日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃静脈瘤に対する内視鏡的治療機器および手技の現状―米国消化器内視鏡学会技術評価報告―
引地 拓人
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2025 年 67 巻 10 号 p. 1696

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抄録

【背景と目的】胃静脈瘤からの出血は,食道静脈瘤出血に比べて頻度は少ないが,発症した場合の罹患率および死亡率は高い.胃食道静脈瘤タイプ1(gastroesophageal varix type 1:GOV1)の出血に対しては,食道静脈瘤と同様の治療が行われる.一方,GOV type 2(GOV2)や孤立性胃静脈瘤(isolated gastric varix:IGV)など他の型の胃静脈瘤に対しては,多様な内視鏡的治療法が適用される.内視鏡を用いない治療としては,経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(transjugular intrahepatic portosystemic shunt:TIPS)やバルーン閉塞下逆行性経静脈的塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:BRTO)などがある.本報告では,胃静脈瘤に対する内視鏡的治療の技術に焦点を当てる.

【方法】「gastric varices」「glue」「cyanoacrylate」「thrombin」「sclerosing agents」「band ligation」「topical hemostatic spray」「coils」「EUS」「TIPS」「BRTO」などのキーワードを用いて,2022年8月までのMEDLINEデータベースを検索した.論文の作成,査読,編集は米国消化器内視鏡学会(American Society for Gastrointestinal Endoscopy:ASGE)技術委員会が行い,ASGE理事会により承認された.

【結果】胃静脈瘤に対する主要な内視鏡的治療は,シアノアクリレート系組織接着剤(cyanoacrylate:CA)の静脈瘤内注入術である.近年,EUSガイド下でのCAおよびコイルを併用した血管内治療が注目されている.この手法により,胃静脈瘤の精確な同定と高い技術的成功率が得られる.CAとコイルの併用により,コイルがCA留置の足場として機能し,CA流出による大循環や他臓器の塞栓リスクを軽減し,治療成績の向上につながる.他の注入剤や局所治療法も報告されているが,十分な検証はなされていない.

【結論】現在,胃静脈瘤出血に対する内視鏡的管理の基本戦略はCA注入である.とくに,EUSガイド下でのCAおよびコイルを併用した治療は,新たな治療オプションとして有望であり,今後の臨床応用の拡大が期待される.

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