【背景と目的】膵神経内分泌腫瘍(Pancreatic neuroendocrine neoplasma:PanNENs)は,グレード1(G1)またはG2腫瘍であっても,予後不良となりうる.本研究の目的は造影超音波内視鏡検査(Contrast-enhanced harmonic endoscopic ultrasonography:CH-EUS)がPanNENsの予後を予測できるか評価することである.
【方法】本研究は,2011年12月から2016年2月の間に近畿大学にてCH-EUSを受け,外科切除または超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)によりPanNENsと診断された連続47例を対象とした.対象者は,臨床的悪性度によって侵襲性と非侵襲性PanNENsに分類した.CH-EUSの侵襲性PanNENsの診断能,造影パターンと病理学的所見の対比,PanNENsの予後予測能について評価した.
【結果】侵襲性PanNENsは19例,非侵襲性PanNENsは28例であった.侵襲性PanNENsの内訳は,G1が3例,G2が4例,G3が3例,外分泌成分との混合腫瘍(Mixed neuroendocrine non-neuroendocrine neoplasm:MiNEN)が3例,神経内分泌細胞癌(Neuroendocrine carcinoma:NEC)6例である.CH-EUSにおけるhypo-enhancementは侵襲性PanNENsを示唆する所見であり,感度94.7%,特異度100%,陽性的中率100%,陰性的中率96.6%,正診率97.9%と造影CTに比べ有意に診断能が高かった(P<0.001).G1とG2のうち,CH-EUSでhypo-enhancementを呈した腫瘍は,hyper/isoenhancementとなった腫瘍に比べ,予後不良であった(P=0.0009).切除例36例の病理組織学的検討では,CH-EUSにてhypo-enhancementとなった部位は血管が少なく,繊維化の程度が高かった.
【結語】CH-EUSはPanNENsの予後予測に有用である可能性がある.