【目的】膵液体貯留(pancreatic fluid collection:PFC)に対するEUSガイド下治療の成功には,適切な全身マネジメントが不可欠である.しかし,併存疾患の状態がこの治療の臨床アウトカムとどのように関連するかは,十分に検討されていない.
【方法】2010年から2020年にEUSガイド下でPFCの治療を受けた406人の患者を含む多施設共同コホートを用いて,チャールソン併存疾患指数(Charlson Comorbidity Index:CCI)と入院中死亡率およびその他の臨床アウトカムとの関連を検討した.潜在的な交絡因子を調整した多変量ロジスティック回帰分析を実施して各アウトカムのオッズ比を算出した.さらに2010年から2020年に486病院で治療を受けた4,053人の患者を含む日本の全国入院患者データベースを用いて結果の検証を行った.
【結果】多施設共同コホートにおいて,CCIは入院中死亡リスクと正の関連を示した(P trend値<0.001).CCI=0の患者と比較して,CCIが1-2,3-5,および6以上の患者の調整オッズ比(95%信頼区間)は,それぞれ0.76(0.22-2.54),5.39(1.74-16.7),および8.77(2.36-32.6)であった.全国の検証コホートでも同様の正の関連が観察され,対応するオッズ比(95%信頼区間)は,それぞれ1.21(0.90-1.64),1.52(0.92-2.49),および4.84(2.63-8.88)であった(P trend値<0.001).また,CCIが高いほど入院期間が長くなる関連は全国コホートで認められた(P trend値<0.001)が,臨床コホートでは認められなかった(P trend値=0.18).CCIは手技関連の有害事象のリスクとは関連していなかった.
【結論】CCIが高いほど,EUSガイド下でPFCの治療を受けた患者の入院中死亡リスクが高くなることが示され,CCIが治療前死亡リスクの層別化に有用である可能性が示唆された.