2026 年 68 巻 8 号 p. 1411-1417
症例は56歳男性,急性膵炎で他院へ入院しMRIで膵尾部腫瘤を指摘され当科へ紹介となった.MRIでは膵尾部に主膵管と交通する20mm大の囊胞性病変を認め,内部に信号欠損を伴っていた.造影CTおよび造影EUSでは囊胞内には膵実質と同程度の造影効果を伴う充実成分を認めERCP時に囊胞付近の主膵管で施行した擦過細胞診でClass Ⅳを検出した.Intraductal tubulopapillary neoplasmの術前診断で外科的切除を施行し,最終病理診断はhigh grade intraductal oncocytic papillary neoplasm(IOPN)であった.膵IOPNは,以前はintraductal papillary mucinous neoplasmの亜型とされていたが,WHO分類第5版より独立した膵前癌病変として定義された疾患であり比較的予後は良好とされている.今回われわれは膵炎を契機に発見され,術前診断に苦慮したIOPNの1例を経験したため報告する.