日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
名古屋市立大学医学部附属東部医療センター 内視鏡センター
責任者:林 香月(消化器内科・教授)  〒464-8547 愛知県名古屋市千種区若水1丁目2番23号
林 香月 伊藤 恵介
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2024 年 66 巻 5 号 p. 1272-1275

詳細

概要

沿革・特徴

名古屋市立大学医学部附属東部医療センターの沿革は明治23年に愛知県から療養施設の引き継ぎに始まり,昭和32年に現在地に移転改築し名古屋市立東市民病院となった.令和2年には新病棟が完成し機能拡充した内視鏡センターが開設された.また,令和3年4月に名古屋市立大学医学部の附属病院となり名古屋市立大学医学部附属東部医療センターに改称され,「安全かつ高度な医療を提供し,市民のいのちと健康を守るとともに優れた医療人育成」を基本理念としている.

内視鏡センターは2階に位置しており,内視鏡室3室,透視室3室,腹部エコー室1室,体外衝撃波結石破砕(Extracorporeal shock wave lithotripsy:ESWL)室1室,前処置室,リカバリー室,洗浄室から構成されている.2階の同フロアには中央検査・生理検査室や病理検査室がありアクセス良好である.また,1階にCT/MRI/血管造影室/放射線治療室/RI室があり,3-8階は入院病棟となり,1-8階は病棟専用エレベーター4基があり,各階より内視鏡センターへはストレッチャーやベッドでのスムーズな移動が可能となっている.

さらに,内視鏡センター以外に救急救命センター病棟1階にも緊急内視鏡室や透視下治療室も備えている.

組織

内視鏡センターは独立した中央部門で,消化器内科の伊藤恵介准教授が内視鏡センター長,消化器内科の近藤啓准教授が内視鏡副センター長を兼任している.また,内視鏡業務に従事する看護師は救急救命センターとの共同運用となっている.臨床工学士は4名で専従1名,他部門との兼務3名である.

なお,気管支内視鏡検査・関連手技は呼吸器内科・外科(計6名)が実施している.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

内視鏡センターは2階にあり,エスカレーターやエレベーターで病院玄関よりアクセス良好である.また,前述のとおり中央検査・生理検査室や病理診断室と隣接しているため採血・超音波検査後の移動や生検材料の運搬に有用なレイアウトである.

内視鏡センター入口は外来内視鏡受付と入院患者や救急等のストレッチャーやベッドの搬入可能入口に分かれているため,緊急内視鏡の迅速対応が可能である.

見取り図のように各内視鏡室,洗浄室は長い1本のバックヤード廊下で繋がっており,医療従事者の移動や検査後の内視鏡機器洗浄の動線に有用である.さらに,そのバックヤード廊下には各種処置具の戸棚やロッカーが完備されている.

外来鎮静内視鏡後のリカバリー室や前処置室,本人や家族への説明室を完備し,カンファレンス室では大型モニターにより各内視鏡室の内視鏡画像や透視画像がリアルタイムに確認でき,指導医による一元的管理も可能である.

内視鏡室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2023年8月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医5名,消化器内視鏡学会 専門医8名,その他スタッフ,専攻医など合計14名

内視鏡技師:Ⅰ種3名

看護師:常勤12名,非常勤3名

臨床工学士:4名で専従1名,他部門との兼務3名

事務職:3名

設備・備品

(2023年8月現在)

 

 

実績

1年間(2022年4月から2023年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は名古屋市立大学医学部の附属病院であるため,医学部学生の臨床実習を行っている.学生実習ではシミュレーションモデルにて実際の内視鏡自体の機能や操作に触れつつ,内視鏡検査・治療の見学を行っている.

初期研修医は内視鏡検査の介助を主に担当し,上部消化管内視鏡検査においては指導医が観察後にスコープ抜去などを行っている.また,内視鏡自体の構造(吸引・送気送水)を理解したセッティングの指導も行っている.

後期研修医は毎年1-3名の消化器内科を専攻した医師が在籍する.後期研修医には担当上級医の指導下に上部・下部内視鏡スクリーニング検査から開始している.その後は生検手技,止血処置などを習得し,ポリペクトミー指導を行っている.その担当上級医は3-4カ月ごとに交代し,偏りのない指導を心がけている.

当院は救急救命センターからの吐下血などの緊急内視鏡が多いため,上部・下部内視鏡においては各種止血手技の早期習得を心がけている.

胆膵内視鏡については内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)/超音波内視鏡検査(EUS)内視鏡自体の特性や関連物品を理解したのち,介助者から開始している.胆膵学会指導医のもと,ERCPでは安全な乳頭までの到達を心がけ,内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST)後乳頭でのカニュレーションから開始し,結石除去やステント留置手技を指導している.EUSでは胃内・球部・下行脚からのスクリーニング描出が可能となったのちに超音波内視鏡下穿刺吸引法(FNA)を開始し,上達度に応じてInterventional EUSも指導している.

内視鏡ハンズオンセミナーは当院主催で年間2回ほど,ブタ胃腸を用いた内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)トレーニングやモデルを用いたERCP/EST/ステント留置,EUS-FNA,Interventional EUSを行っている.さらに大学本院や近隣施設と協力したハンズオンにも参加しており,他施設の同世代内視鏡医との交流を促している.

症例検討会は毎週2回(自科のみで1回,外科と1回)に行い,緊急入院をはじめ予定入院患者の内視鏡検査/治療を確認している.また,多くの治療手技では動画記録があるため必要に応じて手技の振り返りを行っている.

現状の問題点と今後

新病院改築により機能拡充した内視鏡センターが開設されたため,設備面や内視鏡機器では十分満足のいく内視鏡センターである.今後の課題として,この設備に応じた高度内視鏡検査・治療手技件数を増加させることが課題である.また,内視鏡診断・治療後の病理診断結果を振り返るカンファレンスが少ないため,外科や病理医との連携を構築中である.

近年,消化器内視鏡は検査のみならず高度化したESD,ERCP関連手技,Interventional EUS,小腸内視鏡関連手技などの治療内視鏡が多種多様である.内視鏡医や指導医の未充足,看護師・コメディカルの人員不足などの問題はあるものの,当院理念である「安全かつ高度な医療を提供し,市民のいのちと健康を守るとともに優れた医療人育成」を基本にした安心安全でハイレベルな内視鏡手技を提供し,患者・地域連携施設・研修医に選ばれる消化器内科・内視鏡センターになることを目標としたい.

最後に,令和3年4月に名古屋市立大学医学部の附属病院となり,コロナ禍や救急救命センターからの緊急内視鏡が多く時間的余裕が少ないとはいえ,大学附属病院として各種学会発表や臨床研究の開始に取り組みたい.

 
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