日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
姫路赤十字病院内視鏡センター
責任者:髙谷昌宏(内科部第一消化器科部長兼内視鏡センター長)  〒670-8540 兵庫県姫路市下手野1丁目12番1号
髙谷 昌宏
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2023 年 65 巻 2 号 p. 187-190

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概要

沿革・特徴

当院の発足は明治7年医師有志が発起し寄付金で姫路城廓内に会社病院なるものを創立したことを起源とする.その後移転増築しながら公的病院,県立病院を経て,明治41年日本赤十字社兵庫支部の管理となり(姫路赤十字病院創立),昭和18年姫路赤十字病院と改称された.平成13年には現在の姫路市下手野に移転新築し,平成25年病棟改修工事竣工により病床数を一般549床,感染症6床,計555床として現在の病床数となった.

このように当院は長い歴史の中で拡大・発展してきており,令和4年には創立114年を迎えた.現在の地に移転した際には消化器内視鏡を本館の内視鏡室で行っていたが,患者数の増加とともに手狭となり,平成30年2月竣工の治療棟2階に内視鏡センターとして新設移転した.

組織

内視鏡センターは病院長管轄下の独立した組織であり,消化器内科と肝臓内科の医師が内視鏡業務にあたっている.看護師は大部分が内視鏡センター専従であるが,手術室との人事交流と一部業務のシェアが行われている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡センターの特徴

新設の治療棟2階にある内視鏡センターは本館2階部分の外来・検査エリアと同じフロアとして連結している.消化器内視鏡業務に関わるすべての職種が設計段階から関わって,スタッフ動線,患者動線が交錯しないよう,プライバシーおよび業務の効率性と安全性に配慮したレイアウトとした.

内視鏡センターは受付・待合室・前処置エリア・内視鏡検査室・リカバリーエリア・内視鏡洗浄エリア・トイレ(患者用5室,スタッフ用2室)・カンファレンスルーム・スタッフルームなどから構成され,通路も含めて総床面積は563.24m2である.

検査室は6室全室が個室であり,各室にCO2送気装置が配管されている.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)等に用いられる治療室1,2は面積を広く取り,可動式の天吊りの高精細モニターで長時間の処置の際の負担軽減を図っている.消化器内視鏡専用の透視室は,天吊りの連結モニターを備えて心電図などを透視・内視鏡画像と同一平面に表示している.また,オーバーチューブ型X線透視台用防護カーテンを装着し,長時間の内視鏡処置の際の被曝の低減を図っている.透視室は面積を広く取り,重症胆管炎のため集中治療室での人工呼吸管理中の患者に対して麻酔機器を持ち込んで麻酔科医の全身管理下による内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)下処置を行っている.

当院は西・北播磨地区の多数の救急患者を受け入れている.緊急内視鏡処置が必要な症例も多く,内視鏡医師2名,看護師,放射線技師のオンコール体制を敷いている.救急センターは内視鏡センター透視室前のエレベーターの1階部分に近接しており,迅速な患者移送が可能である.

咽喉頭表在癌に対するELPS(Endoscopic Laryngo-Pharyngeal Surgery),上部消化管粘膜下腫瘍に対するLECS(Laparoscopy and Endoscopy Cooperative Surgery)を手術室で全身麻酔下に耳鼻咽喉科医,外科医と共同して行っている.また,当院は兵庫県西部の小児科,小児外科診療の中心であり小児年齢での消化器内視鏡検査,治療を要するケースも多く,乳幼児の内視鏡は手術室において麻酔科医による全身麻酔下で安全に行っている.

スタッフ

(2022年7月現在)

スタッフ (2022年7月現在)

医   師:指導医3名,専門医6名,スタッフ4名,専攻医3名,非常勤4名

看 護 師:常勤6名(うち,内視鏡技師2名),非常勤3名

事 務 職:3名

そ の 他:技術補助員2名

設備・備品

(2022年7月現在)

 

 

実績

(2021年1月~2021年12月)

 

 

指導体制,指導方針

当院は臨床研修指定病院であり,初期臨床研修での内科研修期間に消化器内科と肝臓内科研修のそれぞれ1カ月間,計2カ月間を消化器疾患全般の研修期間としている.この間は内視鏡センターで内視鏡の構造などのレクチャーを受けたのち内視鏡検査・処置の介助を行ってもらい,なるべく早く消化器内視鏡に親しんでもらうこととしている.希望者には上部消化管内視鏡モデルを用いて内視鏡操作を指導している.2年目には必須研修の条件を満たせば自由に研修科目を選択することができるため,将来消化器内科医を目指す研修医は,消化器内科を通常1-3カ月間選択している.この時期には指導医のもとで鎮静下の患者の上部消化管内視鏡検査を経験してもらっている.

内科後期研修で消化器内科専攻医は2年次には連携施設での研修を受けるが,当院での研修1,3年次には全期間消化器内科研修を選択することが可能である.その間は消化管,肝臓,胆膵の病棟患者を満遍なく受け持つ一方,日中のかなりの時間を内視鏡センターでの業務に従事している.当院での消化器内視鏡教育の基本は,とにかく内視鏡を握ってもらう機会を多く与えるということである.当然ながら上級医の指導を受けながらである.1年目にはまず単独で上部消化管内視鏡観察と撮影および直視下生検ができるようになることを目標とし,次いで上級医とともに大腸内視鏡の引き抜き観察を行いながら並行して大腸内視鏡モデルを用いて挿入のトレーニングを受ける.その後実患者に対する大腸内視鏡を開始する.当院では専攻医がスコープを握る時間制限を特に設けていないが,患者の苦痛がある場合や続行困難と思われる場合は時間に関係なく上級医に交代して代わりにやってみせ,挿入方法のどこに問題があったかを理解してもらうようにしている.当院では健診や人間ドックを行っていないため,上部消化管内視鏡では有所見患者の検査を多数経験することができる.また大腸内視鏡検査件数が豊富で専攻医一人あたりが行う症例が多いため,通常の症例では後期研修1年次のうちに深部挿入できるようになっている.その間に治療内視鏡を上部消化管内視鏡止血と大腸ポリペクトミーから開始し,食道・胃静脈瘤治療,胃瘻増設等は介助から始めている.ESDは3年次に胃前庭部病変から開始し,個々人の習熟度を見ながら徐々に難易度が高い症例を経験してもらうようにしている.

胆膵内視鏡は1年次よりERCPの介助に入ることから開始して処置と処置具の理解をしてもらい,上部消化管モデルで十二指腸スコープの操作に慣れる.実患者のERCPの際にはまず十二指腸スコープの挿入から乳頭を正面視するところまでを目標とし,視野を安定して保つことができるようになれば内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)後患者への胆管挿管を始める.その後未処置乳頭に対する挿管を10分程度の時間制限を設けて行い,習熟度に合わせて治療処置を開始する.その際も専攻医が行き詰まったら上級医に替わって代わりにやってみせ,また専攻医に交代して続きをやってもらうという方法を取っている.胆膵超音波内視鏡検査はまず成書による自己学習をしながら1年次より上級医が行う検査時に画面の説明を受ける.その後実患者に対する検査を開始し,解剖を理解して膵全体を観察でき腫瘤を安定して描出できるようになったら,超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)を行ってもらっている.2年次の連携施設での内視鏡研修の状況にもよるが,特に胆膵内視鏡に興味を持って取り組んでいる研修医は,3年次半ばには上級医の指導の下にEST,採石,ステント留置,EUS-FNAなどを単独で行えるようになっている.

カンファレンスは内視鏡カンファ,消化管・胆膵それぞれの入院カンファと消化管・胆膵それぞれに外科と合同の術前カンファを毎週行い,抄読会は月2回行っている.これらのカンファレンスを通じて消化管領域では通常光観察,画像強調観察,拡大観察を用いた鑑別診断を学び,また胆膵領域では多数の症例の画像診断に触れるとともに,病変ごとの解剖に基づく適切な内視鏡処置の選択を理解してもらうことを目指している.

なお,このたび示された日本専門医機構による消化器研修の内容では,後期研修ののち,まず消化器病専門医を取得してから消化器内視鏡研修・専門医取得をすることとなっている.当院は消化器内科と肝臓内科が一体運用しており,消化器内視鏡医を目指す専攻医も後期研修中に内視鏡研修と並行して無理なく肝臓内科の研修ができる体制を整えている.

現状の問題点と今後

新制度下の内科後期研修が始まり後期研修医の人事交流が盛んとなった一方,内視鏡診療を志す若手人材をいかに安定して確保するかが第一の課題となっている.当院での初期研修からの持ち上がりだけではなく,他施設で初期研修を受けた人材を積極的に受け入れる体制を確立すべく日々工夫を続けている.この結果令和4年度は他施設から2人の後期研修医を消化器内科に迎え入れることができた.

日々の診療では多数の予定,緊急内視鏡を効率的に安全に行うために医師だけではなく専従の看護師数を増加させることが必要であり,さらに看護師の業務負担軽減の視点から臨床工学士による業務の拡大も望まれる.

最近は鎮静下の内視鏡検査を希望する患者が増加しておりリカバリースペースに限りがあるため,同じ日に鎮静をする患者が多い際には患者の待ち時間が長くなったり,業務に支障がでたりすることがある.今後は鎮静をする患者としない患者の予約枠を分けるなど効率的な運用の工夫が必要であると考えている.

 
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