2023 年 65 巻 10 号 p. 2217-2230
急性胆囊炎に対する胆囊ドレナージ法には,経皮経肝ドレナージ,内視鏡的経乳頭ドレナージ(endoscopic transpapillary gallbladder drainage:ETGBD),超音波内視鏡下経消化管ドレナージがある.ETGBDは生理的ルートを介した非観血(非穿刺)手技であるため,抗血栓薬内服などの出血傾向例や腹水症例に対しても施行可能である.しかし,胆囊管を通じた手技は難易度が高く,手技成功率が低いことが課題である.ETGBDを安全に成功させるためには,ETGBDの基本手技を習得し,さらには手技困難例への対応策を身につけておくことが重要である.
Drainage techniques for acute cholecystitis include percutaneous transhepatic drainage (PTGBD), endoscopic transpapillary gallbladder drainage (ETGBD), and endoscopic ultrasound-guided gallbladder drainage (EUS-GBD). ETGBD is a non-puncture procedure through a physiological route; hence, it can be performed on patients with bleeding tendencies or ascites. However, the technical success rate of ETGBD is inferior to that of PTGBD and EUS-GBD owing to the technical difficulty of selective cannulation to the cystic duct. A safe and successful ETGBD requires mastery of the basic technique and ability to troubleshoot during difficult cases.
急性胆囊炎に対する治療の第一選択は腹腔鏡下胆囊摘出術であり,手術が困難な中等症以上の急性胆囊炎が胆囊ドレナージの主な適応となる 1),2).ドレナージ法には,経皮経肝ドレナージ(percutaneous transhepatic gallbladder drainage:PTGBD),内視鏡的経乳頭ドレナージ(endoscopic transpapillary gallbladder drainage:ETGBD),超音波内視鏡下経消化管ドレナージ(endoscopic ultrasound-guided gallbladder drainage:EUS-GBD)があり,確立された標準的ドレナージ法として急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン/Tokyo Guidelines 2018(TG18)にて推奨されているのはPTGBDである 1),2).一方,ETGBDはPTGBDの代替法としての位置づけではあるが,凝固異常や腹水などでPTGBDが困難な症例に対しても施行可能であり,内瘻が可能なため患者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)にも優れる.近年の高齢化の社会背景から,抗血栓薬内服例や外瘻カテーテルの自己抜去が危惧される症例に対しETGBDが求められる状況は増加している.しかし,ETGBDは手技の難易度が高く,他のドレナージ法と比較して手技成功率が低いことが課題であり 3),4),基本手技を習得することはもちろん,手技困難例へのトラブルシューティングを身につけておく必要がある.そこで本稿では,ETGBDの適応と基本手技,手技困難例への対処法について解説する.
前述のとおり,急性胆囊炎に対する治療の第一選択は腹腔鏡下胆囊摘出術であり,手術が困難な中等症以上の急性胆囊炎が胆囊ドレナージの主な適応である 1),2).手術の危険因子は,年齢調整を含めたチャールソン併存疾患指数(age-adjusted Charlson comorbidity index:CCI),米国麻酔科学会による術前状態分類(American Society of Anesthesiologists physical status classification:ASA-PS)により全身状態を考慮し,軽症および中等症の急性胆囊炎ではCCI:6点以上,ASA-PS:3以上,重症ではCCI:4点以上またはASA-PS:3以上が手術困難な目安となる 2),5).また,重症例では,中枢神経障害,呼吸機能障害,黄疸(T-Bil:2mg/dl以上)が有意に手術死亡率を増加させると報告されている 5).
PTGBDやEUS-GBDが穿刺手技のドレナージ法であるのに対し,ETGBDは生理ルートを介した非観血的手技であるため,抗血栓薬内服や播種性血管内凝固症候群,肝硬変などの凝固障害例や,腹水,Chilaiditi症候群などの穿刺が困難な症例も適応となる.また,胆管結石や急性胆管炎を合併している症例では,同時に結石除去や胆管ドレナージなどの経乳頭的治療が可能である.PTGBDやEUS-GBDは少なからず穿刺経路を通じた胆汁漏出が避けられないが,ETGBDは胆囊管穿孔などの偶発症をおこさない限り胆汁漏出はないため,腹膜播種予防の観点から胆囊管癌や胆囊頸部癌などの悪性腫瘍が否定できない無石胆囊炎例もETGBDの良い適応と考える.
ETGBDには,内瘻の胆囊ステント留置術(endoscopic gallbladder stenting:EGBS)と外瘻の経鼻胆囊ドレナージ術(endoscopic naso-gallbladder drainage:ENGBD)に大別され,2報のrandomized controlled trial(RCT)の結果では両者に有効性や安全性に差はないと報告されている 6),7).よって,EGBSとENGBDの選択はそれぞれの利点と欠点を考慮し症例に応じた選択が可能である.ENGBDは,胆囊内の吸引/洗浄,排液のモニタリング,吸引胆汁による細胞診,胆囊造影が可能という利点があるが,カテーテルの自己抜去やQOLの低下が問題となる.一方,EGBSは,吸引/洗浄,排液モニタリング,造影は行えないが,QOLに優れ長期留置の認容性が高い.近年,EGBSにおけるステントの長期/永久留置の良好な成績が報告されており 8),9),全身状態や併存疾患などの理由からドレナージ後も手術が見込めない症例はEGBSが良い適応と考える.なお,われわれはステントの定期交換は行わず,ステントトラブル発生時の交換の方針としている.
まず,胆管造影により胆囊管を同定する.胆囊管の分岐形態には様々なバリエーションがあり 10),あらかじめCTやMagnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)にて胆囊管の分岐形態や走行を予測しておくことが望ましい.しかし,急性胆囊炎では胆囊が腫大しており,胆囊管は腫大した胆囊と総胆管に挟まれるように存在するため,画像検査にて胆囊管の分岐形態を把握することが難しい場合も多い 11).また,胆管造影を行っても分岐形態や胆囊管の結石嵌頓により胆囊管が描出されないことも少なくないが 11),胆囊管が描出されなくても過造影は胆管内圧の上昇を引き起こすため避けるべきである.腹臥位で総胆管から造影した場合,まず左肝内胆管が造影され,引き続き右肝内胆管の2次分枝程度まで造影されたらそれ以上の造影は行わない.胆管造影にて胆囊管が描出されない場合には,ガイドワイヤー(GW)にて胆囊管分岐部を探っていく.GWはトルク伝達性が良く回転性能に優れたRadifocus(テルモ)やNaviPro(Boston Scientific)などのアングル型親水性GWが有用であり,軟らかいGWであるため安全性にも優れる.胆囊管分岐が疑われる近傍をGWにトルクをかけて回転させながら出し入れして探り,分岐部にGW先端が引っかかる手元の抵抗感をつかむ.胆囊管分岐部を探る際には,カニューレの先端は胆囊管分岐部が疑われる部位にあまり近づけ過ぎず,やや距離の離れた遠位胆管からGWの自由度を活かして探る方が広範に探ることができる.われわれは0.035 inchのRadifocus(テルモ)を第一選択として使用しているが,全く胆囊管分岐に当たらない場合に0.035 inchのNaviPro(Boston Scientific)へ変更すると先端アングルのわずかな角度や深さの違いにより胆囊管へ挿入に成功することを経験する.また,胆汁を吸引して総胆管径を細くすることで胆囊管に当たる確率が高まることもある.その他,胆囊管の同定には,体位変換,管腔内超音波(intraductal ultrasonography:IDUS),胆道鏡などが有用な場合もあるが,胆道鏡は内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)が必要なため出血傾向例では行えない.GWが胆囊管に引っかかり先端が挿入されると,GW先端の位置を変えることなく引きのテンションをかけながらGWの軸に合わせてカニューレを追従させ,カニューレの先端を胆囊管に挿入する(Figure 1-a).この際に,GWの引きのテンションとカニューレの挿入スピードの協調がとれていなかったり,GWとカニューレの軸がずれていたりすると,GWが肝側胆管方向に撥ねてしまうため助手との慎重な協調操作が必要である.

a:GWの先端を胆囊管に挿入し,カニューレを追従させた.
b:GWが胆囊管でループを形成した.
c:GWに引きのテンションをかけてストレッチした.
次に,GWを胆囊管から胆囊内まで進める.胆囊管はらせん構造で蛇行が強いため,適宜造影を加え走行を確認しながら慎重にGWを進める.胆囊管のseekingにはGWの回転性と柔軟性が重要となるため,われわれは親水性のGWを使用している.GWでの探り方には,GWの先端で探る方法とGWの先端をUターンさせてGWの腹で探る方法がある.GW先端に強い力が加わると胆囊管穿孔のリスクがあるため,反転できる場合にはGWの腹で胆囊管を押し広げるように進める.最近では,先端軟性部が長く反転させ易い新規GW(J-Wire Prologue, J-MIT)の有用性も報告されている 12).強い屈曲や癒着による狭窄,結石嵌頓などでUターンさせたGWでは突破が困難な場合には,GW先端でトルクをかけて回転させながら愛護的に挿入を試みる.この際には,0.025 inchの細径親水性GW(NaviPro,Boston Scientific)も有用である.
3.胆囊内へのGW留置,EST胆囊内に親水性GWが到達すると,カニューレを追従させ,GWをスティッフタイプに交換し胆囊内に十分に留置する.胆囊管や胆囊頸部でGWがループを形成している場合には,GW単独もしくはGWとカニューレを協調させて一気に引きのテンションをかけてGWのストレッチを行う(Figure 1-b,c).GWのストレッチにより,その後の処置具の挿入が格段に楽になる.GWを留置した後,可能な症例ではESTを行う.ESTの目的は,その後の処置具の挿入性の向上,胆管胆汁の流出促進,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)後膵炎の予防であり,切開範囲は小~中切開で十分で,ステントや経鼻カテーテルに7Fr以下のものを使用する場合にはESTは必ずしも必要ない.
4.胆囊内胆汁吸引,洗浄,ステント長の計測次に,胆囊内胆汁を吸引し,培養検査および無石胆囊炎などで悪性腫瘍の存在が否定できない場合には細胞診に提出する.われわれは,7Frのテーパードカテーテル(MultiFunction Catheter,ガデリウス)を用いて吸引および生理食塩水による洗浄を行っている(Figure 2-a,b).胆囊内の感染胆汁は非常に粘調度が高く,カニューレでの吸引は困難な場合が多いが,7Frのテーパードカテーテルは先端付近に側孔が設けられており吸引性能に優れている.また,7Frテーパードカテーテルを胆囊内に挿入することで胆囊管のブジー効果が期待できるとともに,挿入の容易さに応じて次に挿入するステント径の選択の参考にもなる.つまり,挿入が容易な場合には7Frのステントが選択できるが,挿入に難渋すれば5Frを選択する.可能な限り胆囊内胆汁を吸引した後,50~100mlの生理食塩水を10mlずつ注入と吸引を繰り返し,胆囊内の洗浄を行う.その後,EGBSの場合には,テーパードカテーテルを通じて胆囊底部から乳頭までGWを引いてくることで挿入するステント長を計測する.

a:7Frテーパードカテーテル(MultiFunction Catheter,ガデリウス).
b:テーパードカテーテルを胆囊内に挿入し胆囊内胆汁の吸引および洗浄を行った.
最後に,先端が胆囊底部に位置するようにEGBSではプラスチックステント,ENGBDでは経鼻ドレナージカテーテルを留置する.胆囊底部までは距離が長く,乳頭から胆囊底部に向かって弧を描くようなルートになるため,挿入時にはステント先端に先進力を伝えにくく,助手のGWの引きのテンションとの協調性が重要となる.
EGBSに用いるステントは,胆管用の両端pigtail型ステントを代用している施設が多いと思われる.胆囊底部に先端を位置させるには15cm前後の長さが必要となる場合が多く,普段胆管ではあまり使用されない長めのステントを用意しておく必要がある.ステント径は7 Frや5 Frのものが主に用いられている.5 Frの細径の方がステントの挿入性は良好だが,胆囊管や胆囊頸部の屈曲が強い場合にはキンクに注意が必要である.5 Frと7 Frの治療成績の違いは明らかではなく,今後の症例を集積した報告が待たれる.EGBS専用のステントは少なく,ガデリウス社のIYO stent(Figure 3-a,b)やHanaco社のGBest-N stent(Figure 4-a,b)などが市販されている.IYO stentは,先端が多重pigtail,乳頭側が半pigtailの形状で,ステント径が5 Fr,シャフト長が10cmである.シャフト長は短めであるが,先端の多重pigtailの部分は引き延ばすと18cmになるため,大部分の症例で使用可能である 13).GBest-N stentは,先端がらせん型,乳頭側がストレートの形状で,ステント径は5 Frと7 Fr,シャフト長は11cmから19cmまでのものが2cm間隔でラインナップされている.シャフト部分は半円形で胆囊に留置した際の形に合った形状となっているため,らせん型の先端形状とともに逸脱の予防が期待できる 14).また,non-ESTで留置した際にも胆管内胆汁もドレナージできるようシャフト部分にも側孔が設けられている.乳頭側端はストレート形状のため,ステント交換が必要な際には乳頭側端からGWを挿入し胆囊内に留置した状態でステント抜去が可能であり,再度胆囊管をseekingする必要がない点でも有用である.しかし,現在の胆囊専用のステントにはインナーシースと一体型のものがなく,引き戻しが不可能なため,胆囊管の狭窄や屈曲などで挿入が困難となった場合には,GWとともに抜去しなくてはならないといった問題がある.今後,インナーシースと一体型の引き戻し可能な胆囊専用ステントの登場が望まれる.

a:IYO stent(ガデリウス).
b:IYO stentを留置した透視像.

a:GBest-N stent(Hanako).
b:GBest-N stentを留置した透視像.
ENGBDには,5 Fr~7 Frの胆管用先端pigtail型ENBDカテーテルが代用されており,われわれは6 Frのもの(ENBDキット,ENK-A-2,ガデリウス)(Figure 5-a,b)を使用している.ENBDカテーテルには十二指腸の部分にαループ形状加工が施されたものが多いが,ENGBDでは乳頭から胆囊底部までの距離が長く,症例によっても差が大きいため,αループ加工がされていないものを選択した方が良い.

a:十二指腸にαループ形状加工のないENBDカテーテル(ENBDキット,ENK-A-2,ガデリウス).
b:ENGBD留置後の透視像.
2020年にMohanら 3)によって報告されたメタ解析の結果では,ETGBDの手技成功率は83%であり,PTGBDの98.7%,EUS-GBDの95.3%と比較すると有意に低いことが示されている.よって,手技困難例を克服し,手技成功率を向上させることはETGBDの大きな課題である.ETGBDの手技困難因子として,Marutaら 15)は,下方向への胆囊管分岐,胆囊管の肝側付着,胆囊管結石,太い総胆管径を挙げている.一方,Satoら 16)は,手技中の胆囊管穿孔がETGBDの手技失敗因子であると報告している.
実際の臨床で比較的よく遭遇する困難例とその対処法を以下に示す.
1.下向き分岐の胆囊管にGWが挿入できないGWで探っても下方向へ分岐する胆囊管へ誘導できない場合には,papillotomeや先端灣曲機能付カテーテル (Swing Tip,オリンパス),pigtail型ENBDカテーテルなどの先端を下方向へ向けることができるデバイスを用いる 17).しかし,それらのデバイスは灣曲する方向や角度には制限があり,意図する方向へ向かないことも多い.その際は,BouncerTM Multi-Path Extraction Balloon(Cook Medical)や結石除去用バルーンカテーテルを用いてBalloon occlusion method 18)が有用である.Balloon occlusion methodは,胆囊管分岐直上でバルーンをインフレートし,それ以上肝側にGWが進まないようにした状態でGWを反転させ下方向に分岐する胆囊管へ誘導する方法である(Figure 6-a,b).この方法はGWの自由度を活かして広範に探ることが可能である.また,GWは胆囊まで挿入できたものの,カニューレやステントなどのデバイスを挿入する際に肝側に撥ねてしまう場合にも本法は有用である.ただし,いわゆるtwo-devices-in-one-channel method 19)であるため,鉗子口径に応じた細径デバイスの組み合わせを考慮する必要がある.

Balloon occlusion method.
a:下向きに分岐する胆囊管が造影された.
b:胆囊管分岐直上でバルーンをインフレートし(矢印),GWを下方向に分岐する胆囊管へ誘導し(矢頭)胆囊内に留置した.
胆囊管穿孔はETGBD特有の偶発症であり,9.2 %と比較的高率に発症すると報告されている 20).胆囊管穿孔の予防には,親水性の軟らかいGWの使用が推奨されるが,それでも穿孔をきたす場合があり(Figure 7),愛護的なGW操作が最も重要である.胆囊管穿孔をきたすと,その後はGWが穿孔部から腹腔へと進んでしまい,正規ルートへ進めることが困難となり,手技成功率は43.5%と著明に低下するとされる 20).ただし,胆囊管穿孔をきたしETGBDに失敗した場合でも,胆管にステントや経鼻ドレナージカテーテルを留置し,胆管胆汁のドレナージをしっかりと行うことにより重篤な腹膜炎をきたすことは少ないとされる 20).

GWで胆囊管穿孔をきたし,腹腔への造影剤の漏出を認めた.
GWは硬性でコシの強いものの方がストレッチし易い.1本のGWでストレッチ困難な場合には,よりコシを強化することを目的にGWを追加し2本とするDouble guidewire technique 21)が有用な場合がある.GWを追加する場合には,GWが2本挿入可能なUneven Double Lumen Cannula(パイオラックス)を用いると便利である.2本のGWとカニューレを協調させて一気に引きのテンションを加えることでGWのストレッチを行う(Figure 8-a,b).また,GWを2本にすることで,ステントの挿入が困難でGWごと抜去しなくてはならなくなった場合にも残りの1本のGWを担保できるメリットもある.Double guidewire techniqueでもGWをストレッチできない場合には,バルーンアンカー法 22)も有用である.バルーンアンカー法は,結石除去用のバルーンカテーテルを胆囊内まで挿入してインフレートし,バルーンをアンカーとしてカテーテルを牽引してループをストレッチする方法である(Figure 9-a,b).ただし,無理な牽引操作は胆囊管穿孔のリスクがあるため慎重に行う.

Double guidewire technique.
a:胆囊管でループしたGWのストレッチが困難であったため2本目のGWを挿入した.
b:2本のGWに引きのテンションをかけてGWをストレッチした.

バルーンアンカー法.
a:胆囊頸部でループしたGWのストレッチが困難であったため結石除去用バルーンカーテルを挿入した.
b:バルーンをアンカーにしてカテーテルを牽引することでストレッチを行った.
乳頭から胆囊底部までの距離が長く,手持ちの胆管用pigtail型ステントでは長さが足りない場合には,一旦ENGBDを選択し,後日,長いステントを準備してEGBSへ変更するか,ループカッターを用いて胃内や十二指腸内でカテーテルを切断して内瘻化する(Figure 10-a~c)ことが可能である 23).また,一期的にENBD用カテーテルを適切な長さにカットし,EGBS用ステントとして用いるHybrid法 24)も報告されている(Figure 11).ENBD用カテーテルをカットした場合,乳頭側のフラップは尖刃を用いてカテーテルに切り込みを入れて自作することも可能だが,pigtailの先端を胆囊底部に留置すれば迷入のリスクは少ないため,必ずしも乳頭側フラップは必要ない.

ループカッターを用いたENGBDカーテル切断による内瘻化.
a:ループカッターでENGBDカーテルを切断している内視鏡像.
b:透視像.
c:切断後の内視鏡像.

ENBD用カテーテルをカットしてEGBS時のステントとして使用した.
胆管金属ステント留置後には5~10%に急性胆囊炎を合併すると報告されている 25)~30).多くは金属ステントによる胆囊管閉塞が原因であり,腫瘍の胆囊管浸潤 25),26)や直線化力の強い金属ステント 27)が危険因子とされている.胆囊管分岐部がステントにより被覆されている場合には基本的にはETGBD以外のドレナージ法が優先される.一期的に胆囊内胆汁の吸引を行う経皮経肝胆囊穿刺吸引法(percutaneous transhepatic gallbladder aspiration:PTGBA)は,ベッドサイドでエコーガイド下に行える簡便な方法であるが,改善が得られないことや短期で再発する場合が多い.胆管金属ステントは切除不能な膵癌や胆管癌に対して留置されている場合が大部分であり,全身状態や予後,手術侵襲,QOLなどを考慮すると,胆囊ドレナージ法は内瘻が可能なEUS-GBDが最も良い適応と思われる(Figure 12).しかし,EUS-GBDやPTGBDが困難な場合にはETGBDも選択肢となり,自験例での胆管金属ステント留置後胆囊炎に対するETGBDの手技成功率は83%であった 28).

胆管金属ステント留置後胆囊炎に対するEUS-GBD.
a:EUSガイド下胆囊穿刺.
b:GW留置.
c:瘻孔拡張.
d:ステント留置.
胆管金属ステントがcovered typeで胆囊管分岐部を覆っている場合には,ステントを抜去してETGBDを行う.しかし,胆管狭窄によりカニューレやGWの動きが制限され,腫瘍の胆囊管浸潤があるとGWの胆囊管挿入に難渋する場合が多く,難易度は非常に高い.胆囊にステント留置が行えたら,胆管狭窄に対してはside-by-sideで金属ステントを留置する(Figure 13-a,b) 28).一方,胆管金属ステントがuncovered typeの場合にはステント抜去が不可能なため,胆囊管分岐部を覆ったステントのメッシュ間隙を通じてETGBDを行う 28).GWは胆囊内まで到達できてもステントがメッシュ間隙を超えない場合があるため,ステント挿入前に細径乳頭拡張用バルーン(REN,カネカ)(Figure 14-a,b) 31),ステントリトリバー(Cook medical)(Figure 15-a,b) 32)などを用いてメッシュ間隙を拡張しておくことが重要である.

covered typeの胆管金属ステント留置後の胆囊炎に対し,金属ステント抜去後にEGBSを行い,胆管には再度side-by-sideで金属ステントを留置した.
a:透視像.
b:内視鏡像.

uncovered typeの胆管金属ステント留置後の胆囊炎に対するEGBS.
a:細径乳頭拡張用バルーンにてステントのメッシュ間隙を拡張した.
b:ステントのメッシュ間隙を通じて胆囊にステントを留置した.

uncovered typeの胆管金属ステント留置後の胆囊炎に対するENGBD.
a:ステントリトリバーにてステントのメッシュ間隙を拡張した.
b:ステントのメッシュ間隙を通じてENGBDカテーテルを留置した.
ETGBDの適応と基本手技,手技困難例への対処法について解説した.近年の高齢化の社会的背景からも,抗血栓薬内服などの出血傾向例にも施行でき内瘻が可能なETGBDが求められる状況は増加しており,さらなる手技の確立と普及が望まれる.手技成功率の向上が今後の大きな課題であり,胆囊管のseeking用デバイスや引き戻し可能な一体型胆囊専用ステントなどの開発が期待される.
本論文内容に関連する著者の利益相反:なし