小腸カプセル内視鏡(small bowel capsule endoscopy:CE)は小腸全域を非侵襲的に一度で観察できるためクローン病(Crohnʼs disease:CD)に良い適応があると考える.一方では小腸狭窄によりCEが滞留するリスクについて患者背景と消化管開通性から事前に評価することが重要である.臨床診療におけるCEの役割として,①CD初回診断,他の炎症性疾患の鑑別,②CD小腸病変の存在診断,範囲診断,③CD治療の効果判定,臨床的寛解患者の内視鏡モニタリングが挙げられる.CDの診断は空腸から回腸にかけてびらんから小潰瘍が目立ち縦列する所見があれば特徴的とされる.CD小腸病変検索モダリティのなかで最も検出感度が高いのがCEである.CD治療の効果判定は治療開始後6カ月でCEを行い,活動性が低いか内視鏡的寛解であれば定期的に採血でモニタリングを継続し,次の2年以内にCEを検討する.CD診療は,CEを含め各患者に適切なモダリティで診断とモニタリングを行うことにより長期の臨床寛解維持と外科手術の回避を導くことができる.