日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸の大型無茎性平坦型ポリープに対する内視鏡的粘膜下層剝離術後の予防的クリップ閉鎖:多施設共同無作為比較試験(EPOC試験)
千野 晶子
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2026 年 68 巻 1 号 p. 82

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抄録

【背景】大腸ポリープに対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)の予防的クリップ閉鎖は,大きい病変や近位結腸の病変において後出血率の減少に寄与するとされる.しかし,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)における有効性に関するエビデンスは不足している.

【目的】腫瘍径20-50mmの無茎性平坦型ポリープに対し,ESD後にクリップ閉鎖を行った症例の重症後出血の発症率について,コントロールと比較した.

【デザイン】本邦4施設における多施設共同無作為比較試験であり,患者は閉鎖群と非閉鎖群に無作為に割り付けられて比較した.臨床的後出血は,重症例(内視鏡的止血術,ヘモグロビン値<70g/ℓにて輸血の施行,または,出血性ショック)とそれ以外の軽症例に分類された.

【結果】閉鎖群と非閉鎖群の対象例は,intention-to-treat(ITT)では,それぞれ150と149例,per-protocol(PP)では,それぞれ142と141例での解析となった.クリップ閉鎖完遂率は,88.7%(ITT)と93.0%(PP)であった.ITT解析による両群での後出血率は,ぞれぞれ,6.7%と20.1%(オッズ比:0.28;95%信頼区間:0.13-0.60;p<0.001;絶対リスク比(ARD):13.5%;95%信頼区間:5.6%-20.9%)となり,さらに,重度出血発症率は1.3%と8.7%(オッズ比:0.14;95%信頼区間:0.03-0.64;p=0.003;ARD:7.4%;95%信頼区間:2.2%-12.4%)であった.これらはPP解析でも同様の結果であった.遅発性穿孔の発症はなく,ESD後凝固症候群の発症率も両群間で有意差は認められなかった.多変量ロジスティック解析では,予防的クリップ閉鎖が臨床的後出血率(オッズ比:0.22;95%信頼区間:0.08-0.50;p<0.001)および,重症後出血率(オッズ比:0.22;95%信頼区間:0.05-0.76;p=0.015)となり,共に有意な独立した予防因子となった.

【結語】予防的クリップ閉鎖は約90%の症例で完遂し,20-50mmの大腸ポリープ切除後の遅発性出血率を減少させた.

試験登録番号 UMIN 000043675

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