日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
東京都立豊島病院
責任者:東海林裕(内視鏡室長兼外科部長)  〒173-0015 東京都板橋区栄町33-1
國吉 宣行
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2025 年 67 巻 3 号 p. 260-263

詳細

概要

沿革・特徴

当院は,明治31年に東京都板橋区に設立され,当時の所在地名称が北豊島郡であったことから現在の名称となった.平成11年に老朽化のため全面改装を行い,令和3年4月に財団法人東京都保健医療公社豊島病院となった.その後,令和4年7月に地方独立行政法人東京都立病院機構が設立され,この機構の一病院として公社から地方独立行政法人と運営母体が移行し現在に至る.病床は438床(うちICU 6床,HCU 22床,CCU 6床,SCU 6床,精神 32床,感染症 20床,緩和ケア 20床)で,区西北部医療圏の中核病院として,救急医療(脳卒中・急性心筋梗塞・消化管吐下血等),がん医療を重点医療とした急性期医療に積極的に取り組んでいる.また,精神科救急医療,感染症医療,周産期・小児医療,緩和ケア医療にも対応している.

組織

当院の内視鏡室は消化器内科,外科,呼吸器内科の医師が内視鏡検査及び治療に従事している.看護師は救急部門に所属しており,救急外来での業務を兼務しているため夜間休日の緊急内視鏡でも迅速な対応が可能となっている.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

内視鏡室は1階に位置し,内視鏡室の入り口の対面には2階の救急外来とつながるエレベーターが設備されているため消化管出血などの緊急内視鏡処置を要する症例にも対応しやすい配置となっている.令和2年に内視鏡室拡張工事を行い現在全5室(陰圧対応1室含)と,計4床のリカバリー室を有する.内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)などの透視下検査,処置は2階のX線透視室(TV室)で行っている.X線透視室も救急外来からアクセスしやすい配置となっており,内視鏡室からスタッフの移動や準備にそこまで負担がかからず,救急外来から緊急ERCPや大腸ステント,イレウス管挿入など滞りなく処置できる体制が整っている.上部消化管内視鏡検査は近隣の医療機関から当院外来を経由せず直接予約可能(電話予約もしくはオンライン予約)なシステムを設けている.

内視鏡室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2024年9月現在)

医   師:消化器内視鏡学会 指導医1名,消化器内視鏡学会 専門医6名,その他スタッフ11名

その他技師:5名

設備・備品

(2024年9月現在)

 

 

実績

1年間(2023年4月~2024年3月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は日本消化器内視鏡学会認定指導施設であり,消化器内視鏡専門医7名(うち指導医1名)が在籍している.また,当院は内科専門研修プログラムを持つ基幹施設であり,内科専門医研修カリキュラムに則った研修を行いながら,内視鏡診断や内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)・ERCP関連手技などの内視鏡処置を学ぶことができる体制を整えている.具体的にはまず内視鏡トレーニングモデルを用いた研修を行い,モデルでスムーズにスコープ操作ができるようになったら鎮静下での検査を開始する.上部・大腸に順序はなく並行して行っていくが大腸に関してはまずは盲腸到達後の観察から開始するようにしている.鎮静下での検査が比較的行えるようになった時点で非鎮静下での検査を担当する.また消化管出血に対する止血術や内視鏡的粘膜切除術(EMR),ESD,ERCP,消化管ステント留置などの処置内視鏡の見学や介助も積極的に参加するよう指導し,上部・大腸内視鏡がある程度独立してできるようになった時点でこれらの処置内視鏡も術者として参加できるというシステムをとっている.ただし,難易度の高い手技を担当する場合は時間制限を設け,制限時間内でも手技が滞っている場合には速やかに上級医に交代するようにしている.学会発表も定期的に行うようにしている.また当院は初期臨床指定病院に指定されており,初期臨床研修医も在籍している.初期臨床研修医は検査中の麻酔管理や処置の介助に携わり,希望があれば内視鏡トレーニングモデルを用いて内視鏡操作を学び,トレーニングモデルでスムーズに観察が行えるようになった時点で実際に鎮静下での上部消化管スクリーニング検査などでスコープ操作を開始している.

現状の問題点と今後

当院は令和2年に内視鏡室拡張工事を行い,以後年間内視鏡件数8,000件以上を目標としていた.しかしその後新型コロナウイルス感染症の流行により,東京都から同感染症入院重点医療機関としての業務を要請され,流行状況に応じてコロナ対応病棟を拡張した.その結果,通常の診療を制限せざるを得ず内視鏡件数も大幅に減少した.新型コロナウイルス感染症が落ち着きを取り戻した後,多くの医療機関では感染拡大前の診療体制に戻り当院も2023年度からは通常医療体制への移行を進めたが,近隣の医療機関よりも重点的に新型コロナウイルス感染症診療体制を強化していたことも影響し,治療内視鏡は増加傾向にあるものの通常の上下部内視鏡件数が目標とする件数まで到達できていないのが現状である.近隣の医療機関との連携強化などを行い内視鏡件数増加に努めている.内視鏡件数増加に対応するには医療スタッフの確保も必要であるが,2023年度から消化器内科の体制が変わりメンバーは一新され常勤医は大幅に減少し,2023年度は常勤医2名,2024年度に1名増加し3名で診療を行っている.一方で2023年度に富士フイルムメディカル株式会社の「EG-740UT」を導入しEUSや超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA/B)も行うようになり,またERCPの件数も増加傾向にあり,常勤医の減少に反して治療内視鏡を施行できる医師の需要は高くなっている.超音波内視鏡下胆道ドレナージ(EUS-BD)など高度な技術を要する処置を行う際は日本大学板橋病院から応援を要請し行っているのが現状であり,今後内視鏡医の増員も課題である.看護師に関しては,メンバーは内視鏡室専属の非常勤と,救急外来・内視鏡室・カテーテル室を担当する常勤で構成されている.常勤,非常勤いずれも育児と仕事を両立しているスタッフが多く,また出産や育児休暇もあるためどうしても人員が不足傾向にあり,看護師の増員も課題である.一方で内視鏡技師資格の取得ができるような体制を整えており実際にこれまで数名の合格者を輩出しており,また育児と仕事の両立に配慮し時間内に検査が終わるようにスタッフ全員が配慮し,保育園の送迎によるスタッフの勤務時間調整にも対応している.

 
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