査の際には,内視鏡室向かいにある共有のX線透視室を利用している.

スタッフ

(2022年6月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医1名,消化器内視鏡学会 専門医1名,その他スタッフ1名

内視鏡技師:Ⅰ種4名

看護師:常勤2名

その他:3名

 

 

設備・備品

(2022年6月現在)

 

 

実績

(2021年4月~2022年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院ではこれまで指導施設としての認定を継続してきたが,2022年の更新時には専門医の減少により指導施設認定の維持が困難であり,富山大学医学部附属病院の指導連携施設として新たに申請を行った.2022年4月現在,内視鏡に携わる常勤医としては指導医1名,専門医1名,非専門医1名が在籍しており,非専門医が内視鏡治療を行う際には必ず指導医が付き添うようにしている.治療前には治療の適応やストラテジーを確認し,治療内容も可能な限り動画保存しておくことで,後からでも自分の治療内容を振り返ることができるようにしている.また,治療後の対応が適切に行われているかや,病理所見による追加治療の必要性の判断などについても適宜確認しディスカッションをしている.

現状の問題点と今後

当院ではここ数年,常勤医の異動が多く,また新型コロナウイルス感染拡大の影響で内視鏡室スタッフも減少してしまい,一貫した組織編成や人材育成を行うことが困難であった.今後もある程度はスタッフの入れ替わりがあることを想定し,内視鏡関連手技やデバイスの使い方,介助のマニュアルなどを作成しておくことが望ましい.加えて内視鏡関連手技の発展は著しいため,最新の治療方法やデバイスについてもスタッフ全員で情報を共有しておく必要がある.

指導医や専門医の減少に伴い,消化器内視鏡学会認定施設の継続が困難になってきている.今後も専攻医のキャリア形成に適した施設であるためにも,富山大学医学部附属病院からの支援を頂きながら認定施設の継続に努めたい.また内視鏡室スタッフの減少によって,午後の内視鏡検査に処置が加わった場合には1列での対応となるため,処置が時間外に延長してしまうこともしばしばある.他部署との連携をうまく取りながら時間内にすべての内視鏡処置を終えることができるよう体制を整える必要がある.

当院のある長野県岳北地域は県内でも高齢化率が進んでいる地域であり,およそ20年後の日本の高齢化率と同等といわれている.消化管腫瘍においては内視鏡治療適応の段階で発見されれば,低侵襲で最大の治療効果を享受することが可能であり,高齢者になってからも定期的に内視鏡検査を受けることのメリットについて啓発していくことが重要と考えている.また,可能な限り苦痛の少ない検査を受けることができるよう,細径の内視鏡や安全な鎮静下での検査を積極的に導入していきたい.

 
© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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