2023 年 65 巻 7 号 p. 1283-1285
筑波大学は東京教育大学を母体とし1973年につくば市に開設された.筑波大学附属病院は1976年10月に開院し,開院時より内視鏡室が設置された.1994年には光学医療診療部が設置され,これは国立大学では京都大学に続き2件目であった.設立当初よりX線透視装置2台を有すなど当時としては充実した設備であったが,老朽化が目立つようになったため新棟建設により移設された旧手術室の一部を改装,移転し,2019年7月に内視鏡センターとなった.内視鏡センターは旧手術室を改修再稼働した第2手術室に隣接しており,全身麻酔下での内視鏡検査・治療にも対応しやすくなった.
組織附属病院の診療施設の1部門として光学医療診療部が運営を行っている.光学医療診療部所属医師のほか消化器内科・外科,呼吸器内科・外科,小児内科・外科が共同で利用している.
検査室レイアウト

ルーチン検査室4室,治療内視鏡室2室,X線透視室2室(うち1室は陰圧室)で検査・治療を行っている.
ルーチン検査を含め全例で検査開始時のタイムアウト,終了時のサインアウトを実施し,術前,術中,術後のリスク管理を行っている.また,当院では鎮静管理指導医制度があり,鎮静の施行および観察に認定制度を設けている.リカバリー室は7床あり,専属の看護師が鎮静後の観察にあたる.また,看護師,内視鏡技師の他にMEセンターより臨床工学技士が2名配置されており,検査・治療の介助の他,機器の準備やメンテナンスに関わっている.
カンファレンス室はかなり広いスペースが確保されており,室内には全ブースの検査画像と室内画像をリアルタイムに表示可能な大型モニターが設置されており,指導医はカンファレンス室から全ブースの管理が可能となっている.治療内視鏡室およびX線透視室には独立した動画記録システムが導入されているが,それとは別途に全ブースの内視鏡画像の常時録画を行っており,希少症例の振り返りや合併症発生時の検証にも対応できるようにしている.
また,旧手術室を改修したため長方形の構造となっており,各ブース間の距離が遠い.そのためスタッフはインカムを装着し適宜連絡を取り合うようにしている.
(2022年9月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医5名,消化器内視鏡学会 専門医19名,研修医など19名
内視鏡技師:Ⅰ種4名,その他技師2名
看護師:常勤10名
事務職:2名

内視鏡センタースタッフ
(2022年9月現在)

(2021年4月~2022年3月まで)

当院は大学の附属病院であり,医学部の学生が臨床実習を行う.医学部生には内視鏡に触れて興味を持ってもらうためにクリニカルクラークシップにおいて内視鏡モデルを使用した実習を行っている.初期研修医は1.5カ月のローテーションを基本としているため,充実した内視鏡研修は出来ないが可能な限り内視鏡検査の見学を行い,内視鏡モデルを用いたトレーニングを行っている.後期研修に入り消化器内科コースを選択した医師は内視鏡研修を開始する事になるが,1年目は内科専門医研修との並行研修となるため,多くの研修医は大学病院以外の関連施設において内科ローテーションを行いつつ3~6カ月程度の消化器内科研修を行っている.この消化器内科研修の際に指導医の監督の下に内視鏡の基本操作,観察法,生検などの基本手技を習得する.後期研修2年目以降は本格的な内視鏡研修が行われ,上部消化管内視鏡の他に下部消化管内視鏡,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)や超音波内視鏡検査(EUS)の手技の習得を行う.また,指導医により内視鏡手技が習熟したと判断されれば内視鏡的粘膜切除術(EMR)/polypectomy,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD),止血術などの治療手技の習得にステップアップする.内視鏡カンファレンスは週に1回行っている.前半はESD症例等の治療方針の検討を行い,後半にはESD症例の病理所見との対比や生検結果における問題症例の検討を行い,研修医へのフィードバックを行っている.また,不定期ではあるがブタ切除胃を用いたESDのハンズオントレーニングやモデルを用いたEUSのトレーニングも開催している.
内視鏡センターは2019年に移転しハードウェアとしては十分機能的なものとなった.しかし,まだすべてのブースを有効にフル活用出来ておらず,早急に医師,看護師,内視鏡技師等の人材の確保と育成が必要な状況である.
また,病院の構造上内視鏡センターと救急外来との距離が遠い.上部・下部消化管内視鏡については救急外来で緊急内視鏡を行う体制を構築したが,ERCPやバルーン内視鏡など透視下の検査・処置については内視鏡センターで施行する必要があるため患者の搬送や検査の介助を行うスタッフをどの様に確保するかが課題である.