2025 年 67 巻 6 号 p. 1224-1227
当院は,昭和33年2月に開設された町田市の公立病院である.
平成20年5月に現在の病棟に改築が終了し,440床を有する町田市の基幹病院としての役割を担っている.
組織内視鏡室として独立はしているが,内視鏡室専属の医師はいない.消化器内科医師を中心に,外科,呼吸器内科の医師が検査と治療を行っている.
看護師は救急外来の所属ではあるが,内視鏡室で専属勤務しており,全員が内視鏡技師の資格を保有している.また,内視鏡室の専属勤務経験がある看護師や内視鏡室でトレーニングを受けた看護師が救急外来で勤務しているので,夜間・休日も救急外来での内視鏡治療に対応可能である.
総面積349.83m2であり,内視鏡受付・待合・前処置室・リカバリー室・4つの内視鏡検査室・洗浄室・倉庫・スタッフ控室・医師カンファレンス室・診察室で構成されている.倉庫は検査室としても使用できるように設計されている.
内視鏡システムへの電源は,天井より供給できるようにしている.
X線透視が必要な検査は,地下の放射線科に所属するX線透視室で行っている.
各検査室は独立しており,プライバシーに配慮している.患者とスタッフの動線は検査室で仕切られる配置となっており,混乱が少ない.
楽に検査が受けられるよう,ほとんどの患者で上部消化管内視鏡では鎮静剤を,下部消化管内視鏡では鎮痛剤を使用するが,患者はストレッチャー上で検査を受け,ストレッチャーに臥床したままリカバリー室(最大12名収容可能)に移動できる.
リカバリー室にはパイピングとナースコールも配置されている.
内視鏡機器は,オリンパス内視鏡システムを使用している.
光源は各検査室と地下のX線透視室の計5台を配置している.各光源で得られた画像はファイリングシステムに保存され,電子カルテシステムを通じて閲覧が可能である.
保存した画像を用いて,医師カンファレンス室では様々なカンファレンスを行っている.
検査は,午前中に上部消化管検査,超音波内視鏡検査を行い,午後に下部消化管検査を行っている.
胆膵内視鏡や経皮内視鏡的胃瘻造設術,消化管ステント留置術,小腸バルーン内視鏡検査などは,X線透視室で行っている.
上部消化管の内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は火・水曜日の午前中に,大腸のESDは同午後に行っている.
緊急内視鏡検査は随時行っており,通常勤務時間内は内視鏡室,時間外は救急外来で行っている.
夜間休日には消化器内科の内視鏡医によるオンコール体制をとっており,補助が可能な看護師が救急外来に1人は勤務しているため,時間外での対応もスムーズである.
内視鏡室レイアウト

(2025年2月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医3名,消化器内視鏡学会 専門医4名,その他スタッフ5名
内視鏡技師:Ⅰ種6名

消化器内科のメンバー
(2025年2月現在)

1年間(2024年1月~2024年12月まで)

消化器内視鏡検査を主に行っている消化器内科の指導体制について述べる.熱意があれば研修医2年目から,本格的な指導は専修医1年目に開始する.上部消化管内視鏡検査によるスクリーニングが可能となったら約200例を目安に,大腸内視鏡検査を開始する.抜去時の観察から開始し,進捗度に応じて挿入を開始する.短時間で挿入することよりも,軸保持短縮法による,疼痛の少ない挿入法を目指す.経験年数が浅い内視鏡医については,時間を区切って上級医に交代し,指導している.
上部消化管内視鏡,大腸内視鏡ともに二酸化炭素送気で検査を施行し,大腸内視鏡ではUnder Water Colonoscopyも併用が可能な様にしている.
上部消化管,大腸ともに,苦痛についてのアンケートを外来患者全例に行い,毎月内視鏡医毎に集計して認知している.外来の大腸内視鏡検査でのポリペクトミー施行率についても,毎月内視鏡医毎に集計して認知している.
上部消化管の治療内視鏡については,上部消化管のスクリーニングが可能となったら,止血術や食道静脈瘤治療を開始する.内視鏡的粘膜切除術(EMR)は専修医1年目後半より,ESDは専修医2年目より,上級医の元で開始する.止血術を開始した段階で,夜間休日の緊急内視鏡オンコールの当番に参加する.
大腸の治療内視鏡は,観察を開始したら小ポリープのポリペクトミーは並行して開始し,挿入が安定したら大ポリープのポリペクトミーやEMR,止血術を開始する.大腸ステント留置術も内視鏡操作が安定した段階で早めに経験している.
内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)は,専修医1年目の後半から開始し,指導医の元で習熟度に応じた胆膵系の治療を行う.SpyGlassの操作も行っている.
以上は,当院で専修医1年目から消化器内視鏡医としての研修を開始する場合のスケジュールであるが,専修医2年目,3年目から当院に派遣される場合も習熟度に応じて指導し,3年目終了時点には胃のESDとERCPを一通り経験できるようにしている.指導は上級医が下級医に対して行い,指導医または専門医が直接指導もしくは上級医をバックアップする体制をとっている.年に数回,病理所見と内視鏡所見を対比したカンファレンスを行っている.
ピロリ菌除菌後の経過観察が必要であるが,除菌後には検査への意識が低下するのか,上部消化管内視鏡のスクリーニング検査数は減少傾向にある.一方,大腸内視鏡の需要は増え,大腸がんの診断数も増加している印象がある.市民に継続した検査や一次検診後の精密検査の必要性を,内視鏡室から啓蒙していく必要があると感じている.
医師の働き方改革などの労働時間の問題から,読影,診断,治療に関するカンファレンスなど,集中的なまとまった時間を作ることが難しくなっている.病棟業務に対する患者家族からの要求も高度となっており,限られた時間のなかで内視鏡検査・治療を含めた様々な業務のバランスの取り方も難しくなっている.効率よく検査・治療をすすめ知識と経験を積んでいくのか,これをどのようにサポートするのか,今後の課題である.
また,被験者は高齢化している.当院では,年齢を区切って鎮静剤を使用せずに細径内視鏡での検査を行うなどの工夫をしているが,楽に検査を受けたいという被験者の希望は高齢になっても続く.検査前・中・後の看護も含めた対応が課題であり,安全性を確保する上でも重要であると考える.