日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道運動障害患者における上部消化管内視鏡検査の臨床的重要性について(動画付き)
松原 正樹眞部 紀明綾木 麻紀中村 純村尾 高久藤田 穣杭ノ瀨 昌彦山辻 知樹猶本 良夫春間 賢
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電子付録

2022 年 64 巻 3 号 p. 313-322

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抄録

【目的】この研究の第一の目的は,嚥下困難感を訴える食道運動障害患者のEGDによる診断率を明らかにすることである.第二にその診断に有用なEGD所見を特定することである.

【方法】嚥下困難感患者380例を対象に,EGD施行後,高解像度食道内圧検査(high-resolution manometry:HRM)を行った.EGD所見は食道胃接合部通過時の抵抗,食道内残渣,食道拡張,食道痙攣を疑う収縮,非閉塞性収縮の5つの指標を用いて評価した.なお,HRM診断はシカゴ分類(v3.0)に基づいて行った.

【結果】食道運動障害患者の64.4%に上記のEGD所見のいずれかを認め,その所見は食道運動障害のタイプによりそれぞれ異なっていた.シカゴ分類(v3.0)のDisorders with EGJ outflow obstructionとMajor disorders of peristalsisでのEGD異常の割合は,HRM正常者に比べて有意に高かった.多変量解析の結果,食道胃接合部通過時の抵抗,食道内残渣,食道痙攣を疑う収縮,非閉塞性収縮が食道運動障害と有意に関連していることが判明した.これらのEGD所見を用いた食道運動障害の検出における感度,特異度,陽性的中率,陰性的中率は,それぞれ75.1%,86.6%,84.8%,77.8%であった.

【結語】Disorders with EGJ outflow obstructionやMajor disorders of peristalsisはEGDでスクリーニング可能である.いくつかの内視鏡所見の中で,食道胃接合部通過時の抵抗,食道内残渣,食道痙攣を疑う収縮,非閉塞性収縮は特に有用な所見と考えられた.

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© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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