日本消化器内視鏡学会雑誌
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ディープラーニングを用いたダブルバルーン内視鏡で提示されるクローン病小腸潰瘍性病変の検出と重症度評価
中村 正直
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2024 年 66 巻 9 号 p. 1813

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【背景と目的】ダブルバルーン内視鏡(DBE;double-balloon endoscopy)はクローン病(CD;Crohn’s disease)の診断に広く用いられている.しかし,内視鏡医が病変を正確に指摘できない場合,CD診断が困難になることがある.また,内視鏡医の主観によりCDの評価が不正確になることもある.本研究では,人工知能(AI;artificial intelligence)を用いて小腸CDを正確に検出し,客観的に評価することで,より精緻な病態把握を行うことを目的とした.

【方法】2018年1月から2022年12月までに628名の患者から28,155枚の小腸DBE画像を収集した.4名の消化器内科専門医が画像にラベル付けを行い,少なくとも2名の内視鏡医が同意のうえで最終判定を行った.最先端のディープラーニングモデルであるEfficientNet-b5によって学習させ,CD病変の検出とCD潰瘍の評価を行った.検出には潰瘍,非炎症性狭窄,炎症性狭窄の病変が含まれた.潰瘍の評価には,潰瘍表面,潰瘍サイズ,潰瘍の深さが含まれた.AIモデルと内視鏡医との精度比較が行われた.

【結果】EfficientNet-b5は,潰瘍,非炎症性狭窄,炎症性狭窄の検出において,それぞれ96.3%(95%信頼区間[CI],95.7%-96.7%),95.7%(95%CI,95.1%-96.2%),96.7%(95%CI,96.2%-97.2%)という高い精度を示した.潰瘍のグレードにおいて,EfficientNet-b5は潰瘍表面の評価に87.3%(95%CI,84.6%-89.6%),潰瘍サイズの評価に87.8%(95%CI,85.0%-90.2%),潰瘍の深さの評価に85.2%(95%CI,83.2%-87.0%)の平均精度を示した.

【結論】EfficientNet-b5は,CD病変の検出とCD潰瘍自体の評価において高い精度を達成した.このAIモデルは,専門内視鏡医レベルの精度と小腸CDの客観的評価を提供し,治療ストラテジーを最適化することができる.

《解説》

小腸潰瘍性病変の指摘自体は,その部位に到達できる限りにおいては容易であるが,疾患鑑別に苦慮する場合がある.縦走潰瘍,敷石像,びらんの縦走配列などが観察されればCDの診断に到達できるが,CDにおいて空腸では輪状傾向の潰瘍を認め,回腸では狭窄を合併し典型像を示さないこともある,もしくは狭窄でその奥の腸管の観察ができない場合がある.そのような実臨床のなか,AIによりCDの診断をより正確に行うことができれば,施設ごとに診断の違いが無くなるかもしれない.本研究では,ディープラーニングに使用したCDの病変画像が提示されており,非常に鮮明で良好な材料である印象を受けた.対象の罹患期間が48カ月で治療中の病変もあるが,そのようななかAIモデルは潰瘍自体の評価も含めてかなり高い精度で診断できていたことは,今後更なる発展を期待できるものであり,またCDのみならず小腸潰瘍性病変を広く鑑別していくことができれば小腸疾患診療への貢献度は高くなる.小腸病変のAI研究は,トレーニングの画像を獲得するステップから時間を要するが,多くのAI研究の成果により本分野の進歩に繋がり,将来には治療効果へも繋がることが推測される.

文 献
 
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