日本消化器内視鏡学会雑誌
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総説
胆膵内視鏡関連手技の教育
糸井 隆夫 祖父尼 淳土屋 貴愛
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2023 年 65 巻 7 号 p. 1205-1217

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要旨

胆膵内視鏡関連手技はERCPやEUSに大別され,今日では胆膵疾患診療に共に欠かせないものとなっており,診療レベルの均一化という点でその教育は極めて重要である.欧米を中心に胆膵内視鏡関連手技の教育はAdvanced endoscopic trainees program(AETP)が以前より用いられ,その評価方法として最近The EUS and ERCP Skills Assessment Tool(TEESAT)なるものも提唱されている.一方,本邦では未だ評価法はもとより,教育方法に関しても確立したものはない.こうした現状の中で近年,教育アシストツールとして,関連手技に関する成書,ビデオが数多く出版され,ライブセミナー,バーチャルシミュレーター,ドライ・ウエットモデルや実際の生体動物モデルによるハンズオンなどが盛んに行われている.本邦においては,これらを上手に利用して,自施設の症例で上級医のもとで胆膵内視鏡関連手技の研鑽を積むことが重要である.

Abstract

Biliopancreatic endoscopic procedures are broadly classified into ERCP and EUS, both of which are indispensable in the current treatment of biliopancreatic diseases. Their education is extremely important to ensure a uniform level of care. The Advanced Endoscopic Trainees Program (AETP) has been used for education of cholangiopancreatic endoscopic procedures mainly in Europe and the United States, and the EUS and ERCP Skills Assessment Tool (TEESAT) has recently been proposed as an assessment method for the AETP; however, in Japan, the TEESAT is not yet available, and there is still no established evaluation or educational method. Many books and videos on related techniques have been published in recent years to assist in the education of biliopancreatic diseases. Live seminars, virtual simulators, and hands-on training using dry and wet models and actual living animal models have been actively developed and implemented. In Japan, it is important to make good use of these tools to learn biliopancreatic endoscopy-related procedures and explore related case studies under the supervision of senior physicians at their own institutions.

Ⅰ はじめに

胆膵内視鏡関連手技は内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)に大別されるが,その関連手技は多岐にわたり(Table 12),胆膵疾患の診断と治療において共に欠かせないものとなっている.特に,ここ最近の進歩は著しく,ERCPにおいては正常解剖例のみならず,Roux-en-Y再建例などの,従来内視鏡手技が困難とされていた消化管術後症例に対しても,バルーン内視鏡を用いた内視鏡診断・治療が行われている.一方,EUSにおいては画像診断,病理検体採取のための超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)に加えて,胆管ドレナージや膵仮性囊胞ドレナージなどの高難度な治療的EUS,いわゆるInterventional EUSがhigh volume centerを中心に普及している.そこで問題となるのが,こうした手技の教育である.胆膵内視鏡関連手技は消化器内視鏡関連手技の中でも偶発症が多く,かつ時に重篤となりうるだけに教育医(トレイナー)にとって教育は極めて重要なテーマである.本稿では,胆膵内視鏡関連手技の教育の現状について解説する.

Table 1 

EUS関連手技.

Table 2 

ERCP関連手技(経乳頭的,経吻合部的).

Ⅱ 世界の胆膵内視鏡教育の現況

ERCPやEUSの基本から応用までの手技を教育する十分なシステムはわが国においては未だ確立されていないが,欧米を中心に消化器内視鏡はもとより胆膵内視鏡においても教育システム作りが行われ,当初のベンチマークは経験症例数であった 1.ERCPについて見てみると米国消化器内視鏡学会(ASGE)のガイドラインでは,修練医(トレイニー)の手技の評価が行われる前に必要な症例数として200症例(80例の内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)と60例の胆管ステンティングを含む),オーストラリア消化器病学会とカナダ消化器病学会は,指導医と交代しないで行う未処置乳頭の200症例(80例のESTと60例の胆管ステンティングを含む),英国消化器病学会では,300症例(直近50例の深部挿管率80%以上,EST・結石除去術・ステント留置術を習得していること)としている.一方,EUSに関しては,ASGEでは指導医監督下での症例数を225症例,カナダは250例(胆膵疾患100例,EUS-FNA50例(うち10例は腹腔神経叢ブロック)を含む),欧州消化器内視鏡学会はEUS-FNAの必要症例数を50例(30例の膵疾患を含む),英国消化器病学会では250例(胆膵疾患150例(うち75例は膵癌),EUS-FNA75例(うち45例は膵疾患)を含む)としている.

こうした症例数による評価は,Advanced fellowship course(Advanced endoscopic trainees program:AETP)の存在が元になっていた.近年,単なる症例数ではなく,手技の質を評価する“quality indicator”の概念が広まっており,米国ではASGEおよびACG(American College of Gastroenterology)共同でこの概念が提唱されている 2),3.例えば,ERCP関連手技では,未処置乳頭における胆管深部挿管率・内視鏡的乳頭切開術・結石除去術・ステント挿入術・偶発症の頻度 2,EUS関連手技では癌のstaging,膵腫瘍のEUS-FNAにおける診断率と感度,EUS-FNAによる偶発症の頻度 3などが評価対象となっている.さらに注目したいのは,術中の手技の評価のみならず,術前の適応評価,十分なInformed consent,術後のフォローも含め,診療録への記載など,胆膵内視鏡診療を行う上で欠かせないことが十分に網羅されていることである.

これまでこうしたトレイニーの評価をトレイナーが行ってきたのであるが,その評価の客観性という大きな問題があった.そこでASGEではグローバルな標準評価法として,The EUS and ERCP Skills Assessment Tool(TEESAT)を作成し,少なくともトレイニーが初めから施行した20%にこれを用いることを推奨している 1.最近では,ERCPに関して米国のauthorityらが6つの基本手技と11の関連手技のビデオによる評価Bethesda ERCP Skill Assessment Tool(BESAT)を提唱しており 4,これら評価法の実効性と有用性の評価が待たれる.

Ⅲ 胆膵内視鏡教育アシストツール

1.関連手技に関する成書

Table 3に胆膵内視鏡教育のアシストツールを示す.これまでの教育の基本はトレイナーによる実際の症例でのハンズオントレーニングであった.もちろん今でもその基本は変わらないが,重要なことは手技の前に成書を読み,手技の適応から手技の意味(理論),処置具の種類と使用法,そしてトラブルシューティングまでを理解することである.幸いに現在では,最新の情報が掲載された教科書的な成書がいくつか出ており 5)~8,成書による自己学習が可能である.

Table 3 

胆膵内視鏡教育アシストツール.

2.関連手技に関するビデオ/ライブデモンストレーション

理論も大切であるが,“百聞は一見に如かず”の通り,前述した成書に付属されている動画で勉強したり,学会でのビデオセッションあるいは各地で開催されているライブデモンストレーションに積極的に参加することも大切である.EUSに関しては,初学者のためにオリンパス社と超音波内視鏡描出法標準化検討部会が,「コンベックス型・ラジアル型EUSの標準描出法」の動画を解剖を理解しやすいアニメーションと合わせて無料公開しており 9),10,参考にされたい.

3.Computer-basedバーチャルシミュレーター

近年では,画像診断機器の進歩により,あたかも実際の症例の診断治療を施行しているかのようなバーチャルシミュレーターも登場している.Computer-basedバーチャルシミュレーター(GI-Mentor Ⅱ system,Simbionix;Cleveland,United States 11,The CAE EndoVR simulator;CAE Health-care,Montreal,Canada 12)は高額機器のため,大学病院等の教育機関が教育目的に購入する場合がほとんどであり広く普及するには至っていない.当院でも,主に医学生向けの教材として使用している(Figure 1).

Figure 1 

メカニカルシミュレーターによる学生教育.

4.シリコン素材等によるドライモデル

一方,より簡便なものとして古くからあるのが,シリコン等で食道,胃,十二指腸を作った,上部消化管モデル(LM-103,株式会社高研,東京)である.食道,胃,十二指腸はもとより,十二指腸乳頭まで作成されておりERCPのための側視鏡挿入のトレーニングとしても用いられていた.その後これらを改良して模擬透視画像も設定し,乳頭へのカニュレーションが実際にできるモデルも作製された 13.近年では胆管膵管開口部や胆管膵管異常まで3Dプリンターで精巧に作成されたモデル 14やEST(Figure 2),ステント留置,結石除去などの治療も行えるドライモデルが世界各地で試作研究されている 15)~18.実際こうしたモデルによる教育は修練医のみならず,消化器内科を目指す初期研修医や手技の理解を増すための学生教育(Figure 3)にも使用されている.

Figure 2 

Tokyo ERCPモデル(Boston Scientific Japan)でのEST時の内視鏡像.

Figure 3 

Boškoski-Costamagna ERCP trainerモデル(Cook Medical)を用いた結石除去術の学生教育.

EUSはその描出から治療手技まで,スコープ自体を動かす範囲がERCPに比べて広く,かつその習得は容易でない.そこでオリンパス株式会社では以前よりEUS専用のドライモデルを作製し(Figure 4-a~c),主催のセミナーや学会と共催でハンズオンセミナーを行ってきた.また,EUS-FNAに関しても専用ボックスを作製し(Figure 5),同様にハンズオンセミナーを行い,EUS-FNAの教育と普及に尽力してきた.一方,EUS関連手技教育の中で最大の課題はInterventional EUSの教育であった.近年では,3Dプリンターの普及に伴い,EUS下膵囊胞ドレナージ(EUS-guided cyst drainage:EUS-CD)やEUS下胆道ドレナージ(EUS-guided biliary drainage:EUS-BD)モデル(Figure 6 19,EUS下ランデブーモデル 20が報告され,世界各地のハンズオンセミナーで用いられている.

Figure 4 

オリンパス社製EUS教育用ファントム.

a:第1世代.

b:第2世代.

c:EUS画像(第2世代)(左:コンベックス型,右:ラジアル型).

Figure 5 

オリンパス社製EUS-FNA教育用ファントム.

Figure 6 

EUS-BD教育用ファントム(Mumbai model).

a:外観.

b:3Dプリンターで作製した胆管.

c:穿刺時のEUS画像.

d:手技中の透視画像.

5.動物摘出臓器を用いたウエットモデル

どんなに良くできたドライモデルも,微妙なスコープの出し入れやアングル操作の感覚は実際の臓器とは異なる.診断的内視鏡はまだ許容範囲内としても,やはり治療的ERCPやInterventional EUSはその微妙な感覚が手技成功の鍵となる場合も少なくない.

ERCP関連手技の中で,達人Peter Cotton教授をもってしても,“ESTは内視鏡医によってルーチンに行われる最も危険な手技”とされている 21.そのESTの教育としてASGEは早くから学会主催のハンズオンセミナーでMatthesらが開発したウエットモデル 22を用いた教育を行ってきた.これはブタの食道から十二指腸までの臓器にヒトの乳頭付近の十二指腸に穴を開け,そこにカニュレーションのための穴を開けた鳥の心臓を縫い付けた.私も実際に米国でハンズオンで施行した印象は,ESTモデルがない中では十分満足のいくものであったことを覚えている.私はこれに刺激を受けて,後日ESDの大腸モデルを利用した筒型のESTと内視鏡的乳頭切除術(endoscopic papillectomy:EP)モデルをアムコ社と共同で作製した(Figure 7 23

Figure 7 

EST/EP教育用ファントム(アムコ社製).

a:外観.

b:膨隆させたのちにスネアでEP施行.

c:施行中の外観.

d:EP後内視鏡.

e:初期研修医に対するEST教育の実際(左:内視鏡像,右:施行中の外観).

一方,Interventional EUSのウエットモデルは現在最も望まれている教育モデルである.その中でも,特にEUS-CDモデルは世界中で行われている最もポピュラーなInterventional EUS手技であり,最もニーズのあるウエットモデルとして世界各地のハンズオンセミナーで用いられている.最近ではダンベル型の専用のLumen-apposing metal stent(LAMS)を用いたドレナージ(Figure 8 24が普及している.しかし,本LAMSはステント展開までの手順が意外に難しく,本来簡単な手技となりうるはずが操作に慣れていないと逆にステント誤留置の原因となってしまう.これに対してボストンサイエンティフィックは早くから専用のウエットモデルを開発し(Figure 9),世界のハンズオンセミナーでの本デバイスの安全な普及活動を行っている(Figure 10).本ステントは本邦でも2018年に保険収載され,講習会にて座学およびハンズオンでの教育(Figure 11)を受けたのちに使用できる仕組みとなっている.

Figure 8 

Lumen-apposing metal stent(Hot AXIOS,ボストンサイエンティフィック社).

a:Lumen-apposing metal stentの外観.

b:留置中の透視画像(右上:EUS像).

c:留置後の内視鏡像.

Figure 9 

EUS-CDウエットモデル(ボストンサイエンティフィック社).

Figure 10 

Lumen-apposing metal stentを用いたEUS-CDハンズオンセミナー.

a:米国DDW.

b:Johns Hopkins大学.

Figure 11 

本邦におけるEUS-CD講習会.

6.生体動物モデル

理論的には生体動物モデルを用いた手技が最も望ましい.それぞれのモデルの長所と短所をTable 4に示す.生体を使うにあたっては,コスト的な面はもとより,基本的に胆膵疾患を有しない正常の状態(胆管非拡張,仮性囊胞はない等)であり,特に教育目的に用いるにはそれなりの正当な理由が必要である.

Table 4 

胆膵内視鏡教育アシストツールの長所と短所.

Ⅳ 当科における胆膵内視鏡教育の実際

当科はERCPとEUSを合わせて2,100から2,200症例のいわゆるhigh volume centerであるが,CTやMRI機器の進歩により診断的胆膵内視鏡症例は減少している.その一方で,バルーン内視鏡によるERCPやInterventional EUSなどのいわゆる高難度の治療症例が増加しており,胆膵内視鏡教育も効率が良く,治療の妨げにならない工夫が必要と考えている.

1.トレーニングを始める前に

トレーニングを始める前には,前述したごとく成書による手技の理論の理解は必須である.その前提として,胆膵疾患の病態の把握は欠かせない.その中には疾患の知識に始まり,画像診断能力の向上,そして症例カンファレンスや研究会への積極的な参加が求められる.その上で,筆者自身が新潟大学第一病理学教室(渡辺英伸名誉教授)で2年半修行したこともあり,可能な限り胆膵病理学を勉強することを勧めている.ちなみに当科では半年から1年間院内病理へ出向し,切り出しから診断までできるようにしており,最終的にほとんどのトレイニーが病理学な知識を修得している.

筆者はこれらトレイニーとしての必要条件の他にさらに“医師としての資質”が重要と考えている 25.すなわち内視鏡診断・治療手技を行う以前の,“人として”“社会人として”の資質である.患者やその家族に対する態度はもとより,コメディカルや同僚・後輩に対して良好な関係が持てないようでは,手技を行う資格がない(患者やスタッフから信頼が得られない)と考えている.もちろん,当科に入局する全員が望ましい資質を持ち合わせていれば良いが,そうではない場合は必要があればその点も教育することとしている.

2.トレーニングの実際

a.ERCP関連手技

当科におけるERCP教育のフローを示す(Figure 12).基本はスコープ挿入から始め,EST後のカニュレーションが十分できるようになったら,胆管・膵管ステント留置,経鼻胆管・膵管ドレナージ,結石除去を行う.独り立ちができるのを3-6カ月の目安とする.その後は未処置乳頭の診断治療(機械式採石術まで)を初回から施行する.これらの手技が安定してできるようになると次の年のトレイニーが入ってくるので,われわれの胆膵チームは1年間のみが初めからスコープを持てる時期であることを初めに伝えるようにしている.2年目になると,経口胆道鏡の観察や電気水圧衝撃波結石破砕術などの高度な手技を開始する(Figure 13).前述したように先発カニュレーションは下の学年のトレイニーが行うため2番手となるが,それを見ることもまた勉強と考えている.その後,内視鏡的乳頭切除術を2カ月程度で連続5例以上行い,多くの手技研修は一通り終了となる.その後,トレイニーによってはバルーン内視鏡によるERCP(balloon enteroscope-assisted ERCP:BE-ERCP)に進むが,後述するInterventional EUSと同様に症例も限られることもあり,全員が行うことはなく,ある決まったトレイニーが集中的にBE-ERCPを行うシステムをとっている.

Figure 12 

a:良い胆膵内視鏡医のための3大要素.

b:当科におけるERCP教育システム1年目.

Figure 13 

当科におけるERCP教育システム2年目.

b.EUS関連手技

EUSも同様にスコープ挿入から始めるが,特にコンベックス型EUSは先端が大きく硬いため,挿入には十分注意させることが不要な合併症を起こさないために重要である.ある程度観察ができるようになれば,EUS-FNAを大きなターゲットから施行させる(Figure 14).6カ月から1年程度十分にEUS-FNAまで十分にできるようになった中で,EUS-CD,EUS-BDのステップに進むが,前述のBE-ERCPと同様に選択されたトレイニーが集中的に行い安定した手技修得を目指す.

Figure 14 

当科におけるEUS教育システム1-2年目.

Figure 15に山本五十六の人材育成論を示す.トレイニーを育成するエッセンスが非常に詰まった内容である.筆者もこれを座右の銘として教育をしているが,初めの2行はよく引用される内容であるが,重要なのは後半4行であると私は思っている.

Figure 15 

山本五十六の人材育成論.

3.トレーニングの評価

本邦でのトレーニングの評価方法に標準的なものはない.当科での問題点として以下の5つが挙げられる.

1.1日あたりの件数が多く,1例あたりの手技時間が制限される.

2.トレイナーもトレイニーも忙しいため,振り返りの時間が少ない(あるいはない).

3.他院で困難であった高難度の症例が多く,トレイニーにとっては基本手技症例が少ない.

4.臨床試験等により治療戦略・使用機器・処置具が制限される.

5.患者側の要素で施行医師が制限されることがしばしばある.

以上の理由より,年間症例数が多くても教育のための症例としては十分でない可能性もある.ただし,こうした中でも教育システムがうまく進んでいくようにスタッフ全員で教育を最優先にした手技施行医を選択するように心がけている.

一方,教育システムが本邦よりも進んでいる米国の状況はどうであろうか.Gregory Ginsberg教授の元でAdvance Endoscopyを学び,現在UW Medicine-Harborview Medical Centerのスタッフとして活躍されている富澤 裕先生から,現在の米国の教育状況をご教示いただいた.

1.Advanced Endoscopy Trainingの質評価は米国でも未だ発展途上である.

2.米国でも“施設の件数”と“内視鏡医の(教育)経験”にまだまだ依存している.

3.研修期間は1年と短いため,客観的な教育の質評価の重要性は認識している.

4.しかし実際の現場は臨床に忙しく,症例毎の教育は毎日行うのみである.

驚くことに,教育先進国の米国でさえも日々の診療が忙しく,システム作りも実内容も“まだ道半ば”なのである.こうした米国での現実を知り,改めて本邦における胆膵内視鏡教育の課題が山積していることを痛感している.

Ⅴ おわりに

胆膵内視鏡診療は消化器内視鏡領域の中でも最も難解で,リスクの高い高難度手技が含まれる.それゆえに正しい教育は患者の利益のために重要なことである.本邦においてもより良い胆膵内視鏡教育システムを確立させ,技術も診療能力も高い,優れた胆膵内視鏡医が増えることを期待したい.

本論文内容は第101回日本消化器内視鏡学会総会,教育講演2「胆膵内視鏡関連手技の教育」にて報告した.

謝 辞

本稿執筆にあたり,米国胆膵内視鏡の現状についての情報をいただいたUW Medicine-Harborview Medical Centerの富澤 裕先生に深謝いたします.

 

本論文内容に関連する著者の利益相反:糸井隆夫,土屋貴愛(ボストンサイエンティフィック)

文 献
 
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