2023 年 65 巻 1 号 p. 90-92
長野県立木曽病院は長野県の二次医療圏の一つである木曽医療圏に所在する唯一の病院かつ有床医療機関である.木曽医療圏は65歳以上の高齢化率は既に40%を上回り,人口減少も進んでいる.3年前には12あった医科診療所も,現在は10へと減少している.
当院は,昭和38年9月に開設許可を得て,翌年4月から診療を開始した.開設時は一般病床100床であったが,平成11年には220床まで増床となった.平成4年5月から病院は現在の地に移転し,平成22年4月からは地方独立行政法人長野県立病院機構の一病院となった.
令和4年4月時点での許可病床数は,一般病床176床,医療療養病床19床,感染症病床4床である.平成7年からは介護老人保健施設(現在入所者50名,通所者10名)も併設しており,さらに令和2年3月からは介護医療院(20名)も開設し,当院はケアミックス病院として,木曽圏域の医療だけではなく,医療と介護を繋ぐ中核としての役割を担っている.
組織内視鏡部は診療部の一つとして位置づけられている.専任医師はおらず,内科,外科医が兼任で検査・治療を行っている.外来や病棟と兼任している看護師が,検査の受付,助手,処置具の洗浄や管理まで行っている.
検査室レイアウト

床面積は75.9m2であり,検査ユニットは2台で運用している.前処置室は1室で,専用トイレは2カ所,リカバリーベッドは2床有している.前処置室には,患者様のためにテレビや畳コーナーが設置されている.午前中の上部消化管内視鏡検査は内視鏡室で行い,午後の下部消化管内視鏡検査や内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)を含めた治療内視鏡は内視鏡室と廊下を隔てた向かい側の放射線部の透視室に検査ユニットを搬送して行う.COVID-19が流行してからは,各部屋に空気清浄機を備え付けている.
内視鏡施行医は午前中2名,午後1~3名と少なく,助手を務める看護師の数も2~4名と少数精鋭で施行している.予定検査の他,緊急症例に対して随時検査・治療を行っている.
(2022年5月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医1名,その他スタッフ5名
内視鏡技師:Ⅰ種1名
看護師:常勤4名,非常勤2名

内視鏡室スタッフ
(2022年5月現在)

(2021年4月~2022年3月まで)

当院では消化器内科医という枠はなく,全員が一般内科医として勤務しており,消化器内科医以外の仕事の方が多い.また,内科医の最年長者が卒後12年目と,他院と比較すると若手の先生のみで構成されている.若手のみでまとまりは良いが,日々の診療に不足がないよう,週1回カンファレンスを行い,内科全体での治療方針を検討する場を設けている.
現在は初期研修医が在籍していないが,昨年は地域医療枠で3名の初期研修医を迎え,2~4週間の内科研修を行った.その期間中に機会があれば,指導医の監督のもと実際に上部消化管内視鏡検査を行った.
後期研修は信州大学第二内科と協力して行っており,現在3名の専攻医が在籍している.専攻医は上・下部内視鏡検査に加え,指導医とともに止血,イレウス管,内視鏡的粘膜下層剥離術などの各種治療内視鏡や超音波内視鏡検査,ERCPなどの特殊検査を研修し,所見の見方から手技の完遂まで,自分1人でできるようになることを目指している.通常内視鏡室にいる指導医は1名のみであり,指導不足になってしまう部分は否めない.その分,参考図書を充実させて自ら調べる,専攻医同士で屋根瓦式に教えあい理解が不十分な部分のみを指導医に質問する,他院とのカンファレンスに参加する,など,工夫して自己研鑽を積んでいる.
その他,内科以外の他科の先生でも,内視鏡検査を訓練したいという希望があれば,随時対応している.
多忙な日々の合間に学会活動も行うように努力しており,日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設をはじめ,各種学会の指導施設に認定されている.
内視鏡件数が年々増加していく一方,内科医が臨床診療に忙殺され,内視鏡施行医が確保できない場合がある.看護師や内視鏡技師も不足しており,日々検査を回していくのが一苦労である.鎮静剤を使用した内視鏡検査を行ったあと,リカバリーベッドで休んでいる患者の様子を見る人員も不足しているため,適宜内科外来のベッドを拝借するなど,外来と協力しながら行っている.
小規模な病院であるため,内視鏡室内にX線透視設備を設置できず,治療内視鏡のたびに検査ユニットを搬送しなければならない.また,内視鏡の種類は小規模な割にはそろっているように感じるが,カプセル内視鏡やバルーン内視鏡は保有しておらず,小腸病変の検索及び治療には制限がある.
先ほども述べたが,実際に内視鏡を指導している指導医が常時1名しかおらず,指導不足になってしまう点も問題と考える.緊急内視鏡の際も指導医に常時連絡する体制となっており,指導医が不在の際には他院へ搬送する場合もある.
改善すべき点は様々あるものの,スタッフのフットワークは軽く,まとまりも良く,ONE TEAMで日々の診療に取り組めている.信州大学第二内科を始めとする周囲のバックアップ体制も充実しており,当院での対応が困難である患者は,快く引き受けてくれる病院が多い.そのような自助努力,他院の協力のおかげで,内視鏡件数は年々増加しており,木曽の地域医療と病院の経営に貢献しているのではと自負している.専攻医とともに成長できるよう,また,引き続き安全な医療を提供できるよう,日々精進していく所存である.