2023 年 65 巻 10 号 p. 2242-2244
当院は明治25年(1892年)開院であり創立130年の歴史をもつ.第2代院長 大原八郎氏が野兎病の発見者として有名である.本院の他に大原医療センター(慢性期,回復期病床),清水病院(精神科)の3つの施設で形成されており,福島市の中核病院として歩んでいる.平成30年(2018年)に現在の新病院が開院となった.353床の病床をもち,救急医療,専門医療,教育機関として地域の重要な役割を担っている.
組織内視鏡センターとして独立している.実際の内視鏡業務は消化器内科および健康予防科の医師が行っている.メディカルスタッフは,看護師は看護部の外来部門の所属からの派遣であり,この他に看護助手と受付クラークが業務を行っている.
検査室レイアウト

2018年の新病院開設後は,内視鏡センターは消化器内科外来と同じ2階に位置している.
検査室は全4室ありいずれも個室化されており患者のプライバシーにも配慮されている.
全室内に電子カルテと画像ファイリングシステムが設置されているため,レポート入力や患者への説明もその場で可能である.内視鏡センター内の医師カンファランス室にある大型モニターでは各検査室の内視鏡の映像がリアルタイムに閲覧可能であり,何かあればすぐに駆け付けられる構造となっている.
内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)などの透視下内視鏡は1階の放射線部内のX線透視室で施行するが内視鏡センター内の専用エレベーターで放射線部近傍まで移動できるため器材の移動もあまり手間がかからずストレスはない.
(2022年12月現在)
医師:消化器内視鏡学会指導医3名,消化器内視鏡学会専門医1名,そのほかのスタッフ(後期研修医)3名,他 非常勤医3名
内視鏡技師:I種3名
看護師:常勤7名
事務職:2名
そのほか:1名
(2022年12月現在)

(2022年1月~2022年12月まで)

ここ数年の当科では,内視鏡指導医3名と卒後3~5年目程度の専攻医(後期研修医)3名程度で協力しながら消化管,胆膵領域の内視鏡診療を行っている.当科の専攻医は,内視鏡を握ったばかりの初学者が配属されることも多いが,その際はまず内視鏡トレーニングモデルでの練習後に上級医の指導下に鎮静患者の内視鏡検査を実際に行っていく.当科の特徴として比較的早い時期から上部消化管内視鏡と並行して下部消化管内視鏡検査も実際に開始している.また1日に多数例の検査をこなすことが難しい場合でも,1日数例ずつでもいいので,できるだけ毎日内視鏡を握れる日を増やすようにしている.これらにより初学者でも比較的早い時期から内視鏡検査の完遂が可能になっている印象を受ける.また当科の特徴として内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)をはじめとした消化管の治療内視鏡数が多いことがあげられる.当科の専攻医はESDに興味をもつものも多く,ESDの際はまず指導医が術者の際の第一介助を専攻医に努めさせその際にポイントを教えていく.そのうえで個々の技量に合わせて胃前庭部大彎などの病変から指導医の完全バックアップのもとでESDの術者を開始する.術者としてだけでなく,介助者としてでもESDに携わる時間が確保されると適切な視野や剥離ラインの設定などの目が養われ上達が早い印象がある.術者を経験することで,ルーチンの内視鏡操作でもESDを意識した操作の心がけができるようになり,またテキストや他者の手技,動画の閲覧による勉強意欲がより上がり,次の検査・治療に活かすことに寄与していると考えている.適宜カンファランスを行い治療方針の確認や,ESD症例や診断に悩む症例の画像の確認を皆で行っている.これらの画像をしっかりと学ぶことで,専攻医のルーチンの内視鏡時の病変の発見頻度の向上につながることも期待している.
現状のスタッフ構成では指導医は全員消化管を専門としており,消化管診療との掛け持ちで胆膵領域の内視鏡診療を行っている.超音波内視鏡ガイド下胆道ドレナージ(EUS-BD)などの高度な胆膵内視鏡治療を要する症例などは適宜福島県立医科大学附属病院に治療をお願いしているのが現状である.今後は胆膵を専門とする指導医の赴任が待たれる.また内視鏡センターに勤務する看護師は看護部の外来部門からの派遣である.定期的な院内での異動が余儀なくされ,内視鏡技師の資格をもっている看護師も他部署での勤務を余儀なくされてしまっている.ESDなど治療の介助者に関しては上述のように専攻医の教育面としてのメリットがある一方で,医師が他の業務の対応がある場合などは介助者不足による治療スケジュールの設定に対する支障となりうる.内視鏡診療に特化できる看護師,内視鏡技師の確保や,臨床工学技士の内視鏡治療への介入の取り組みなどが今後の課題である.