日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
国立病院機構 北海道がんセンター
責任者:藤川幸司(外来診療部長)  〒003-0804 北海道札幌市白石区菊水4条2丁目3番54号
平川 昌宏永島 裕之佐川 保藤川 幸司
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2025 年 67 巻 6 号 p. 1220-1223

詳細

概要

沿革・特徴

当院の歴史を振り返ってみると,明治29年に札幌衛戊病院(その後札幌陸軍病院)の名で,屯田兵を母体に創設された第7師団の附属病院として発足したのが始まりである.その後,終戦により昭和20年12月に厚生省に移管され,国立札幌病院に改称している.昭和32年からは国の基幹病院計画に基づき,16診療科450床の総合病院として診療を開始し,地域の基幹病院としての役割を担ってきた.昭和42年には,がん患者の増加に伴う疾病構造の変化に対応するため,北海道からの要請を受けて北海道地方がんセンターの併設が決定された.昭和43年よりがん専門病棟の増床が行われ,100床が追加されることで,当院はがん分野における基幹病院として,札幌市内はもとより全道的な診療圏を形成するに至った.平成16年には独立行政法人化され,現在の「北海道がんセンター」という名称になり,平成17年には「地域がん拠点病院」,平成21年には「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定され,名実ともに北海道のがん診療の中心的な役割を担っている.施設の老朽化や診療機能強化を図るため全面建替工事も行われ,令和2年11月に完成した.現在は27診療科430床で診療を行っている.

組織

外来部門の一部として運営しており,消化器内科の医師8名(常勤5名,非常勤3名)と呼吸器内科の医師6名が各種内視鏡検査・治療を行っている.看護師は内視鏡室専従で8名が勤務しており,うち2名が内視鏡技師資格を有している.また,内視鏡室専従ではないものの,6名の臨床工学技士(1名が内視鏡技師資格保有)も内視鏡センターのメンバーとして,適宜内視鏡処置の介助や機器のメンテナンスを行っている.月に一度,各科医師,看護師,臨床工学技士の代表が集まり運営会議を行い,問題点・改善点などを話し合い,内視鏡センターのより良い運営を目指している.

当内視鏡室の特徴・レイアウト

内視鏡センターの総面積は458.2m2で,第1~4内視鏡室と2つの透視室を有し,第4内視鏡室は呼吸器内科による気管支鏡専用の部屋となっている.通常の消化管内視鏡検査については主に第1~3内視鏡室で行い,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD),超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)などの治療・処置は十分な広さを確保した第3内視鏡室を使用している.第1~3内視鏡室には診察室もあり,必要に応じてその場での説明も可能なように配慮している.内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)をはじめ透視を必要とする検査については,2つの透視室で行っている.各々の部屋は,洗浄室があるバックヤードとスタッフ通路で繋がっており,患者さんとは別の動線で行き来可能となっている.また,センターの中心には読影カンファレンス室を設置しており,画像をみながらの症例カンファレンスや,カプセル内視鏡などの読影もこちらの部屋で行っている.受付裏のスタッフがすぐに対応可能な位置に,6床のベッドを完備したリカバリー室を設置し,看護師1名が専任で患者の状態をモニタリングすることにより,外来での鎮静検査についても安全に対応可能となっている.またセンター内には5つのトイレと前処置室を完備しており,院内での大腸内視鏡前処置も可能である.

内視鏡室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2025年1月現在)

医師:8名,消化器内視鏡学会 指導医2名,消化器内視鏡学会 専門医5名

内視鏡技師:Ⅰ種3名,カプセル内視鏡読影支援技師1名

その他スタッフ:看護師8名,臨床工学技士6名

 

内視鏡センター スタッフ

設備・備品

(2025年1月現在)

 

 

実績

1年間(2024年2月~2025年1月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当院は日本消化器内視鏡学会の指導施設に認定されており,消化器内視鏡学会指導医2名と専門医5名が在籍している.がんセンターという特性上,食道,胃,小腸,大腸の早期がんから進行がん,転移性病変まで多彩な症例を数多く経験できる特徴がある.上下部消化管内視鏡における診断や,ESD,内視鏡的粘膜切除術(EMR)をはじめとする治療については,経験豊富なスペシャリストが基本から困難症例まで適格なアドバイスのもと指導することができる体制を整えている.胆膵内視鏡検査についても,胆道癌,膵癌症例に対するEUS,ERCPなどの側視鏡を用いた検査や,EUS-FNA,ステント挿入などの治療が多数行われており,プライマリーケアから専門を目指す医師が,基本的な知識と技術を習得することができる環境が整っている.初期臨床研修においては,当院は協力型病院となっており,初期研修医にはまず検査適応の判断,検査手順,起こりうる偶発症やその際の対処法,所見の取り方などを指導医のもとでしっかりと学んでもらっている.処置の介助にも積極的に参加してもらい,習熟度に応じて担当患者のスクリーニング検査などから経験を積めるようにしている.専門研修においては,当院は連携施設として,がん診療を中心に将来消化器内視鏡の専門医取得を目指す専攻医を広く受け入れている.上部消化管内視鏡については,スクリーニング検査(生検を含む),精査内視鏡(拡大観察を含む),治療内視鏡(止血,EMR,ESD)へと習熟度に応じてステップアップして習得できるよう,指導医とペアを組みながら十分な症例経験を積めるよう工夫している.下部消化管内視鏡についても,上部同様に習熟度に応じてステップアップできるよう指導しており,基本的には苦痛の無い挿入・観察を十分に習得した後に,EMRなどの治療を行ってもらうようにしているが,指導医が可能と判断した場合には,指導医立ち会いのもとで3年目からこれらの治療も経験してもらうようにしている.またESDの介助などにも積極的に参加してもらい,将来的にESD習得を希望する専攻医には,簡単な症例から担当してもらい,徐々に困難症例にも対応できるよう指導体制を整えている.胆膵内視鏡については,上部消化管内視鏡検査の手技をある程度習得できるまでは,介助を中心に検査の流れやデバイスの選択などを学んでもらい,徐々に挿入や乳頭へのカニュレーションから経験を積んでいる.習熟度に応じて,内視鏡的乳頭括約筋切開術(EST),ステント挿入なども指導医とともに行ってもらうようにしている.また週一回のカンファレンス時はもちろんであるが,それ以外の時でも初期研修医や専攻医が気軽に指導医に相談できるよう,風通しの良いセンター運営を心がけている.

現状の問題点と今後

日本国民の二人に一人ががんに罹患すると言われている本邦において,高齢化の波も相まって,当院における消化器内視鏡の検査件数や治療件数は近年増加してきている.他方,2024年から医師にも導入された働き方改革により,長時間労働の問題解決や医療従事者の健康とクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の改善が期待されているが,労働時間,残業時間が制限される中で,増加傾向にある内視鏡検査・治療に適切に対応していく必要性も求められてきている.このような状況に対応すべく,当院においても更なる業務の効率化や分業化などの工夫を行っているが,増加する内視鏡件数に十分には対応しきれていないのが現状であり,やむなく検査・治療件数を制限せざるを得ない場合も生じている.消化器外科をはじめとする他の診療科や他部署とも連携し,病院全体のチームワークで何とか対応してきているが,根本的な問題として消化器内科医師数の確保が喫緊の課題と考えている.消化器内科は,専攻後も各々のワークライフバランスに応じてプライマリーケアから専門性の高い医療まで幅広く選択可能であり,初期研修医や専攻医にとってもお勧めの診療科と考えている.高齢化が進む本邦においては,ますます増加が予想される消化器疾患に対応するためにも,若手医師に消化器内科のたくさんの魅力を伝えられるような指導を今後も行っていきたいと考えている.

 
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