日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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急性腹症を呈したEosinophilic gastroenteritisの一例
中沢 三郎内藤 靖夫可知 常昭川口 新平塚本 純久梶川 学相地 正文木本 英三佐野 博鈴木 洋介浅井 俊夫市川 朝洋芳野 純治安座間 聡木下 治種田 孝鬼塚 俊夫服部 外志之
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1979 年 21 巻 7 号 p. 867-872_1

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抄録
 Eosinophilic gastroenteritisは極めて稀な疾患であるが,最近,私共は腹水の細胞診および手術にて診断し得た症例を経験したので文献的考察を加えて報告する. 患者は41歳の男性で主訴は腹部膨満である.血液検査にて白血球数は11,100,好酸球は14%を示した.上部消化管X線撮影では前庭部に腫大した皺襞がみられ,内視鏡検査では十二指腸に浮腫と斑状発赤がみられた.しかし生検では好酸球浸潤はみられなかった.経過中,腹水が出現したが,同時に腸閉塞症状が惹起したため開腹したところ,腹水中に多数の好酸球と腸間膜リンパ節より形質細胞と好酸球の浸潤がみられた.プレドニゾロン投与により急速に治癒した.術後1年を経過しているが再発はみられない. 本症の診断は血中の好酸球増多と胃腸管壁の好酸球浸潤によりなされるが,浸潤が深部にある場合には困難である.急性腹症に際しては本疾患をも考慮すべきである.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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