日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
聖マリアンナ医科大学病院
責任者:安田 宏(内視鏡センター長・消化器内科教授)  〒216-8511 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
安田 宏
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2024 年 66 巻 1 号 p. 103-105

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概要

沿革・特徴

本部門は1974年大学病院開院とともに臨床検査部・内視鏡科としてスタートした.その後,1990年4月より臨床検査部から内視鏡センターとして独立し,草刈幸次先生が初代センター長に就任された.1997年4月より旧病院本館3階(総面積450m2,検査室7室)を稼働した.筆者(安田)は2017年よりセンター長を拝命している.旧センターは2014年に本誌に紹介させていただいたが(Gastroenterological Endoscopy 2014;56:2430-2.),2023年1月より新病院移転に伴い,新棟2階に新センターがオープンした.旧センターではカーテンの仕切りだけだった各検査室を個室化し,総床面積は937m2に拡張された.スタッフはインカムで連絡を取り合い,安全で効率的な業務を心がけている.2022年より内視鏡センター・オカレンス報告制度を導入し,各レポートを医療安全管理室と検討し,業務改善の一助としている.各検査室には中央配管による吸引,炭酸ガス送気,天吊りモニターが配置され,治療検査室にシーリングペンダントを導入した.全室の内視鏡画像を,受付・スタッフ室・ナースステーション・洗浄室から一括してモニターし状況把握することが可能である.電子カルテがすべての検査室に配置されており,過去の検査所見を参照しながら検査を行う.内視鏡センターで得られた画像は,電子カルテを通して院内のいずれの端末からも閲覧可能である.

組織

病院内の診療施設部門の一部門として独立している.消化器内科を中心に,消化器外科,呼吸器内科・外科の医師が協調して川崎市北部地域の基幹内視鏡センターとして日々の診療にあたっている.当センター専属の看護師および臨床検査技師の多くが内視鏡技師の資格を持ち,専門性の高い診療を行っている.

検査室レイアウト

 

 

 

当内視鏡室の特徴

従来の検査室7室(一般5室,治療2室)に加えて,透視下内視鏡室が2室増設され,従来の画像センターへの機材移送業務が無くなった.感染症患者に対応できる陰圧換気の検査室を2室,診察室を1室設置した.リカバリーベッドを14台,また大腸内視鏡前処置用のトイレ6室,来院前処置患者の洗腸剤飲用スペースを設けた.スタッフと患者との導線をできるだけ分けるため,洗浄や所見記録・管理業務はバックヤードスペースで業務を行っている.

スタッフ

(2023年10月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医7名,消化器内視鏡学会 専門医13名,その他スタッフ10名,研修医など10名

内視鏡技師:Ⅰ種10名

看護師:常勤14名

事務職:4名

その他:洗浄員2名

臨床検査技師:常勤7名

 

治療内視鏡室:内視鏡センタースタッフ

設備・備品

(2023年10月現在)

 

 

実績

(2021年4月~2022年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院では,2年間の初期臨床研修期間のうち選択科目として2カ月間,消化器系の専攻を志望する研修医は内視鏡センターをローテーションすることができる.この間,約100例の上部内視鏡を施行医として経験することができる.

以下,内科専攻医でサブスペシャリティとして消化器内科を3年目以降の研修について述べる.消化管・胆膵・肝の各班を数カ月単位でローテーションする.消化管班研修時は上部内視鏡の手技が安定したことを確認して,下部内視鏡の指導を開始する.内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)など治療内視鏡の助手を多く経験し,習熟度をみながら内視鏡治療技術を習得する.胆膵班研修時は胆膵系処置の助手を多く経験し,胆膵内視鏡の習得を目指す.肝臓班研修時は静脈瘤治療の助手や術者を経験する.また当直医として消化管出血例など多くの緊急例を経験する.日本消化器内視鏡学会指導施設に指定されておりJED Projectに参加している.

現状の問題点と今後

新センターは全く白紙の状態から医師・看護師・技師と設計事務所・リニューアル部門で旧センターの課題を念頭に議論を重ねて設計を行った.新病院建設中にコロナ禍が訪れ,適切な患者間隔を保つための待合室の広さなどが新たな感染対策が課題となったが,従来から議論されてきたハード面の課題は現時点ではおおむね解消している.今後,新外来棟の開院に伴い,健診センター内にも内視鏡センター(分室・仮称)が新設され,検査室数は更に増加する.消化器内視鏡医は常に不足気味であり,医局員・内視鏡医の確保が継続した課題である.

 
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