日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
福島県立医科大学附属病院 内視鏡診療部
責任者:引地拓人(病院教授/部長)  〒960-1295 福島県福島市光が丘1
中村 純
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2023 年 65 巻 11 号 p. 2349-2352

詳細

概要

沿革・特徴

福島県立医科大学附属病院は,1871年(明治4年)に開設された白河仮病院を祖とする.その後,須賀川病院,福島県立女子医学専門学校時代を経て,1952年(昭和27年)に福島県立医科大学が設置された.1988年(昭和63年)には福島市駅前の杉妻町から光が丘に移転し現在に至っている.「健康を支える医療・心温まる医療を目指して県民と共に歩む」を基本理念とし,県内唯一の特定機能病院として最先端の医療を提供している.

内視鏡診療部は,2005年10月に小原勝敏を初代部長とし,福島県立医科大学附属病院の中央診療施設として発足した.2006年4月から正式に稼働し,2015年4月から2代目部長として引地拓人が引き継いだ.消化器内科を中心とする診療科の医師およびメディカルスタッフとともに,福島県の拠点病院として,高度かつ安全な消化器内視鏡診療を提供する役割を担っている.

組織

内視鏡診療部は,中央診療施設の一つとして独立した組織である.また,消化器内科と密に連携を取りながらも,独立した講座的な役割も担っている.部長(病院教授)の他,副部長(学内講師),助教・助手3名の5名の医師ポストを有する.実際の内視鏡診療は,内視鏡診療部の医師だけではなく,他の診療科の医師と協力して行っている.2005年の発足当初は,消化器内科,リウマチ膠原病内科,消化管外科,循環器内科,血液内科,腎臓内科の医師がそれぞれの診療科の患者の診療を行っていたが,現在はほとんどが内視鏡診療部ならびに消化器内科医師の診療体制となっている.

メディカルスタッフは,2023年4月現在で,看護師9名,臨床検査技師3名,臨床工学技士4名,洗浄員4名,医療秘書1名(主に病名や手技名の入力に関する業務),医療事務1名(主に会計に関する業務)が内視鏡診療業務に従事しており,医局秘書が1名である.この中で看護師は7名が看護部所属,2名が内視鏡診療部所属の准職員(ポストは3名)である.臨床検査技師は全員内視鏡診療部所属であり,臨床工学技士は,臨床工学センターから派遣の4名のうちいずれかの1名が勤務をする体制である.なお,看護師の5名,臨床検査技師3名が消化器内視鏡技師資格を有している.大学病院ではあるが,チーム医療や日本消化器内視鏡技師会での活動を重要視しており,メディカルスタッフの職種が多いことが特徴である.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

2019年(令和元年)11月に,本館4階の旧CCU/HCU病棟を改修する形で内視鏡診療部が移設され,内視鏡診療室が4室から7室へ増室された.各診療室は独立しているが,スタッフが行き来できる通路を設けている.院内で腸管洗浄剤を服用する患者数の増加に対応するため,2022年(令和4年)10月にはトイレを増設し,7室(多機能トイレ4室を含む)となった.リカバリースペースには,鎮静患者用のリクライニングチェアが8台あり,専属の看護師が対応する.この他,面談室,洗浄室,カンファランス室などで構成されている.

しかし,X線透視室がなく,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)などは1階の放射線部で施行し,経口内視鏡的筋層切開術(peroral endoscopic myotomy:POEM)や食道内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などの全身麻酔を要する治療は3階の手術部で行っている.

スタッフ

(2023年4月現在)

医師:消化器内視鏡学会指導医5名,消化器内視鏡学会専門医14名,その他スタッフ6名

看護師:常勤9名(消化器内視鏡技師:Ⅰ種5名)

臨床検査技師:常勤3名(消化器内視鏡技師:Ⅰ種3名)

臨床工学技士:常勤4名(1日あたりは1名)

事務職:3名(医療秘書1名,医局秘書1名,外部委託の医療事務1名)

その他:外務委託の洗浄員4名,看護助手(適宜参加)

 

内視鏡診療部医師とメディカルスタッフ,ならびに消化器内科医師

設備・備品

(2023年4月現在)

 

 

実績

(2021年4月から2022年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は日本消化器内視鏡学会の専門医指導基幹施設であり,新専門医制度のカリキュラムに沿った指導体制を構築している.福島県の指導施設ならびに指導連携施設と協力しながら,消化器内視鏡の専門研修を行っている.

研修医は,担当する患者の検査,治療を見学し,疾患の概要および治療について上級医(消化器内視鏡指導医または専門医)から指導を受ける.また,専攻医は,研修施設で既に上部消化管内視鏡検査および大腸内視鏡検査の症例を経験していることが多いため,各々の技術を上級医が確認し,許可を得られれば単独での検査を行っている.専攻医ごとで到達するレベルは異なるが,治療内視鏡においても,上級医の指導下に術者として手技を行うことができる.

さらに,内視鏡画像読影カンファランス(週1回),病理診断科とのカンファランス(月1-2回),消化器内科および消化管外科,肝胆膵移植外科との合同のキャンサーボード(月1-2回)を開催している.カンファランスに参加することで,内視鏡診断から治療まで総合的にスキルアップできるよう指導している.

現状の問題点と今後

内視鏡診療部は中央診療施設の位置づけである.しかし,看護部看護師の配置は病棟重視となっているため,看護部では外来部門に区分されている内視鏡診療部は,慢性的な看護師不足が問題となっている.近年,鎮静下での内視鏡検査や治療が増加しており,より安全性の高い診療を行うために,スタッフの充足は重要な点である.また,現在のリカバリーチェア数は検査効率の点で不十分であり,リカバリー室の拡張,リカバリーチェアの増加を検討している.X線透視室が内視鏡診療部から離れた場所にあるため,ERCPや内視鏡的硬化療法(endoscopic injection sclerotherapy:EIS)などの透視下治療が必要な手技では,スコープの搬送などアクセスが不便なことが問題である.

今後,働き方改革が推進されていく中で,メディカルスタッフ,特に臨床検査技師のタスク・シフト/シェアで業務分担を行い,看護師の負担軽減を図ることも重要と考えている.

大学病院は,専門性の高い高度な医療を提供することを理念としている.そのためにも,高度な内視鏡技術を有する医師を育成することが重要と考える.これからも,福島県唯一の大学病院として,与えられた使命を果たせるように,より一層尽力したい.

 
© 2023 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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