日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
南長野医療センター篠ノ井総合病院 内視鏡センター
責任者:牛丸博泰  〒388-8004 長野県長野市篠ノ井会666-1
三枝 久能
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2022 年 64 巻 2 号 p. 211-213

詳細

概要

沿革・特徴

南長野医療センター篠ノ井総合病院は,1967年に30床で長野市南部の篠ノ井地区に開院し,時代とともに規模を拡大し現在433床となった.目下第2期病院再構築が進行中である.

近隣には1998年の長野オリンピック冬季競技大会の開閉会式場となった南長野運動公園や,かつて上杉謙信・武田信玄が戦った川中島古戦場などがあり,鉄道・道路が分岐する交通の要衝に位置している.

長野市南部と隣接する千曲市を中心に,東信地区の一部を含む広範囲を医療圏としており,救急医療・がん診療・周産期医療・災害医療などに注力し診療を行うとともに,地域の医療施設と協力・連携して地域に根差した医療の提供を目指している.

組織

内視鏡センターは第1期病院再構築による本館棟の完成に伴い,2015年より新規に本館棟1階南側に移転して診療を開始した.

内視鏡センターは特殊診療部の1部門として独立しており,消化器内科および外科,呼吸器内科そして健康診断科の医師が診療を担当し,また信州大学からも医師を派遣いただいている.看護師は外来部門に所属し,内視鏡技師として臨床検査技師1名が所属している.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

内視鏡センターは総面積約503m2で,検査室は5つあり,主として午前に上部消化管内視鏡検査,午後は大腸内視鏡検査および治療内視鏡を行っている.また緊急症例に対しては随時検査・治療を行う.

センター内にX線透視の設備はないが,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)などの透視下検査・治療は廊下を隔てた向かい側のX線透視室で行っている.

待合室とは別に大腸内視鏡検査前処置室と鎮静剤使用患者のリカバリー室を設け,ある程度余裕のある設計になっているが,大腸内視鏡検査数の増加と新型コロナウイルス感染症の影響で,大腸内視鏡検査前処置室がやや手狭になっており,現在可能な被検者には在宅での前処置を薦めている.

スタッフ

(2021年7月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医3名,その他スタッフ1名,研修医など2名

内視鏡技師:Ⅰ種3名(看護師2名と重複)

看護師:常勤5名,非常勤3名

事務職:1名

その他:2名

設備・備品

(2021年7月現在)

 

 

実績

(2020年4月~2021年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では例年7~8名程度の初期研修医を採用しており,院内の臨床研修プログラムに基づき研修を行っている.初期研修医は1~2名ずつ交代で6週間程度の消化器内科研修を行い,この期間に上部消化管モデルと希望者には下部消化管モデルを使用して消化器内視鏡操作の基本を学び,機会があれば指導医の監督の下,実際に検査を行っている.

後期研修は信州大学消化器内科と協力して行っており,現在2名の専攻医が在籍している.専攻医は上下部消化管内視鏡検査に加え,指導医とともに超音波内視鏡検査(EUS)・ERCPなど特殊検査や各種治療内視鏡を研修し,最終的には自ら手技を完遂できることを目指す.

消化器内科では毎朝病棟カンファレンスを行い,治療方針を確認するとともに,週1回の内視鏡カンファレンスで内視鏡画像を詳細に読影し,病理所見を確認している.また,週1回の外科との合同カンファレンスで手術症例について検討している.

さらに当院では日常の臨床診療のみならず,学会・研究会活動も積極的に行っており,日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設をはじめ,各種学会の指導施設に認定されている.

現状の問題点と今後

設備は比較的新しいが,設計の都合上,二酸化炭素送気を中央配管にできなかった点や,センター内にX線透視設備を設置できなかった点が悔やまれる.細径内視鏡が少ないため,経鼻挿入観察は現在ルーチンで行っていない.また,保有するシングルバルーン小腸内視鏡はShort typeであり,カプセル内視鏡の設備もないため,小腸疾患の検索および治療に関してはある程度制限がある.

人間ドックの上部消化管内視鏡検査での鎮静剤使用の要望があるが,リカバリーベッド数が限られる上,健康管理センターまで距離があるため,現在対応が困難である.

人員的には病院規模に比して消化器内科医が少なく,臨床診療に忙殺されてしまい,現在働き方改革における課題とされている.また,パラメディカルスタッフも不足しており,並行して稼働できる検査室が制限されている.このような事情から特に大腸内視鏡検査の予約が取りづらく,改善の余地がある.

このように改善すべき点もあるが,引き続き安全かつ最良の医療を提供すべく日々努力を重ねている.

 
© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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