2022 年 64 巻 5 号 p. 1167-1170
光学医療診療部の前身として,1976年度に故並木正義教授(旧第3内科)を中心として検査部に内視鏡室が設置され,中央診療施設3階で診療を開始した.その後,大学病院再開発計画の一環として,2度の移転を経て2003年4月に現在の中央診療棟2階に新内視鏡室が完成した.
2006年4月に大学病院中央診療施設としての光学医療診療部が開設され,部長に高後裕教授が就任した.2008年4月に部長は羽田勝計教授に交代し,指導責任者には藤谷幹浩准教授(現 消化器・内視鏡学部門教授)が就任した.2016年2月からは部長が奥村利勝教授に交代し,現在に至っている.また,当大学病院では開院以来,消化器内科が旧第2内科および旧第3内科に存在し,それぞれ別々に内視鏡診療を行ってきたが,2020年に消化器内科は1つに統合され,内視鏡診療における連携を強化している.
本学消化器内科・光学医療診療部では,消化管腫瘍に対する内視鏡診断・治療に対して広範に対応している.内視鏡診断では狭帯域光(narrow band imaging:NBI)およびblue laser imaging(BLI)併用拡大内視鏡観察に加えて,上部および下部の超拡大内視鏡(GIF-H290EC,CF-H290EC)を常備し,腺管構造や核の評価が可能になっている.内視鏡治療では食道,胃,十二指腸,大腸で内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を行っているほか,食道癌放射線療法後の局所再発に対する光線力学療法(Photodynamic therapy:PDT)や消化管外科と協力して腹腔鏡・内視鏡合同手術(laparoscopy and endoscopy cooperative surgery:LECSおよびduodenal-laparoscopy and endoscopy cooperative surgery:D-LECS)も行っている.また,本学の特徴としては多数の炎症性腸疾患患者に対する診療を行っていることが挙げられる.潰瘍性大腸炎に対しては画像強調内視鏡(NBI,BLI,自家蛍光観察(autofluorescence imaging:AFI)),拡大および超拡大内視鏡を用いた病勢の評価やサーベイランス内視鏡を,クローン病に対してはカプセル内視鏡,ダブルバルーン式小腸内視鏡を用いて小腸病変も含めた診断および治療を行っている.
さらに,内視鏡透視室には令和1年よりCアーム搭載デジタルX線テレビシステム(Ultimax-i)を導入した.内視鏡画像,透視画像,患者情報をまとめて1台で表示可能な大型ディスプレイを備え,主に胆膵疾患の診断や治療で使用しているほか,消化管造影検査や他の造影検査にも対応できるようになった.
組織大学病院中央診療施設として位置づけられ,医師,看護師,技能補助員,洗浄員,受付で構成されている.
検査室レイアウト

床面積は405m2と十分に広いスペースに,検査ユニット5台と内視鏡透視室1室,7台のリカバリーベッド,面談室2室,前処置室1室,専用トイレ3室,内視鏡洗浄室1室を有し,待合室と前処置室には待合い患者様のためにテレビが設置されている.
(2021年9月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医9名,消化器内視鏡学会 専門医22名,その他スタッフ14名,研修医など3名
内視鏡技師:Ⅰ種2名
看護師:常勤7名(育児時間取得者4名),非常勤2名(6時間勤務者)
事務職:受付クラーク1名
その他:技能補助員2名,洗浄員1名,アシスタント1名
(2021年9月現在)

(2020年10月〜2021年9月まで)

内視鏡研修は,初期臨床研修医であっても,研修医の意欲により指導医の監督指導の下で上部消化管内視鏡検査を行っている.まずは上級医の検査の見学をし,撮影順序と撮影構図,所見用紙の記載方法など基礎的なことを学ぶ.その後,指導医の内視鏡検査後の抜去時の観察,内視鏡挿入から観察,生検へとステップアップしていく.これらの過程は,すべて指導医によりチェックされる研修システムとしている.後期研修医には,上部消化管内視鏡検査が十分に行えると判断された後に,指導医の監督の下,下部消化管内視鏡検査,内視鏡的逆行性胆管膵管造影,超音波内視鏡検査などの習得に移行している.さらには,polypectomy,内視鏡的粘膜切除術(EMR),内視鏡的止血術などの治療内視鏡を行ってもらう.ESDについては豚胃などを用いたハンズオントレーニングで研鑽を経た後,積極的に参加してもらっている.消化器内科のカンファレンスは週に1回,消化器外科との合同カンファレンスは週に1回行い,個々の症例のフィードバックを行って画像診断のレベルアップを図るようにしている.
2020年より新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)に対する感染対策が必須となり,内視鏡検査前の問診,検温,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査に加えて,適切な防護具を着用した上で内視鏡診療を行うことになった.また,新型コロナウイルス感染者の増加時には一般患者の入院稼働率低減が求められ,内視鏡治療を希望される患者さまの入院を延期しなければならない状況を経験した.当大学病院は北海道の地域医療を担う拠点病院であり,遠方より紹介して頂く患者さまも多い.コロナ禍においても,感染対策と並行して高度な医療の質,安全性を維持していく必要がある.本学の光学医療診療部では旧第2内科および旧第3内科に別れて行ってきた内視鏡診療を1つに統合したことによって内視鏡診療の効率化が図られており,消化器内科全体でこの難局に対応したい.
また,当大学病院は医育機関であるため今後地域医療で活躍する優れた内視鏡医を育成しなければならない.学会活動や論文投稿を積極的に行うことで,個々のモチベーションと知識を向上させることが重要であると考え,上級医とともに日々努力している.COVID-19蔓延以降はweb上での研究会も開始し,関連病院との連携も強化しているが,対面時と比較すると発言者が限られる傾向にあり,更なる改善が必要と考える.
本光学医療診療部ではCOVID-19蔓延下においても適切な内視鏡診療を継続し,医育機関としてより優れたシステムの構築を作成しながら,地域医療に貢献していきたいと考えている.