日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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内視鏡室の紹介
日本医科大学武蔵小杉病院
責任者:二神生爾(内視鏡センター長・消化器内科教授・副院長)  〒211-8533 神奈川県川崎市中原区小杉町1-383
植木 信江 山脇 博士二神 生爾
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2022 年 64 巻 8 号 p. 1513-1515

詳細

概要

沿革・特徴

当院は1937年に日本医科大学丸子病院として開院.1940年に日本医科大学付属第三医院に改称,1954年に日本医科大学付属第二病院に改称,2006年に日本医科大学武蔵小杉病院に改称した.

1987年6月に消化器病センターが誕生し,1998年に内視鏡室が併設された.初代の内視鏡室長に内視鏡科の伊藤正秀先生が就任した.その後,内視鏡センターを充実させた消化器外科の渡邉昌則先生より現在の内視鏡センター室長である,二神生爾が引き継いでいる.

2021年9月1日から新病院が旧病院敷地北側(旧日本医科大学グラウンド跡地)にオープンした.内視鏡センターは新病院3階の正面に位置している.

組織

2013年までは消化器病センターとして消化器外科が内視鏡検査を行っていたが,2016年に消化器内科が発足し,以降は消化器内科と消化器外科と独立しながらも共同で検査を行っている.現在,NEXUSファイリングシステムを導入している.2019年より消化器内科が内視鏡センター長を務めている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

2021年9月より新病院に新たに内視鏡センターが設置された.すべての検査室は個室(治療・処置用1部屋,内視鏡検査用に3部屋)となっている.他に内視鏡センター内にX線透視室を1部屋,内視鏡センターの外にはなるが,放射線科領域にも内視鏡X線透視室を1部屋装備している.内視鏡室内にトイレ3カ所,車椅子用トイレ1カ所を備え,リカバリーベッド5床を新設してあり,内視鏡洗浄機は4台を装備している.看護師は内視鏡室と放射線科検査室を兼務している.内視鏡室は新病院3階のエスカレーター正面に設置されており,外来・入院患者にとっても動線はよく,3階において内視鏡検査,血液検査,放射線検査を一括して行える環境にある.また,当院は川崎市の胃がん検診も担っており,近隣の開業医や医療機関からの内視鏡検査を電話予約で請け負っており,大学病院の内視鏡センターとしては地域医療に深く貢献している.

スタッフ

(2022年5月現在)

医師:日本消化器内視鏡学会認定指導医8名(消化器内科2名,消化器外科6名),同認定専門医13名(消化器内科3名,消化器外科10名),その他8名(うち非常勤1名),後期研修医4名

看護師:8名(交代制)

日本消化器内視鏡学会認定内視鏡技師(看護師):1種2名,2種1名

看護助手:3名

設備・備品

(2022年5月現在)

 

 

実績

(2020年4月1日~2021年3月31日)

 

 

指導体制,指導方針

当院の内視鏡センターは日本消化器内視鏡学会の専門医指導基幹施設となっており,内視鏡専門医・指導医の数も多い.若手医師は指導医・専門医による適切な指導を受け,豊富な症例を経験できる.また,2021年の新病院開院に併せて内科専門医指導基幹施設としても認可されており,当院において日本内科学会専門医,日本消化器病学会専門医,日本消化器内視鏡学会専門医のすべてを取得することができる.新病院の内視鏡センターとしては,開設されたばかりではあるが,恵まれた環境にあるといってよい.当内視鏡センターでは,コロナ禍で減少したものの,特に超音波内視鏡件数が多く,胆膵系の手技も指導医のもと十分な症例数を経験することができる.上部・下部内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などの高度な内視鏡治療に関しても,近年急激に症例数が増加しており,他施設と同様に指導医のもと若手医師も内視鏡的治療の介助および治療を行えるが,一定基準のもと積極的に参加させ検査の適応・禁忌,前処置,準備,機材に関しての知識を実地で身につけるようにしている.

内視鏡的治療を受けた患者あるいは珍しい症例は週一回のカンファレンスにおいて,討議を重ね,積極的な学会発表を行うことで,症例一例一例を大切に学ぶ習慣を身に着けさせている.病理カンファランスも定期的に行い,消化器病理学の知識を深めるようにしている.当内視鏡センターにおける内視鏡関連の欧文論文は超音波内視鏡を用いた研究を含め過去5年間で19扁出されている.多施設共同研究も数多く行われている.

現状の問題点と今後

当院が医療圏としている川崎市は人口増加が著しい,本邦でもまれな地域である.その特徴は,若年層から高齢者まで満遍なく構成された人口分布であり,鎮静下での内視鏡検査をはじめ,経鼻内視鏡,ESDなどの低侵襲の内視鏡検査・治療が益々重要となる.当内視鏡センターは胃がん検診を含め地域医療にも深く関与している点からも,安心・安全・迅速な内視鏡診療が重要である.加えて,夜間の緊急内視鏡検査が安全に行えるように,内視鏡センター主導の講習会を定期的に開催し,パラメディカルに対する内視鏡機器に対する深い理解,内視鏡診療の介助のレベルの均一化に務めている.内視鏡スタッフ全員の知識・技術のレベルアップをより一層図ることで,内視鏡センターとしての役割を果たそうと心掛けている.

 
© 2022 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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