2024 年 66 巻 7 号 p. 1485
内視鏡的胆管ステント留置後の胆管内へのプラスチックステント(plastic stent:PS)迷入頻度は,本邦では3.5% 1)と報告されている.迷入した胆管内PSの下端に強い狭窄部位がある症例に対し,ドリル型内視鏡ダイレータ(Tornus ESⓇ;オリンパス社)が有用であった症例を報告する.83歳の女性,膵頭部癌による悪性胆道狭窄に対しPS(7Fr7cmストレートタイプ)留置が1カ月前に施行されていた.PSの胆管内迷入による急性胆管炎を発症し,追加でPSを留置して胆管ドレナージを施行.胆管炎治療後に再度内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)を施行した.ERCP施行時は追加で挿入したPSも胆管内に迷入していた(Figure 1).狭窄部を10mm径の内視鏡的乳頭ラージバルーンにて拡張するが十分な拡張はできず(Figure 2),PSを直接把持するデバイスでは狭窄部で外れてしまい回収困難であった.ステント内腔へ0.025inchのガイドワイヤー(guidewire:GW)を留置し,GW誘導下にステントリトリーバー(COOK社)を捻じ込んで回収を試みたが,狭窄部位で外れてしまい回収出来なかった(ビデオクリップ 1).同様の方法でTornus ESをGW誘導下にステント下端へ挿入,その後Tornus ESを時計回転することで,Tornus ESがステント内部に挿入されていき,迷入ステントと一体化した.Tornus ESを抜去することで,狭窄部で外れることなく迷入ステントの回収に成功した(ビデオクリップ 2).本症例ではPSの胆管内迷入後の追加留置でもストレート型を使用したため2本目も迷入してしまったが,迷入リスクが高い症例はpigtail型等を選択する必要がある.Tornus ESは0.018inchと0.025inchのGWに対応した製品があり,0.025inch対応の先端は2.7Frのため,PS下端の内腔がこれ以上であれば先端を挿入することができる.ドリル部分は7Fr(2.62mm)と7FrのPS内腔よりも大きいため,ドリル式に捻じ込んで一体化することが可能である.本報告の要旨は第116回日本消化器内視鏡学会九州支部例会で発表した.
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本論文内容に関連する著者の利益相反:なし
Figure 1 ERCPの透視画像と内視鏡所見.
追加留置したPSも胆管内に迷入していた.バルーンやバスケットカテーテル,生検鉗子を用いて回収を試みるが,狭窄部で引っかかり回収困難であった.
Figure 2 内視鏡的乳頭ラージバルーンによる拡張.
10mm径のラージバルーンによる拡張後に再度回収を試みた.しかしながら狭窄が強く,ラージバルーンによる拡張も不十分であり回収困難であった.
ビデオクリップ 1 ステントリトリーバーを使用した迷入ステント回収.
ステント内腔へ0.025inchガイドワイヤー(guidewire:GW)を留置し,GW誘導下にステント下端へステントリトリーバー(COOK社)を挿入.ドリル式に捻じ込んで,ステントと一体化させた後に回収を試みたが,狭窄部で外れてしまい回収困難であった.
ビデオクリップ 2 Tornus ESを使用した迷入ステント回収.
ドリル型内視鏡ダイレータ(Tornus ESⓇ;オリンパス社)をGW誘導下にステント下端へ挿入.Tornus ESを時計回転することでステント内部に捻じ込まれていき,迷入ステントと一体化した.Tornus ESを抜去することで,狭窄部で外れることなく迷入ステントの回収に成功.もう1本の迷入ステントも同様の方法で回収可能であった.