日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
東京大学医学部附属病院 光学医療診療部
責任者:角嶋直美(部長)  〒113-8655 東京都文京区本郷7-3-1
角嶋 直美 藤城 光弘
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2025 年 67 巻 2 号 p. 183-186

詳細

概要

沿革・特徴

東京大学医学部は,1877年(明治10年)に東京医学校と東京開成学校が合併し東京大学となった際に東京医学校が東京大学医学部となり,病院は東京大学医学部附属病院と改称された.1952年に東大分院外科の宇治達郎医師とオリンパス光学(現,オリンパス)が協力して世界初の実用的な胃カメラ(ガストロカメラGT-1)を開発し,分院外科の城所功医師,今井光之助医師が中心になり1953年に世界で初めて胃内のカラー写真の撮影に成功した.その後胃内視鏡の臨床研究は東大田坂内科(第一内科)に引き継がれ,消化器内視鏡の発展および早期胃癌研究の進歩へつながった.

東京大学医学部附属病院は,現在病床数1,226床,診療科40科,22センターを開設している.光学医療診療部はかつて病院検査部に含まれていたが1997年に中央診療部門の1つとして独立し,2007年に現在の場所にリニューアル移転をした.光学医療診療部では,消化管内視鏡検査を中心に年間約2万件の内視鏡検査・治療が行われている.

組織

光学医療診療部では,消化管内視鏡検査の他,呼吸器内視鏡検査・耳鼻咽喉科内視鏡検査・婦人科内視鏡検査を行っており,それぞれ消化器内科・胃食道外科・大腸肛門外科・呼吸器内科/外科・耳鼻咽喉科・女性外科の医師が当部を利用して検査・治療を行っている.専任教員は准教授1名,助教1名である.2014年からは臨床工学技士が1名配属されており,内視鏡機器全般の管理・運用・保守を担っている.また,医療安全,感染対策,医療の効率化の観点から集中治療室や手術室など病院全体で使用される軟性内視鏡の洗浄消毒保管を当部が中央管理する体制をとっている.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

光学医療診療部は中央診療棟2の1階に位置し,上部消化管部屋6部屋,下部消化管部屋6部屋,緊急消化管内視鏡室,超音波内視鏡室,X線透視室,婦人科処置部屋,耳鼻咽喉科処置部屋各1部屋を備えている.緊急消化管内視鏡室は救急部に隣接しており,救急部を受診した患者の緊急内視鏡検査にすぐ対応できるようになっている.なお,胆膵系内視鏡および小腸内視鏡検査については放射線部に内視鏡光源を設置し,検査・治療を行っている.

内視鏡室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2024年8月現在)

医師(消化器内科):消化器内視鏡学会 指導医9名,消化器内視鏡学会 専門医33名

看護師:13名(うち非常勤2名),内視鏡技師資格あり:2名

設備・備品

(2024年8月現在)

 

 

実績

(2023年度)

 

 

指導体制,指導方針

当院は臨床研修指定病院であり,研修医,内科および消化器内科専攻医,消化器内視鏡専攻医への指導教育を行っている.また,海外からの若手内視鏡医の研修も受け入れている.

上下部消化管内視鏡は,研修医を対象に定期的にシミュレーターを用いたハンズオンを行っている.専攻医以上では,各個人の技量に合わせて,より専門的な内視鏡診療に関する指導境域を行っている.

 内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)のトレーニングにおいては,上下部診断内視鏡が一人前となり,止血操作や狙撃生検などの技術を習得した上でまずはシミュレーター(G-Master,Kotobukiメディカル)を使ったハンズオンを行っている.また,ESD術前カンファレンス,術後病理結果に関するカンファレンス,胆膵カンファレンスを毎週1回行っている.

また,検査種別毎の患者急変シミュレーション講習を定期的に行いメディカルスタッフ全体のスキルアップを目指している.

現状の問題点と今後

リカバリーベッドの数や看護士不足のため,鎮静下内視鏡検査数が限られている.治療内視鏡における鎮静・鎮痛剤としてミダゾラム,デクスメデトミジン,ペンタゾシンを用いているが,しばしば不穏や脱抑制などで治療中断することがある.現在,プロポフォールを含めた鎮静剤を用いた内視鏡検査の導入に向けてマニュアル作りを進めている.

当部では,病院全体で使用される軟性内視鏡を一括して洗浄・消毒しているが洗浄室のスペースが狭く,また慢性的な洗浄員不足に直面している.また,感染防御の観点から清潔スコープと不潔スコープを運ぶ導線が別々になることが理想的であるが,現在の洗浄室の場所およびバックヤード・廊下の狭さから実現できていない.現在のスペースでできうる最善策としては,内視鏡の洗浄・消毒プロセスの精度を保つため,外部組織による洗浄・消毒プロセスの監査や,感染制御部と連携した定期的内視鏡の培養検査を行っている.洗浄・消毒プロセスの見直しの過程で,用手洗浄のばらつきが出やすいロングスコープの洗浄においては,一定の水圧で水洗することができる送水装置を導入した.また,ロングスコープの保管に関して,従来は通常スコープ用の保管庫へ巻いて保管していたがチャンネル内の乾燥が不十分となるため,ロングスコープ用の保管庫を導入した.

夜間・休日の緊急内視鏡は医師3人のみで対応しており,緊急内視鏡中の看護や記録,終了後のスコープ洗浄や部屋の清掃を医師が診療の合間に行っている.医師によるスコープ・洗浄プロセスの精度管理のため,定期的な洗浄講習を行っている.比較的夜間・休日の緊急内視鏡検査件数が多いことから,連休になると洗浄機がスコープでいっぱいとなり,洗浄待ちのスコープが出てしまうことがある.今後,メディカルスタッフの充足を待つ必要がある.

 
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