日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
佐賀大学医学部附属病院 光学医療診療部
責任者:下田 良(光学医療診療部・部長,診療教授)  〒849-8501 佐賀県佐賀市鍋島5丁目1番1号
下田 良
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2025 年 67 巻 5 号 p. 1119-1122

詳細

概要

沿革・特徴

当院は,昭和51年に開学した佐賀医科大学の附属病院として,昭和56年10月より診療業務を開始した.佐賀県唯一の大学病院として13診療科および中央診療施設が設置され,325床の急性期病院として佐賀市を中心とした医療圏の急性期病院としての役割を担ってきた.平成15年10月に佐賀医科大学と佐賀大学が統合されることにより佐賀大学医学部附属病院と名称変更となり,現在は29診療科と平成10年に設立された光学医療診療部を含む中央診療部門(18部門)により構成された602床の佐賀県の中核病院として機能している.

開院当初より(1)地域医療への貢献,(2)良き医療人の育成,(3)高度医療技術の開発研究を目標として掲げ,「患者・医師に選ばれる病院」を目指している.内視鏡領域においては,急性期医療の最後の砦としての緊急内視鏡業務,消化管腫瘍の診断・内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)を主とした消化管内視鏡治療を長きにわたり行っており,令和3年にはIBDセンターも設立され,増加するIBD患者を背景にカプセル内視鏡や小腸ダブルバルーン内視鏡症例も増加傾向にある.

組織

診療科から独立した中央診療部門の1つとして光学医療診療部が主に内視鏡室の管理を行っている.消化器内科,光学医療診療部のスタッフが中心となり,肝臓・糖尿病・内分泌内科,小児科,総合診療部等の複数の診療科の医師が検査・治療を担当している.

気管支鏡検査は呼吸器内科が担当し,放射線部の陰圧室にて気管支鏡検査を行っているが,スコープの洗浄・管理は内視鏡室で行っている.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

当院の内視鏡室は5つの検査室(検査室1:33.8m2,検査室2:30.0m2,検査室3:31.2m2,検査室4:18.2m2,検査室5:18.0m2)と,X線操作室(15.1m2),洗浄エリア(22.6m2),作業エリア(52.1m2),リカバリーエリア(55.0m2),モニタリングルーム(36.4m2),その他男女更衣室,スタッフ休憩室,機材庫等で構成されている(総面積:322.6m2).内視鏡技師,看護師が使用するエリアを広めに確保しているのが当院の特徴である.

デジタルX線透視システムとして富士フイルム社製のCUREVISTA Openを検査室1に設置し,小腸内視鏡検査,内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技等を同室にて行っている.検査室2はオリンパス社製のEVIS X-1システムと富士フイルム社製のELUXEO 8000システムを表裏で2台シーリングペンダントで天吊りしており,同室では内視鏡システムおよびスコープをフレキシブルに部屋移動をすることなく選択することが可能である.平常時は検査室2と検査室3を治療内視鏡で使用しており,検査室4および検査室5は通常内視鏡検査を中心に行っている.

内視鏡室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2024年12月現在)

消化器内科+光学医療診療部

医師:消化器内視鏡学会 指導医6名,消化器内視鏡学会 専門医2名,その他スタッフ3名

内視鏡技師:Ⅰ種3名,Ⅱ種1名

設備・備品

(2024年12月現在)

 

 

実績

1年間(2023年1月~2023年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

初期臨床研修1年目においては基本的に病棟患者を担当させ,消化器疾患の診断と治療における基礎知識の習得を目標としている.ある程度の期間内視鏡検査を見学できた段階で,担当患者の鎮静下内視鏡検査は上級医の指導のもと担当させている.初期研修2年目では選択コースとして光学医療診療部を1~3カ月履修することが可能であり,その期間は基本的にベッドフリーで内視鏡検査における知識・技術指導を中心に指導を行っている.まずは上部消化管の内視鏡モデルを用いてスコープの基本操作を習得し,上級医の指導のもと鎮静下内視鏡検査より検査を担当させる.所見記載の際には必ず上級医のチェックを受け,その際に所見の記載法を学ぶ.所見のダブルチェックは臨床研修医のみならず専攻医を中心に非専門医の診断および所見記載に関しても行われる.

後期研修においては上級医の内視鏡治療において介助からトレーニングを開始し,一通りの手技を介助医として経験した後に生検,ESD後の露出血管のソフト凝固止血等から徐々に侵襲が高い手技を経験させている.下部消化管内視鏡検査は個々のスコープ操作技術を見極め,可能と判断すれば盲腸からのスコープ抜去・観察よりトレーニングを開始する.ほとんどの後期研修医は1年間で深部挿入および簡易なコールドスネアポリペクトミー(Cold Snare polypectomy:CSP)等の手技までは可能となる.

また当院では年に1回学外の講師を招聘して内視鏡指導セミナーを開催しており,ESD等の高難度手技においては学外からの上級医からも指導を受ける機会を作っている.全国で活躍する医師に若いうちから接する機会は貴重であり,より高いレベルの目標設定の機会にもなっている.ハンズオンセミナーも同時に行っており,医学生や初期研修医には特殊技術に触れるよい機会となっており,消化器内科へのリクルートにもひと役買っている.ESD等の難易度が高い技術においても,治療の安全性が担保できる範疇で可能な限り専攻医にも手技を多く経験させるのが当院の特徴であり,それがゆくゆくは派遣される関連施設の内視鏡レベルの向上に繋がっていくものと考えている.地方の大学病院は自施設のみならず,近隣の関連施設の医師確保・医療技術レベルの維持にも重要な役割を担っており,当院においても佐賀県全体の内視鏡レベルの維持を意識して,日々若手教育を行っている.

現状の問題点と今後

当内視鏡室は病院の改装における最後のパートとなってしまい,当初から総面積が限定されており,内視鏡室全体の形態もL字型となっている.そのため各部屋の内視鏡画面,各部屋のモニター映像をモニタリングルームで一斉管理する必要があり,リカバリーエリアの患者用モニターおよび生体モニター(心電図,バイタルサイン,SpO2表示)も同時に表示する必要があった.各部屋から必要な際にスタッフを呼ぶためのコールスイッチや検査医が使用するインカムまで設置したが,あまり活用されていないのが現状である.またスペースが限られていたため,内視鏡室内に患者用の待合室および検査室までの導線となる廊下を作ることが不可能であった.よって現在は廊下を隔てた外来の待合室を使用し,内視鏡室の看護師が検査室まで患者を誘導しているのが現状である.

またスタッフ面において,内視鏡室専属の看護師も少なく,通常は総合外来業務を兼任しているスタッフが多く,常時介助につくスタッフが不足している.医師においても,検査の9割以上を光学医療診療部および消化器内科のスタッフが担当しており,日々の外来業務および外勤業務を過不足なく調整するのに苦労している.

今後はルーチン検査を含めすべての内視鏡検査動画を5年間保管・管理できる動画サーバーを本年度中に導入する予定である.現在も内視鏡検査動画を録画するシステムは存在するが,昨今増えている医療事故や訴訟対策としてはすべての検査データを管理する必要があると考えている.また動画データは学会の資料作成や治療技術の振り返り教材としても有用である.ほかに教育用ツールとして次世代医療シミュレータ(胃モデル・大腸モデル)の導入も予定しており,若手の内視鏡医のリクルート・教育にも力を入れていく予定である.

 
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