日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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膵体尾部欠損症の一例
播磨 一雄相部 剛永富 裕二川嶋 正男前谷 昇有山 重美東 光生清水 道彦富士 匡河原 清博渡辺 精四郎沖田 極河村 奨竹本 忠良荻野 和彦
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1979 年 21 巻 12 号 p. 1478-1482

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抄録
われわれは,診断上膵体尾部癌と鑑別できなかった,膵体尾部欠損症の1例を経験した.46歳,男性,主訴は上腹部痛,食欲不振,体重減少であったが,50gブドウ糖負荷試験は正常型,P・Sテストでも3因子ともに正常であった.本症例は,75Se膵シンチグラムで膵体尾部のS.0.Lを指摘され,膵体尾部癌と診断されたが,膵管像では,短小型の膵管像を呈し,膵癌や慢性膵炎の閉塞像およびdorsal, ventral ductの癒合不全らの膵管系の奇形との鑑別がむずかしく,開腹術が施行された1例である.本症の診断には,画像診断法の力をかりるか,副膵管造影をこころみる必要がある.なお本症の組織像は,ほぼ正常膵組織像と考えられたが,膵頭部領域にしてはラ氏島の増生がみられ,注目される.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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