2023 年 65 巻 2 号 p. 191
【背景と目的】総胆管結石再発患者の最大60%が内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)後にさらなる再発に見舞われている.ほとんどの患者において,再発を予防する有効な方法はない.本研究では,再発した総胆管結石に対する内視鏡的乳頭ラージバルーン拡張術(Endoscopic papillary large balloon dilation:EPLBD)の短期および長期の有効性をランダム化比較試験で評価することを目的とした.
【対象と方法】連続した総胆管結石再発患者を対象とし,1:1の割合でEPLBD群と対照群にランダムに割り付けた.主要評価項目はERCP後2年以内の総胆管結石再発率とした.解析は intention-to-treat の原則に従った.
【結果】2014年から2021年まで,各群90名の総胆管結石再発患者180名を対象とした.すべての患者で1回または数回のERCPにより総胆管結石が完全に除去された.1回での完全結石除去率はEPLBD群で有意に高かった(95.6% vs 85.6%,P=0.017).観察期間中,2年以内の総胆管結石再発率はEPLBD群が対照群より有意に低かった(21.1% vs 36.7%,相対リスク0.58,95%信頼区間0.36-0.93,P=0.021).観察期間中央値約56カ月の時点で,総胆管結石再発はEPLBD群34.4%,対照群51.1%に認められた(ハザード比0.57,95%信頼区間0.36-0.89,P=0.012).2回以上の多発再発もEPLBD群で減少した(4.4% vs 18.9%,P=0.020).
【結論】長期経過観察中,総胆管結石再発患者のほぼ半数が従来のERCP後に結石再発を経験した.本研究は,EPLBDが総胆管結石再発を効果的に減少させることを示した初めての研究である.
本論文は再発総胆管結石に対するEPLBDの有用性を示した初めてのランダム化比較試験である.短期成績において,結石除去の際にバルーンとバスケットを併用する頻度はEPLBD群で対照群より有意に低く,初回治療での完全結石除去率はEPLBD群で有意に高く,EPLBDの有効性が示された.長期成績においても,EPLBD群で総胆管結石再発率は有意に低く,複数回の再発もEPLBD群で有意に減少し,EST後の再発総胆管結石に対し,EST追加やそのまま結石除去を行うよりもEPLBDを追加することの有用性が示された.本研究の対象は約8割が胆嚢摘出術の既往があり,再発結石の多くは胆管原発結石と考えられ,胆管径が太い症例における胆管原発結石再発に対しては,ラージバルーンで胆管開口部や遠位胆管を広げてしまった方が胆汁うっ滞を来さず,結石再々発を生じにくい,ということであろう.