2024 年 66 巻 8 号 p. 1646-1649
当院は1959年に設立した聖隷保養農園浜松診療所が前身であり,1962年社会福祉法人聖隷保育園浜松病院として開設.1969年には総合病院として認可され,1980年には臨床研修指定病院として認可された.1997年には日本医療機能評価機構による認定を受け,2005年には地域がん診療拠点病院に指定されており,現在は75の診療科,病床数は750床であり地域の中核を担うとともに高度医療を提供している.また2012年には国際的な医療機能評価機関であるJCI(Joint Commission International)認定も取得し,医療の質の向上や安全確保を病院全体として取り組んでいる.内視鏡部門としては,1997年に日本消化器内視鏡学会の指導施設認定を取得し,若手の内視鏡指導に対し積極的に取り組んでいる.また,2016年4月に内視鏡センターを開設し,高度化する内視鏡診断や治療に対応し,内視鏡診療を安全に行うための体制を構築している.
組織以前は内視鏡室は画像診断部の一部門として位置づけられていたが,2016年からは内視鏡室はセンター化して独立化した部門として診療している.消化器内科,外科(大腸肛門科・上部消化管外科)で消化器内視鏡検査を行い,呼吸器内科で呼吸器内視鏡検査を行っている.また2023年度からは泌尿器科による超音波内視鏡を用いた前立腺生検や膀胱鏡検査も内視鏡センター内で行っている.
当院より100mほど離れたところに検診を専門に行っている聖隷健康診断センターがあり,検診部門の内視鏡は主に同センターが施行しており(上部内視鏡約1万件,下部内視鏡約千件),当院の内視鏡センターでは検診業務を除いた検査や治療内視鏡を行っている.内視鏡室は地下1階に位置しており,上下部内視鏡の検査・治療に使用する検査室が5室,内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)や気管支鏡を行う透視内視鏡室が2室の計7室からなり,消化管内視鏡・呼吸器内視鏡をあわせて年間約1万件の内視鏡を施行している.当院の特徴として通常の上下部消化管内視鏡検査は機器に精通し,内視鏡技師の資格を持つ臨床工学技師が主に介助しており,ERCPや内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)などの処置・治療内視鏡は看護師・臨床工学士がそれぞれ1名介助につくことで,医師や看護師の不足を補い,安全・円滑に内視鏡診療を行っている.
内視鏡室レイアウト

(2023年11月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医6名,消化器内視鏡学会 専門医8名(指導医含む),その他スタッフ10名
内視鏡技師:Ⅰ種15名(看護師5名,臨床工学技士10名)
看護部(画像診断部門含む):21名
医療クラーク:2名
その他(看護助手,内視鏡洗浄):3名
(2023年11月現在)

1年間(2022年1月~2022年12月まで)

当院では臨床研修指定病院として初期研修医を毎年16名受け入れており,内科研修として消化器内科を選択する場合は1カ月の研修となる.初期研修のローテートは主に見学で内視鏡の手技や診断,治療の適応,偶発症などの知識を学ぶ.また当院の内視鏡トレーニングモデルを用いて内視鏡挿入の指導を行っている.
後期研修医(3-5年目)はまず上部消化管内視鏡検査のルーチンから始め,1年間(3年目)は週1-2回上級医のマンツーマンの指導とともに実際の検査を施行し,挿入方法から見落としの少ない観察法の理解,内視鏡の診断を習得していく.ある程度上部消化管内視鏡のスクリーニングができるようになれば,下部消化管内視鏡検査,また超音波内視鏡検査(EUS)やERCPなどの胆膵内視鏡検査の手技を内視鏡学会指導医・専門医の指導のもとで行っていくとともに止血処置やポリペクトミーなどの基本的な手技を習得していく.4年目の後半から5年目になり下部内視鏡検査やERCPなどが比較的安定してできるようになれば,ESDや超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)などより専門性の高い手技の取得を目指していく.
ESDに関しては東海地区でも有数の症例数であり,上下部あわせ年間250件ほどのESDを施行している.研修としてはまず介助を行い実際の手技の方法,処置具や高周波などの機器の使用方法を十分理解したうえで,胃前庭部病変から基本的なESD手技を習得し,個々の熟練度とともに胃の他の部位や食道・大腸ESDを行っていく.また週1回ESDのカンファレンスを行い,症例提示を行い術前の内視鏡診断を確認したうえでディスカッションを行い,治療のストラテジーを検討している.
胆膵内視鏡ではERCPは介助から始め,処置具の使い方やガイドワイヤー操作,偶発症のリスクなどに関して十分理解したうえで,実際の手技や処置を指導医のもと習得していく.EUSに関しては基本的なスクリーニング法を指導医とともに習得していき,ある程度スクリーニングが可能となればEUS-FNA,interventional EUSと段階的に習得していく.
またカンファレンスに関しては前述のESDカンファレンス以外に,週1回外科・病理診断科との合同カンファレンスを行い,外科医と手術症例に関して術前診断と治療方針を検討するとともに,治療後のESDや外科病理検体を確認し,消化管や胆膵の内視鏡診断と病理診断の対比をすることで診断のフィードバックを行っている.
・近年,当院ではほとんどの患者が鎮静下での検査を行っているため,リカバリーベッドの数が不足していた.2023年に内視鏡室拡張に伴いリカバリー室の拡充を行い,リカバリーベッドが増えたことでやや不足の解消がされたが,リカバリー室の看護師の業務も増加している.高度で時間のかかる内視鏡処置も増加しており,患者の安全の確保のためにも看護師の人員の増員が必要となってきている.
・ESDや消化管ステント留置術などの消化管処置,またERCPやEUS-FNA,interventional EUSなどの胆膵処置など,入院による予定の内視鏡処置が増加しているとともに,止血処置や胆管炎などの緊急内視鏡検査などにも対応するため,入院病棟と内視鏡センターとの回転の効率化が必須となってきている.病棟看護師とも相談し,患者搬送の看護師と連携をとり,治療前後の申し送りの確認を行いつつ患者の安全を確保しながら回転の効率化をはかることが課題となっている.
・消化器内視鏡検査や処置の多様化とともに,今年度より前立腺生検や膀胱鏡検査も内視鏡センターで対応することとなり,センターとして仕事内容が増えてきている.適宜,看護師や臨床工学技士などのコメディカルとの連携をとり業務の分担や効率化を目指すとともに,院内での勉強会などを開催し知識の共有を行いよりよい医療を提供することを目指していきたい.